出版社 : 双葉社
第一印象は抜群だった。由美が出会った蔭山雄二は彼女の理想像。彼との新婚生活は幸せに満ちていた。が、一本の長い髪をきっかけに暗転。夫の下着に付いたそれに浮気の予感を抱いた由美は、彼の部屋を調べる。だが、見つけたのは毛根まで付いた髪の毛の束!凍りついた由美は昔の恋人にSOSを…。
ミステリ・マニアが密室で殺された。それは仲間の一人が書こうとしていた探偵小説を先取りしたかのような事件だった…。『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』に続く「第4の奇書」と呼ばれる本作品。綾辻行人氏との対談、作品論集、未公開の創作ノートを収録した永久保存版。
高校入試を終えてすぐ入院し、一学期を休学したぼくのために両親が用意したのは、ブロンドの美人家庭教師と2か月間カプリ島で“勉強”の遅れを取り戻すというカリキュラムだった。蠱惑的な彼女の姿態に魅せられた童貞のぼくが覗き見たバスルームでは、刺激的な光景が目撃される。充実した夏、ぼくの性は恐しいほどの進歩を遂げる。
蛇目孫四郎ー向島にある中野播磨守清茂の広大な屋敷内にある剣術道場に住まう剣士である。それも十二、三人いる居候剣士の中でも一、二の凄腕である。江戸市中で事件が起きると北町奉行所同心、蛙半兵衛が知恵を借りにやってくる。半分は孫四郎の懐を狙って酒を飲みにくるのだが。文政八年二月、商家の娘が寺詣りの帰りに殺された。
粘りつくように妖艶な肢体と麝香の香り-フリーカメラマン二階堂亮介は、自作の個展を訪れた吉行夏海という女に魅せられていた。銀座のクラブママ寺田千尋との蜜戯の合間も、女性編集者神崎奈々の慣れ親しんだ肌を堪能しているときも、どうしても脳裏から離れない。そんな折、友人の警部補・高浪に依頼されたプライベートな人探しが亮介を事件へ、夏海へと誘い込んでいく。
丸の内産業の企画開発課長、江見慎介はホテルでの情事の最中に、相手の監査役、三船保子から奇妙な依頼を受けた。名器の女を探して欲しいの、と。かくて恋人容認の「名器狩り」は開始された。可愛い男に極楽任務を与えた女監査役の目的は何か。考えるより先に、この任務に邁進する慎介であった。だからこそ彼の手中には社内の極秘リストが…。
アメリカに初の黒人大統領が誕生した!この事実は世界各国の政治に多大な影響を与えたが、それは世界政治だけでなくいわば末端に生きる二人の男の人生をも大きく変えることとなった。一人はアメリカ合衆国財務省シークレット・サービス大統領警護課長・ジャック・ロジャース、もう一人は警視庁警備部所属・野口英輔であった…。
新宿中央公園わきの路肩にとめられていた乗用車の運転席で、チンピラが頭を打ち抜かれて死んでいた。車内からコカインが見つかり、このチンピラが死の直前に鼻孔から吸引しているのも確認された。同じ日、代々木の焼肉屋で九名の射殺死体が発見された。鑑識の結果、凶器はたった一丁のトカレフであることが判明した。両現場ともに目撃者はおろか銃声を聞いたものさえいなかった。その男の存在を、新宿署のマル暴刑事奥村が知ったのは、この事件が発端だった。
白いふくよかな乳房を吸われ、花唇に指を刺され、男が唾液を塗ってクリトリスをあたため、鏡子の身体に火をつけた。「必ず僕のことを思い出してくれる。体が覚えているはずだ」-記憶を取り戻すための四国巡礼の先々で男に抱かれ、燃え上がることで過去の断片が甦る美しい尼僧の淫らな宿命。
仄かに光る蛍葉に人工雨が降りそそぐ。実験都市タヒチに突如現れた一匹の鼠が完全無菌状態を目指すコンピュータ“ハンターシステム”に、微妙だが致命的な誤作動を誘発したー。生きるために、外の世界を見るために彼らは行動を起こした!!新しい人類へと進化する少年たちを描く近未来小説の傑作。
高年齢層の爆発的増加。画期的な新薬の開発。健康保険制度の破綻。臓器移植の日常化。遺伝子治療の普及。医者の大量失業……。21世紀は医療ビッグバンの時代だ!!現役の臨床医でもある著者が、これらの大胆な予測を元に描いたユーモア溢れる19編の医療ショートショート集。
警察を追われて二十数年、今は墓職人をしている原島恭介は、墓地での作業中ホテトル嬢テンコと関わりを持つ。彼女を尾行していた探偵永松を締めあげた原島は、逆に儲け話があるともちかけられた。一方テンコも、バンコクで死んだ男が残したメモを見せ調べてほしいと依頼する。「丹沢の狢」が原島と二つの依頼を結びー。長篇ハードボイルド傑作。
農家の跡取り息子・結木輝和のもとにネパール人女性が嫁いで来た。そこから彼の人生は転落の一途を辿り始める。しかし、神の山ゴサインタンの懐に抱かれたとき、彼の魂は癒され、奇跡のように再生されるー。現代人の満たされぬ想いと、漠とした不安を救済する新しいエンターテインメントの世界。第10回山本周五郎賞受賞作。
天然記念物のビャクシンの巨木で有名な伊豆半島・大瀬岬で映画の撮影中に監督が殺害される事件が起きた。事件は未解決のまま数年が経過した。助監督をしていた私は、その映画でヒロインを演じていた女優の自伝を書くために、当時の関係者に話を聞いてまわった。そこから事件の真相も浮かんできた。