出版社 : 光文社
その一着を、もっと自由に!もっと楽しく!服に迷うあなたの背中をそっと押すハピネス・エンタテインメント。上野の森に佇む、夜だけオープンする謎めいた洋服屋。そこには一点モノの素敵な服が並ぶ。丹念に仕立てるのはファッションデザイナーの梓振流。ある日、アパレル販売員の五福あやめがお店を訪れた。仕事に追われてばかりの彼女だったが、振流の作るアイテムに心動かされ、退屈だった日常は変わっていく。彼に興味を抱き、同じ時を過ごす中であやめは知る。天才デザイナーの服への想い、哲学、そして隠された秘密まで…。
雪降る夜、ひとりの女が身を投げた。それがすべての始まりだった。非業の運命に翻弄されながらも、強く生きる人々を描く慟哭の長編ミステリー。夏の数日をともに過ごす三組の家族を、悲劇が襲う。最年少の五歳の少女が失踪したのだ。事件性も疑われるが、手掛かりが乏しく、行方は知れぬまま。穏やかな避暑地での日々は永遠に失われてしまったー。三組がそれぞれに秘めた複雑な家庭の事情と、長い時を経て発見された一通の告発状。絡み合った謎が氷解したとき、明らかになる真実とは?第25回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
イラク帰りの元傭兵・鹿島丈は妻の故郷・北海道で、米ソラリス社のデータセンター警備に就く。だが勤務初日、厳重なセキュリティーシステムを突いて、密室殺人が発生。道警やマスコミ、米軍属も駆け付け、現場は混乱を極める。さらに第二の密室殺人が起こってしまい…。封鎖された“クラウドの城”で、鹿島は殺人者と対峙する。IT文明の終着地で、世界を“実効支配”する“バベルの塔”データセンターの内実を描き切った大注目作!ノンストップ、ハードボイルド&本格ミステリー。壮絶にして至高、魂を揺さぶるエンタメ巨編。第25回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
心地よい風の吹く、大阪南部の海辺の町。妻子に逃げられた50オトコが元カノに拾われた先は「喫茶テンノット」。男は、店に来る顔馴染みや町の人々と、再び人生に向き直っていく。身内を亡くしたイカナゴ漁師、離婚して愛娘と離れ離れになった友、同級生の女性とその年老いた父親との確執と和解ー町には義理や人情が渦巻いている。あたたかなまなざしで人々を見つめ、それぞれの人生に吹く風を“笑い”と“涙”でくるんで鮮烈に描く感動の物語。
次々と現れる強力な新型ウイルスに対抗するため、この国には“繭”の仕組みができた。政府が定めた期間は外出が禁じられ、巣ごもりを強制されるのだ。しかし、皆が室内で安全に過ごすなか、外に出なければならない者もいる。警察官の水瀬アキオもその一人だ。ある日、AI搭載の猫型マシン・咲良と共に街をパトロールしていたアキオは、無許可で外に出ている犬を見つける。首輪のデータから飼い主を訪ねると、部屋では人が死んでいて…。クライシス・ノベルの名手が描く、非接触時代の「クライシス」。一人と一匹(?)が謎に迫るミステリー!
私たちは、この一週間で大人になる覚悟を決めた。「ドミナン事件」から5年。森奈緒、片山希莉、市原琴音たちは自立し新生活を始めていた。ある日、希莉の書いた小説が、若手人気女優・真瀬環菜名義で発表されることになる。不服ながらも抗えない希莉。さらに小説が発表されるや、作中の事件をなぞるように「事件」が発生してしまう。偶然とは思えないが、誰が何のために模倣したのかは見当もつかない。真相に近づこうとしたとき、ふたたび逃れられない悲劇が彼女たちに忍び寄る…。
伊予ヶ岳の山頂付近で発見された若い女性の死体。事故死あるいは自殺と思われたが、彼女が最近までストーカー被害に遭っていたことがわかる。千葉県警生活安全捜査隊の山下正司は、彼女の死への関与を疑うが、ストーカー加害者は名家の御曹司で、事情聴取にも妨害が入る始末。さらに、その家族が銃撃されたという通報が入り、混迷は極まる。次に狙われるのは、そして、事件の中心にいるのは、誰なのか?単行本作業中に急逝した著者が遺した、長編捜査小説の白眉。
真面目な女子高生、美優は予期しない妊娠をしてしまう。堕胎するには遅すぎると、福祉の手によって奥多摩にあるゲストハウス「グリーンゲイブルズ」に預けられる。そこには、明良と華南子という兄弟が、深刻な事情を抱えた子どもたちの里親となって、高齢の母、類子と暮らしていた。貧困、未婚、虐待、難しい背景をもつ里子たちを慈しんで育てる彼らにも、運命に翻弄され絶望を乗り越えた苦しい過去があった。話題作『展望塔のラプンツェル』に続く、家族の在り方に迫る物語。
七年前に新潟市内で起きた誘拐事件。凛(中一)と翔(小六)の姉弟が連れ去られるも、二人は無事生還。しかし、過激発言が売りのコメンテーターが二人の母・尚子を批判したことから猛烈な「母親バッシング」が起こり、尚子は廃ビルで転落死してしまう。事件の真相が解明されぬまま月日は流れ、件のコメンテーターが他殺体で発見される。同じ頃、姉弟は引き取られた施設を退所し、置き手紙を残して姿を消していた…。
東京都杉並区。古くからの住宅街の空き家に総勢十人の大家族が越してきた。カリスマ的なオーラを放つ六十代の女性を筆頭に、三人の娘とその連れ合い、そして孫の少女三人という女系家族だ。平安時代から神に仕える仕事をしてきたという一族は、不思議な磁力でたちまち地域の住民たちを取りこんでゆく。隣家に住む榊可南は彼らに警戒心を抱き、そのルーツを探ろうとするが、蔓延し始めた感染症がさらに思わぬ事態を引き起こしてゆくー。
息子を溺愛し、学校や近隣でトラブルを繰り返す母親。家から一歩も出ず、姿を見せない息子。最愛の息子は本当に存在しているのかー歪んだ母性が、やがて世間を震撼させるおぞましい事件を引き起こす。
大学生の玉城聖子が書店で待ち合わせているのは、警視庁の幹部と、座間味くんと呼ばれる中年の会社員の男性。世代も性別もバラバラだが、不可解な話を肴に時折酒を酌み交わす仲だ。浮気性の男が起こした傷害事件、若手起業家と空き巣の争い、猫がもたらした複雑な出会い、キャンプ場で一人テントを広げるスーツの女性、そして聖子の胸に淀む罪悪感…。杯を干すほどに推理は冴え、思いも寄らぬ真相が露わになっていく。酔いにまかせて油断しないで。世界はたった一言で変わるから。
ここは競天馬場。人々はペガサスのレースに熱狂して…-「天翔ける」、力みなぎるエナジードリンク。その力に頼りすぎると…-「Wolf」、やっと進んだ最終面接。でも社長の頭は三つあって!?-「会社の番人」…ヴァンパイアが、ミイラ男が、スライムまで!?古今東西のモンスターたちが現代社会で泣き笑い。どの話から読んでも楽しい全10編!現代ショートショートの旗手が贈る、シリーズ第4弾!
1967年生まれの理夏。アパレル業界に憧れて上京した19歳の頃バイトをしていたパン屋さん「アンゼリカ」が閉店すると聞き、30年ぶりに下北沢を訪れた。古いアパート「コーポ服部」で過ごしたバイト仲間の秋子、元住人・ちはるとの日々は濃く楽しい時間だったが、秋子に恋人ができ、すれ違い、三人はバラバラになってしまった。時を経ても消えることのない罪悪感を抱える理夏に、一通の手紙が届きー下北沢に実在した人気パン店「アンゼリカ」を舞台に、青春の輝きと苦みを知る大人のための物語。
十返舎一九、一世一代の野辺送り。「煙と共に灰左様なら」。お江戸の大火で、命からがら焼け出され、無一文のすっからかん。一九と娘の舞一家、涙と笑いの大騒動の巻。
孤独の中、捜査に没入していた新宿署生活安全課の刑事・鮫島は、北新宿のヤミ民泊で男が射殺されるのを目撃した。新上司・阿坂景子は鮫島に、新人刑事・矢崎と組んでの捜査を命じる。その殺人の背後には、公安、ヤクザ、北朝鮮、国際犯罪者、さらに謎の美女らの欲望と陰謀が幾重にも絡み合っていた。捜査を進める鮫島は謎の獲物を巡る彼らの苛烈な“争奪戦”に巻き込まれていくー。冒頭からラストまで一気読みの、哀愁、感動、痛快さと緊迫感あふれる圧倒的な傑作長編!
「お前さ、本当はママ、嫌いなんだろう。殺してやろうか」。中学受験生、殺し屋、弁護士、フリーター。出会うはずのなかった“虐げられた子供たち”が出会い、烈しく歪な“母を殺す”戦いがはじまる。
関ヶ原前夜。東西勢力の境目に位置する越前もまた、混乱のさなかにあった。山深い田舎で育った十三歳の於くらは、越前府中城の炊飯場で下女働きを始める。ある晩、一人夜中まで働く於くらのもとに、城仕えと思しき初老の男がつまみ食いをしにやって来る。於くらの作った夜食を美味そうに頬張るその男は、なんと城主・堀尾吉晴だった。吉晴に料理の才を見出された於くらは、持ち前の機転と思いやりで、天下人の心までをも動かしていくー。越前の田舎娘から、城の台所衆へ。料理の才に恵まれた少女・於くらが、戦乱の世に出会いと別れを繰り返しながら成長していく時代グルメ絵巻!
高知県を走る観光特急「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」の、雑誌記者・三杉克郎が予約をキャンセルした座席で、陰陽道の達人・高見恵二が殺された。十津川警部らは三杉を疑う。二日後、茅ヶ崎で元首相夫人・伊東宏子が殺された。高見と宏子は『日本』である全てを守るため「検閲」をする組織「日本桜会」の理事だった。三杉は太平洋戦争末期、国際法規違反の命令で特攻出撃した三杉の祖父・克馬のことを調べていた。祖父の特攻機「白菊」は、卑劣な特攻命令で高知の空から沖縄の海に飛んでいったのだ。その真相を探る三杉に何者かの脅迫がー。十津川は歴史の真実と、連続殺人事件の謎をめぐり闘う!