出版社 : 双葉社
坂巻内科医院の院長、倫三が急死した。死因はウイルス性の脳炎によるものだった。同じ頃、彼が研究に通っていた明京医大の細菌学教室で、ウイルスの盗難事件が発覚しており、倫三は致死率100%の恐るべきウイルスに感染した可能性もあった。しかし、専門医による感染ルートの解明も不可能だった。果たしてウイルス利用の完全犯罪殺人は可能なのか。
寝台特急「エルム」のB寝台で芸能プロダクション社長が変死した。毒物による他殺も考えられる。数日数、容疑者と目される人物が都内のホテルで毒殺された。二つの事件で容疑者扱いされた作詞家の小池は身の潔白を証明すべく、犯人探しに乗りだす。協力するのは殺された社長の姪・純子。が、二人が犯人と睨んだ人物には鉄壁のアリバイがあった。
東京の麻布十番商店街に店を構える和菓子屋の開化堂は、創業以来100年続く老舗。その開化堂の菓子職人、剣持政吉は一竹薮に猛虎の吠える図柄の胸から背中にかけての彫り物でー「白虎の政」という通り名で会津若松から東北一円で鳴らしたスジ者。足を洗った白虎の政が主家の危機にドスを抱いて斬り込みに。任侠ファンなら読まずにいられない短篇6話。
動物保護NGO(INCA)の特殊工作員ハッチこと蜂須賀林太郎は、今までに何度も修羅場をくぐり抜けながら、絶滅寸前の希少動物を発見、保護に成功してきた。彼の凄腕とツキを買ったのが、インド洋モーリシャスのホテル王。その依頼は、古代に死に絶えたといわれる体重20トン、全長25メートルの怪物ザメ=メガロドンの生け捕り。海神をも恐れぬ未曾有の「ビッグM」捕獲大作戦だ。史上最強の生き物を標的にしたハッチは…。
夏の暑い日、女子大生の鈴木かおるは、アパートの隣室に無断で入り込んでいた女を殺してしまった。かおるは遺体を処分。完全犯罪を心に誓う。一方、同じく夏の暑い日、サイコ・セラピストの須山久美子は、「わたし、人を殺してしまったんです」という若い女性からの電話を受けた。後日、久美子を指名して、大学生のクライアント、小柳陶子がやって来た。陶子は、「兄を轢き殺した男への殺意が抑えきれない」と言う。久美子のまわりで、暑い夏は次第に複雑な様相を帯びていく。謎めいたクライアント、無言電話、女子大生の自殺、女性のバラバラ死体…。七本の糸が一本に結び合わされるとき、驚愕のドラマが始まる。
パンストを脱がされ、篠原校長はズボンを膝までずらしてのしかかってくる。すでに花唇は濡れていてクレーターを堀り進んでくる肉棒の圧迫感が、なんともいえない。「あッ、ああ、ああ」と何度か呻いていた。ぴったり凹凸食いつきあうと花唇部分に圧力がかかり、周辺から熱くなる。ヘアとヘアがまざりあい、こすられ、たまらない刺激が全身を貫ぬいて…。福マンと噂される未亡人の教師・桐子は今日も幸福を与えるために男達とのめくるめくセックスにのめり込んで…。
岬の突端にある「愛の鐘」を鳴らすと、恋が叶うという、西伊豆の名所・恋人岬の駐車場で男の惨殺死体が発見された。殺された宇野原武志は、元愛人で、社長夫人の小牧瑛美を脅迫して金を騙しとろうと企て西伊豆にやってきた。殺害時刻、現場近くに居合わせた三人の男女、保坂真二郎、小牧瑛美、渡部ナオミは大仁警察署の厳しい事情聴取を受けるはめに…。事件解明が進むとともに明らかになる三人の錯綜した愛憎劇。そんな中、古参刑事下村の必死の捜査で犯人像は絞られていく…。
殺された若い女性の部屋は、窓やドアが完全にロックされておりごていねいにもチェーンまで掛けられていた。この密室殺人解明に乗り出したのが八木沢警部補だった。八木沢は警視庁では変わり者と言われているが抜群の推理力を持っている。必死の捜査を嘲笑う様に次々と女性が殺されてゆく、そしてなぜかどの死体の側にも奥州平泉からの絵葉書が…。