出版社 : 光文社
小伝馬町の牢から火が出て、罪人たちが切放になった。その後、戻ってこなかった囚人に勘定所道中方の役人がいた。勘定奉行の父の命を受けた夏目影二郎は、行方を断った役人の所在をつき止め、始末する旅に出るが、行く先に巨悪の影が…。鏡新明智流の豪剣で悪に立ち向かう。佐伯泰英の原点ともいえるシリーズ決定版の第三弾!巻末に佐伯泰英外伝を特別収録。
姉の結婚式に出席するため、安曇野に帰省した相沢啓一郎が刺殺された!刑事・道原伝吉は、啓一郎の交際相手が山野辺由夏であることを突き止める。アリバイは確認されたが、彼女は3年前に発生した「探偵事務所長殺人事件」の関係者だった。そんななか、ふたつの事件の試料に一致する物が見つかってー。相沢はなぜ、誰に殺されたのか?由夏と事件との関わりは!?被害者の足跡を辿って、道原伝吉は伊良湖岬へ向かった!
妻の妊娠中、逃げるように浮気をする男。パート先のアルバイト学生に焦がれる中年の主婦。不釣り合いな美しい女と結婚したサラリーマン。幼なじみの少女の死を引きずり続ける中学教師。まだ小さな息子とふたりで生きることを決めた女。満たされない思い。逃げ出したくなるような現実。殺伐としたこの日常を生きるすべての人にー。いまエンタメ界最注目の著者が描く、ヒリヒリするほど生々しい五人の物語。
三田村豪気は、警視庁捜査二課美術犯罪捜査班に所属する新米刑事。やる気と体力は人一倍だが、美術にはとんと疎い。美貌の上司・岸すみれの薫陶のもと、にわか仕込みの知識を駆使して、違法スレスレの詐欺的ビジネスを続ける美術品販売会社の犯罪を暴こうとするが…。
夫婦ゲンカしたまま長距離トラックの仕事に出た健二が帰宅すると、妻の香織が、二歳半の一人娘・シーちゃんを残し、ありったけの家財道具を持って家出していた。な・ん・で・や?長距離の仕事をこなしながら、消えた妻を探すハメになった健二。慣れぬ子育てに四苦八苦しつつも、大型タンクローリーの助手席に可愛いシーちゃんを乗せ、今日も東奔西走するのだがー。オカしくてケナゲな珍道中、レッツラゴー!
大日本帝国憲法発布前夜、明治17年(1884年)の高輪、伊藤博文邸。書生としてその洋館に住み込むことになった杉山潤之助の手記を、偶然古書店で手に入れた小説家の私。そこには伊藤博文邸で起きた怪事件の様子が、ミステリー小説さながらに描かれていた。密室で行われた殺人、庭園に残った不審な足跡、邸のまわりをかぎまわる怪しい新聞屋、伊藤公の書斎から聞こえる物音、そして第二の死体…相部屋の書生、月輪龍太郎と推理合戦を繰り返し、伊藤公の娘・生子お嬢様とその教育係・津田うめにふりまわされながら潤之助が見た事件の真相とはー。
ベルリン存在のビジネスマンのゲルマンは、プラハ出張の際、自分と“瓜二つ”の浮浪者を偶然発見する。そしてこの男を身代わりにした保険金殺人を企てるのだが…。“完全犯罪”を狙った主人公がみずからの行動を小説にまとめ上げるという形で書かれたナボコフ初期の傑作!
吉原にある老舗妓楼「千惷楼」で人気の女郎が客と心中した。知らせを受けた吉原裏同心の神守幹次郎と会所の番方・仙右衛門は、その死に方に疑いを抱く。真相を究明せんと探索する二人だったが、その前には常に大きな影がつきまとう。そして、吉原自体の存在を脅かす危機が訪れる。幹次郎、そして吉原の運命はー。快進撃の人気シリーズ、一気読み必至の第十九弾。
日本橋小伝馬町の牢から出された一人の男。名は夏目影二郎という。罪を犯し遠島となる直前、牢から出された影二郎を待ち受けていたのは、腐敗した八州廻りの大掃除という役目だった。大薙刀を鍛え直した名刀「法城寺佐常」と南蛮外衣で関八州に巣くう者どもに立ち向かう。佐伯泰英の原点の一つともいえるシリーズ第一作が決定版で登場。巻末に佐伯奏英外伝を特別収録。
毒を啖うて死なば本望と心得よー将軍家の毒味役を務める矢背蔵人介の目の前で、老中水野越前守忠邦の駕篭が襲われた。手練の刺客の前に立ち塞がった蔵人介は、そのことで恨みをかうことになる。そして、蔵人介にも危機が迫る!「誇りさえあれば、虚しいことなどひとつもない」という思いを胸に蔵人介は悪に立ち向かう。大好評「鬼役」シリーズ、爽快感抜群の第九弾。
大きらいな幼なじみに、なぜだかときめくカンナ。教室で浮いた存在の不良にあこがれる和馬。親友の家庭事情を知った千里。音楽教師に心を寄せる哲平。母の愛人に恋する愛。クラスメートの死を受け止める三人の男の子。さまざまな状況に、真っ直ぐ本音でぶつかっていく子供たち。大人になって失ってしまった感覚を、鋭く冷静な視点で浮かび上がらせる六編。
演劇全国大会の前日、出演予定の部員たちが何故か次々と体調を崩す。さらに、上演予定の作品「かいぶつのまち」と同調するかのように、主役の女生徒に凶器のナイフが届けられ、せっかくの晴れ舞台はだいなしに!後輩たちの芝居を観に来た劇団「羅針盤」の元メンバーは、この騒動の背後に潜む「かいぶつ」の姿を探し始めるー。人間の「悪意」と「壁」を描く傑作青春推理。
巨大バイオ企業「ESテック・ジャパン」では、数々の奇怪な計画が進行していた。ウイルスによる人間の植物化、生命工学を駆使した人類の父祖の再生…。その秘密に近づく者は次々と消されていった。会社を陰で操る謎の人物アダムとは何者なのか?ESテックに監禁されていた元警官の滝田は、仲間とともに人類の明日を懸けた闘いに挑む!驚愕の近未来サスペンス。
夕刻になるときまって茶屋を訪れ、団子三皿を平らげて上機嫌に帰る道服姿の老人。そのおかげで店の評判は高まった。ある筆屋の主が、老人は茶湯者・千宗旦に化けた狐だと考え、儲け話を企むが…(表題作)。茶器、書画、花、茶室など、茶湯にまつわる世界を12編の物語に凝縮し、宿業を背負って生きる人間の哀しさや愚かさをしみじみと描いた、情緒溢れる傑作短編集。
野村絹枝の背中に蠢く大蛇の刺青。艶美な姿に魅了された元軍医・松下研三は、誘われるままに彼女の家に赴き、鍵の閉まった浴室で女の片腕を目にする。それは胴体のない密室殺人だったーー。謎が謎を呼ぶ事件を解決するため、怜悧にして華麗なる名探偵・神津恭介が立ち上がる! 江戸川乱歩が絶賛したデビュー作であると同時に、神津恭介の初登場作。満を持しての復刊!
江戸川乱歩の名作「D坂の殺人事件」は古本屋の女房殺しを描いたものである。これは乱歩が本郷団子坂で古書店を営んでいた経験が執筆の契機だった。新刊書と違い、複数の人の手を経た本には、持ち主の書き込みや挟み込みがあったり、本自体の来歴にも謎めいた要素が尽きない。そんなミステリアスな古書を題材に、斯界の名手たちが腕をふるった傑作アンソロジー!
短大を卒業してからおよそ20年。同窓会の案内を受けとって以来、ノンは学生時代に亡くなった男友達のことが気になりはじめる。彼は自殺ではなかったのではないか?ノンは仲のよかった友人に連絡を取るとー。仕事や家庭、それぞれの20年の時を歩んできた女性6人。学生時代の男友達の死を通じて明らかになる「過去」。その時、彼女たちが選ぶ道はー。未来に語り継ぎたい物語。
北の街・蛸足大学を卒業したミクラは、先輩に拾われて「代書屋」稼業を始めたばかりの見習いだ。その内容は、研究者のため、彼らの書く論文を代わりにまとめること。新しい依頼が舞いこむたびに、なぜか素敵な女性と出会ってしまうミクラだが、依頼者は曲者揃いで内容も厄介なものばかり。果たして、恋も仕事も成功できるのか?第1回創元SF短編賞を受賞した新鋭の、ユル〜くてほっこりした物語。心ゆるくなる連作短編集。