出版社 : 光文社
大学教授兼実録小説家の稲本浩三は、未解決の中里信治・美絵夫婦失踪事件を題材にした作品の取材を進めていた。事件の経過と残された謎を追う中、稲本は美絵がマルチ商法に関係していたことを知り、驚く。彼もまた類似のビジネスの罠に嵌まった苦い過去を有していたのだ…。奇しくも勤務先の学内では悪質なネットワークビジネスが問題視されている。この符合ははたして偶然なのか?言い知れぬ不安が日常を浸し始めた時、かつて稲本を騙した女の訃報が届く…。大学内に張り巡らされたネットワークビジネスの罠。被害者の学生に寄り添う男もいつしか底なしの闇に足を浸していた…。ひたひたと恐怖がにじり寄る圧巻のクライム・フィクション!
信長絶頂期。嵐で破壊し尽くされた離島に巨大南蛮船が漂着。船内には無数の棺、そして一人の赤子がいた。島の網元・利兵衞はその赤子を「姫」と名付け育てる。たちまち美しく育った「姫」は人外の存在であり、特殊な能力が備わっていた。利兵衞の小さな夢を叶えるべく、「姫」は自らの力で支配者たちを操り、異形の仲間と旅をし、各地で凄絶な戦闘を繰り広げていくー。「姫」とは何者?日本で何を為そうとしているのか?
高齢期のパート職員が必死に働く坂田パーキングエリア。年金も医療保険もない梨元ちとせも、引きこもりの息子と暮らす古田中栄も、老骨に鞭打って働き続けるしかない。駐車場には、猫と暮らす老人、子連れのシングルマザー、認知症の母を介護する男などが行き場を失い彷徨っていた。ある日、死亡した元夫の保険金が入るかもしれないと、ちとせに連絡が入り期待をするが…。『愚か者の身分』で大藪春彦新人賞を受賞した著者が描く、車上生活者たちの絶望と、晩年を切々と生きる老女たちのシスターフッド。
夫と死別し、不登校の息子と暮らすシングルマザーの早織。綱渡りのような日々を送るなか、早織には、淡路島ですごした高校時代の忘れられない恋があった。偶然の再会を機に、あの恋の結末にようやく向き合えた早織は。
2匹の勇気が、きっとあなたを強くする!『優しい死神の飼い方』『黒猫の小夜曲』を超える、予測不能なスペクタクル!黒猫のクロは、今まさに自殺しようとする料理人に出会う。彼は婚約者に拒絶され、さらにその彼女を喪い、絶望の淵に追い詰められたのだ。一方そのころ、ゴールデンレトリバーのレオもまた、新たな「未練」を解決しようと動き出した。「人魂」の噂が飛び交い、不審火事件が続く街で、一体何が起きているのか。すべての謎が一つに繋がったとき、シリーズ最大のピンチが2匹に迫っていた。『我が主様』の命により、動物の姿を借りて地上に降り立ったレオとクロ。彼らの本質は高位な霊的存在、いわゆる「死神」「天使」-。「生と死」に寄り添う隣人たちの、心震わせるミステリーシリーズ第3弾!
多彩な設定で魅せる奇妙奇天烈、変則フーダニットの見本市。ミステリは、こんなにも自由で奔放だ!そいつはいったい、誰なんだ?Who done it?巧妙に仕掛けられた7つの謎、あなたは解けるか!
宝石商の壬生真理子が夫の陽介と共に描いた綿密な殺人計画が今宵実行に移される。ターゲットは自分たちに偽造ダイヤを売りつけたイタリア人のフェルナンド。アリバイ工作も整い、残るは殺害のみという状況下、予想外の人物が凶弾に倒れる。だが、それすらも「計画」を逆手に取った加害者の計算通りだった…。予断を持って捜査を進める集団の中で、ただひとり花房は別の可能性を検討しはじめていた。思い込みで立ち止まってはならない。浮かび上がる真実が、たとえ信じられなくとも…。
閑古鳥さえ寄りつかない鵜飼探偵事務所に、待望の依頼人が訪れた。その男は、なんと烏賊川市の有力企業社長・小峰三郎。三郎は、クリスマスに宿泊するスクイッド荘に同行し、脅迫者から自分を護ってほしいという。断崖絶壁に建つ奇妙な形のスクイッド荘は大雪に見舞われ、いかにも怪事件が起こりそうなムード。探偵と助手が酒と温泉にうつつを抜かしている間に、殺人者はひたひたと忍び寄り…あっちもこっちも不審者だらけ!驚天動地の真相とは!?
覚醒剤密輸現場で逮捕された暴力団員・雨夜。“いい刑事”にしか話さないと黙秘していたが、警視庁捜査一課の見栄っ張りな刑事・滝田に会ったとたん、自供を始める。そして雨夜は、覚醒剤密輸で逃亡した人間に加え、品川で起こった暴力団幹部殺害の犯人を教えるという闇の“司法取引”で不起訴にしろと持ちかけてきた。彼が明かした殺人犯に戸惑う滝田。しかし、それは迷走する捜査の始まりに過ぎなかった…。
帝国主義に覆われ、軍靴の響きが近づく1905年のロンドン。霧の垂れ込めた街には夜ごと怪物が跋扈していた……。けれど、この街には暗鬱な空気に立ち向かう「白銀騎士団」がいる。腕利きの従者の中国人・李とインド人・ゴーシュ、負けん気の強いメイドのアイルランド人・アニー、そして若き准男爵(バロネット)にして団長のサー・ジョセフ。個性豊かな面々がロンドンの平和を守り、貧乏貴族を脱するため、はびこる悪と今日も戦う!
時は天正六年(1578年)。伊勢国を治める織田信長の次男・北畠信意は隣国、伊賀国への侵攻を計画していた。それをいち早く察知した伊賀国人たちは、侵攻の根城であった丸山城を強襲し焼き払う。しかし、これは大いなる戦の序章に過ぎなかった……。若き伊賀武者、新弥兵衛は幼馴染キヌへの思いを秘めつつも、剣術を極め任務にまい進するが、伊賀国の未来を憂う名主たちの思惑は決して一枚岩ではなく……裏切りの内通者、甲賀者の暗躍など予想外の事態が動き出すなか、強大な敵が間近に迫っていた!
新宿二丁目で夜遊びに興じる川島大吾。独身で趣味は仕事。男女の駆け引きのないニューハーフのショーパブに嵌っている。平成三年、あぶく景気が弾け、いつも指名するカスミも店を辞めた。当時はまだ日陰の存在だったニューハーフに頼る家族も故郷もない。老後の心配をするカスミに、ニューハーフのリタイアハウスのプランを告げる大吾だったが……。 狂騒のなかにも哀感があった平成バブル。 夜の街に囚われた、男、女、ニューハーフ、ジャパゆきさんの、果ての果て。