出版社 : 双葉社
信吾は上半身を起こし、白いパンティをクルリと剥いだ。正子の女陰はしっかりと目覚め、指先で開いた左右の肉の隙間から透明なあぶくがプクッ、プクッとせり上がっている。信吾は両手で内ももを大きく開いた。「あーっ、あっ、あーん」女陰の奥の内ひだから湧き起こる泡の量が、さらに増す。信吾は生唾を呑み込み、聳り立った分身をその泡の源に突き立てた。「週刊大衆」好評連載、新鋭の長編官能“股間小説”第三弾。話題沸騰。
京都洛西、苔寺として知られている西芳寺の門前にある茶店の娘秦春香は、子犬の鳴き声が気になって外へ出た。竹林で鳴く子犬を追って行くと、そこに朱鷺色の和服を着た三十歳前後の女性が死んでいた。その女性と子犬は関係があるのか、警察は事件の解決に動きはじめたが、子犬は春香が引きとりモクベエと名づけた。ようやくモクベエの飼主を春香は探しだしたが、事件解明は進展せず、茶店の客の縁で宮之原警部の登場となった…。
四国の寺に生まれた光真は、既に三歳にして死を事実として認識していた。また育った時代も特異なものだった。就学前は戦前、小・中学校は戦中、高校・大学は戦後と大波に翻弄され通す。そしてその度に常識が価値観がクルクル入れ替る。そんな中で恋を求め主義を求め生きる光真の姿を詩情高く謳いあげた注目の問題作。
昔バンドマンだった父は急に「瀬田の唐橋が見たい」と娘の路子に言いおいて大津に旅立った。そしてその旅行から帰った数日後、父は行方不明になってしまう。残された手掛りは数枚の写真だけだった。路子は父の昔のバンド仲間を尋ね歩きその写真を見せると、意外なことに、当時バンド仲間のマドンナとも言うべき美貌の女性が浮かびあがって来た。
江戸の日本橋界隅を縄張りとする岡っ引き・市蔵は、下手人を挙げるだけでなく、事件の背景の事情にも細やかに目を向け、市井の片隅でけなげに生きる人々に温い視線を送ることを自らの務めとしているー。大型新人が、江戸庶民の暮らしぶりを丹念に職り込みつつ哀歓漂う補物帳に仕立て上げた、珠玉の連作シリーズ。第12回「小説推理」新人賞受賞作。
人はなぜ生きてるのかなんて今まであまり考えたこともなかったけど…あたしが出した結論はこうです守…人生って、結局、人を好きになることじゃないかな。だとしたら、あたしは死んでるようなもんですだってあたしは…好きになってはいけない人を愛してしまったんだから。
この夏は、僕にいくつものことを教えてくれた。大人になるための方法を、人の愛し方や裏切り方を、家族のことを、かけがえのない友だちがいる幸福を、そして、どんな夏も永遠に続くことはないという悲しい真実を。
これまであまり脚光をあびなかった、しかし実際は、忍者のように大きな活躍をした日本海軍の潜水艦隊。日本軍の上層部が、その威力と有用性にもっと早期に気づいていたら、日本の勝利もありえたかも知れない…。
火と善行の神・プロメテウス。その名を冠した処女軍団は独裁首相の私兵と化し、“正義”の名のもとに、庶民を弾圧する殺人集団へと姿を変えてしまった。19××年、急速に軍国主義化する日本。反対派は体内に爆弾を埋め込んだ女性テロリストを派遣…。善行と信じつつ愚行へ走る乙女たちの姿が哀しみと共感を呼び起こす、著者畢生の近未来サスペンス。
蝶々夫人に殺されたー新幹線ひかり277号のコンパートメント内で、殺された中年男が息を引きさる間際、車掌に言い残した言葉だ。そして一緒に居た若い女性が姿を晦ました。警乗中だった鉄道警察隊の女刑事・香月美沙子はその謎の女を追って長崎へ。一方美沙子の大学時代の先輩で元警視庁捜査官だった花園千明も事件解明に協力することになった。