出版社 : 光文社
瀬野、正夫、ヨダカとぼく。大学寮の東十五室はぼくたち4人の居場所だった。寮が取り壊された今、大切な場所を失ったぼくたちに正夫の歌う音のはずれたビートルズが気づかせてくれたのはー。
警視庁組織犯罪対策部第四課の刑事・秋川恭介は、旧友の不審死をきっかけに権力の闇に踏み込んでいく。見え隠れする検察の影。事件をきっかけに失踪した友人の妻と、不可解な行動で捜査を混乱させる謎の青年。あらゆる捜査妨害を乗り越えて、秋川は友が語りえなかった真実に迫れるのか!?哀切なラストが胸を打つ、警察小説の最新傑作。
ゾシマの言葉にしたがって、アリョーシャは父の家に出かける。父と長男ミーチャとの確執は、激しさを増していくようだ。イリューシャとの出会い、スネギリョフ大尉の家で目にしたものなど、アリョーシャの心はさまざまに揺れ動き、イワンの「大審問官」で究極の衝撃を受ける。
ナディア・モガールと矢吹駆は、ウイルス性の奇病に冒された友人の頼みで、彼の師であるマドック博士に資料を届けるため、クレタ島南岸に浮かぶ孤島、「牛首島」へと向かう。牛首島にある不思議な建造物「ダイダロス館」を訪れた十人の男女を次々と襲う、奇怪な連続殺人の真相とは!?本格探偵小説を代表する傑作、待望のノベルス版刊行。
小学5年生の和也は、宮城県内の小さな町から、憧れの仙台市に引っ越してきた。川沿いに5軒が並ぶばかりのみすぼらしい住まいにショックを受けるが、隣家に住む同級生2人と仲良くなる。ところが学校では、その2人が周囲から浮いているのに気付く。ストリッパーやヤクザもいる自分たちの住む地域が、かつては差別されていたことを知った和也は、2人の友人と他のクラスメイトとの間で悩む…。ねえ、ほんとうの友情って、何だろう?史上初の直木賞&山本周五郎賞ダブル受賞作家が差別問題に正面から取り組んだ、魂に響く成長譚。
秋野智之は、部下の森村茜が担当する顧客に謝罪するために彼女とともに先方を訪ねた。その帰りみち、智之は彼女に、頑張ったねと声をかけるだけでなく、そっと抱きしめてあげたくなった。自分がもっと若くて、きらきらと輝いていたあのころの自分だったら…。人生の予定が狂うほどの恋などするつもりはなかった。秋野智之44歳、城南銀行五反田支店次長、妻と3人の子あり。リアリズムの名手が、理性では抗えない人間・人生の不可思議を描く。
地獄を覗かされ、日本を捨てた国際犯罪者・仙田。外国人犯罪を撲滅するため、限界を超えようとするエリート警官・香田。どん底からすべてを手に入れようとする不法滞在の中国人女性・明蘭。自ら退路を断ち突き進む男女の思惑と野望が一気に発火点に到達した時、孤高の刑事・鮫島が選ばざるを得ない「究極の決断」とは?理想と現実、信念と絶望、個人と社会、正義の意味、そしてこの国のありようが、骨太かつスピーディな物語に溶解していく。ターニングポイントとなるシリーズ最大の問題傑作、光文社初のハードカバーで登場。
誰もがため息をつくような美貌。仕事はトップセールスを誇り、恋人はエリート医師…。“営業部の花”と呼ばれる沙和子に憧れる真澄は、彼女を観察するようになる。すると、その秘密主義、完璧主義は、常軌を逸しているように見えた。転職、転居を繰り返す、沙和子の素顔に隠された奇妙な過去とは?完璧を目指す女。その裏側に潜む社会病理を描いた傑作。
“竜門猟犬探偵舎”に奇妙な依頼が舞いこんだ。動物プロダクションから傷ついた一頭のトナカイとともに一人の少年が失踪、その行方を追ってほしいというものだった。竜門卓は相棒の猟犬ジョーを連れ、その臭跡を辿りながら有馬の山中へと分け入るが…(「トカチン、カラチン」)。心優しきアウトローたち。自らの信念に従い行動する男の美学。感動の連作短編集。
「南総里見八犬伝」滝沢馬琴の家に嫁として入るが、夫に先立たれた路。目の見えない舅・馬琴の口述筆記を手伝わされる路の胸に去来するものは?(表題作)。男を買う女。夫を棄てる女。愛人であることを受け入れる女。密やかに、だけど伸びやかに恋をする江戸の女たちの独白。爛熟の町江戸に生まれた六つの恋愛譚。
行方不明になった娘は、無惨に殺されていた!事件を追う母親・日野朔子は、「メル友に会いに行く」という言葉と残された携帯電話からある男にたどりついたが…。思いもかけぬ、第二の事件が発生する!現代の歪んだ“道具”と人間関係の中に描き出された親子の絆とは?著者、五年ぶりの最新長編推理、堂々の刊行。
覇王・信長に金を無心する役を押しつけられた公家、隠居せぬ血気盛んな老父、いい人だけど無意味な篭城を続ける我が殿…。歴史的大事件の陰に密やかに咲いた、まことに億劫な出来事に振り回される男たち。解決方法はあるのか?小気味良い展開と洒落な人物描写。読後爽やかな快作。
将軍家が鷹狩りを催す御鷹場を荒らす尾白の鷲と、鉄砲方の人々との血みどろの葛藤(「鷲」)。兜を持っている者が連続して辻斬りに…。ひとりの女が届けた兜が、祟りをもたらす(「兜」)。吹雪の夜、妖麗な白い影が人家へ忍び込み、若い娘を招き去る(「雪女」)。-不思議な因縁の糸に導かれ、人知を超えた恐怖の世界を垣間見てしまった人々の運命は?全十編を収録。
イギリスで一人旅を続けるケンイチが迷い込んだ「永遠の町」は、人間のいない、ロボットだけの町だった-。なぜ、ぼくたちは、痛みを感じないのか?「心」は神の奇跡なのか?AIとロボティクスの近未来を描いて、瀬名秀明が永遠の命題に挑む、畢生の恋愛科学小説!憧れと驚き、そして歓び。いま、豊穣なる「物語」の力が、世界を救う。