出版社 : 宝島社
父が残した古民家カフェ「夜咄堂」。そこには、黒髪の美少女とおっさん、そして犬の“つくも神”がいたー。大学一年生の千尋は、彼らから茶道を学ぶうちに、嫌っていた茶道の良さを知り、夜咄堂の店長となる。だが、お客は来ず、さらにはトラブルも発生。新米店長かつ駆けだし茶人の千尋にできることはなんだろうか?悩みつつも解決しようとする千尋だったが…。広島・尾道を舞台に、切なさと温かさが交差する再生の物語。第4回ネット小説大賞受賞作第二夜。
加茂北高校音楽科に転入した岬洋介は、その卓越したピアノ演奏でたちまちクラスの面々を魅了する。しかしその才能は羨望と妬みをも集め、クラスメイトの岩倉にいじめられていた岬は、岩倉が他殺体で見つかったことで殺人の容疑をかけられる。憎悪を向けられる岬は自らの嫌疑を晴らすため、級友の鷹村とともに“最初の事件”に立ち向かう。その最中、岬のピアニスト人生を左右する悲運が…。
二十八年前、八百長疑惑をかけられてみずから命を絶った伝説の下手投げ投手K・M。行方不明になっていた千五百奪三振の記念ボールが発見されたのをきっかけに、彼を再評価する動きが起こる。作家の芹澤真一郎は、K・Mの伝記を書くべく関係者たちのもとを取材して回るが、彼にまつわる逸話にはいくつもの謎があったー。途絶した芹澤の原稿を引き継ぎ、野球嫌いの「あたし」が謎に迫る。
上州(群馬)見廻りの任についた関東取締出役(通称「八州廻り」)の藤掛右京は、ひそかに飼育された上州牛のすき焼き鍋の供応を受ける。獣肉を忌み嫌う時代に、この地にひそかに伝わるすき焼き鍋。上州沼田領を治め、また93歳まで生きて長命で知られた真田信之と、隣接する高崎領を治めた井伊直政に由来するのだという。このすき焼き鍋の秘密に気づいた右京は、凶賊捕縛に立ち上がる!書き下ろし。
保険調査員の仕事は、保険会社から支払われる保険金に関して、被保険者側に問題がないか調査・報告すること。しかし、江崎に回ってくるのは、大学教授の密室での突然死をはじめとした不審死ばかり。その死は果たして自殺か事故か、殺人かー。そんなとき、江崎は意中の研究者・友永久理子に相談を持ちかける。恋人より研究優先の熱血“理系女子”探偵が、化学を駆使し不審死の謎に迫る!
一年の半分近くが冬となる極寒の地を治める伯爵リツハルドは、夜会で出会った男装の麗人、元軍人のジークリンデに目を奪われ、思わず告げるー「自分と結婚してください!」と。一目惚れから始まった、オーロラが空を彩る地での、一年間のお試し婚。トナカイを狩り、解体&仕分け&熟成。摘んだベリーは保存食に。伝統工芸品を作る合間に、凍結湖で魚釣り。自給自足の狩猟民族的スローライフを通して、奥手な二人は無事、正式な夫婦となれるのか?
ある日突然、銃を所持した超能力者(らしい)二人組に拉致された町田瞬。彼らは組織の命令で、危険な能力を持つ(らしい)瞬を殺しに来たのだという。その能力とは、超能力の「無効化」。つまり、瞬の前では超能力者による超常現象は発生しない(らしい)-。なんとか命拾いした瞬は、代わりに超能力者による組織『超現象調査機構』で働くことになり、やがて奇怪な事件に巻き込まれていく…。
長崎の女子大学に入学した東京出身の乙女は、オランダ坂の外れに一軒の洋館カフェを見つけ、バイトをすることに。クラシカルで雰囲気たっぷりのカフェのメニューは、一日一品のデザートセットのみ。不機嫌顔のイケメンオーナーは、本業不明でやる気ゼロ。その上、雨降る夜にしか開店しないという謎システム。乙女は怪しすぎるバイトをやめようかと思うが、提供される極上スイーツに攻略され、徐々にカフェと長崎の歴史に夢中になって…。
運命のいたずらから、魔女が呪いをかけた城にやってきた、村の美しい娘ベル。彼女は城で、自身の無慈悲さから醜い野獣に姿を変えられた王子に、捕われてしまう。ひそかに城からの脱出を計画していたベルは、野獣やミステリアスな城について知っていく。やがてベルは彼女自身にも関係する、想像を超える隠された真実に直面するのだった。一世紀を超えて愛される名作を完全ノベライズ。
体操界期待の新星・結城幸市ー高校の全日本選手権の鉄棒で優勝し、順風満帆だった彼の青春を、度重なる不運が襲う。幸市の練習中にばかり相次ぐ器具の故障。さらに妹の似奈が転落事故で植物状態に陥ってしまう。一度は酷く心を乱す幸市だが、家族の不安を払うため、そして自分に期待を寄せてきた似奈への「誓い」を胸に、幸市は世界選手権に挑む。
魔獣が跋扈する森の奥。一匹の火吹き竜が、猫たちと暮らしていた。永きにわたり猫を守り育てる竜を、猫たちは「羽のおじちゃん」と呼び、人間は畏怖と敬意を込め「猫竜」と呼んだ。竜の庇護を離れた後に、人間と暮らす猫もいる。冒険に憧れる王子と、黒猫の英雄。孤児院の少女に魔法を教える白猫。そして森では、今日も竜が子猫に狩りを教えている。これは、猫と竜と人間の、温かく不思議で、ちょっと切ない物語。
麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる凶器へと変わっていく。一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され…。
“歩く一人諜報組織”=“クルス機関”の異名をとる神奈川県警外事課の来栖惟臣は、日本に潜入している北朝鮮の工作員が大規模テロを企てているという情報を得る。一方そのころ、北の関係者と目される者たちが口封じに次々と暗殺されていた。暗殺者の名は、呉宗秀。日本社会に溶け込み、冷酷に殺戮を重ねる宗秀であったが、彼のもとに謎の女子高生が現れてから、歯車が狂い始めるー。
「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」-江戸時代、京で口入業を営む「縁見屋」の一人娘のお輪は、母、祖母、曾祖母がみな二十六歳で亡くなったという「悪縁」を知り、自らの行く末を案じる。謎めく修行者・帰燕は、秘術を用いて悪縁を祓えるというが…。縁見屋の歴史と四代にわたる呪縛、そして帰燕の正体。息を呑む真実がすべてを繋ぎ、やがて京全土を巻き込んでいく。
ある夜、八木沼真知の部屋を見知らぬ男が訪ねてきた。初対面にもかかわらず、彼はなぜか真知の昔からのあだ名や好物を知っていた。一方、周囲で不可解なことが起きているのに気付く美門玲二。どうやら眠っている間に、別人格が勝手に行動しているようなのだ。本来交わるはずのない二人の運命を結び付けるのは、半年前のとある転落事故ー。真知は恋人を失ったその事故について調べ始める。
北海道に帰省していた原麻希一家は、観光に寄った札幌の公園で、氷漬けとなった女性の遺体を発見する。女性は以前、東京に住んでいた際に、警視庁「女性犯罪」捜査班にストーカー相談に訪れていたことがわかった。捜査を開始した麻希は、警察官を志すきっかけとなった北海道警の瀧正義警部と再会するも、その姿は変わり果てていたー。天才捜査官・原麻希の切ない過去が初めて描かれる、人気シリーズ最新作!
古都には雪が舞い、年の暮れが近づいていた。厳しい冬でも、居酒屋「のぶ」は暖かな店内で美味い酒や料理を振る舞ってくれる。ハンスは衛兵を辞めて「のぶ」で料理人の修業を始めたのだが、父親は気に入らない様子。そんな折、帝国皇帝と東王国の王女摂政宮との間で“お見合い”の話が持ち上がった。しかし皇帝は見合い相手と結婚することに乗り気ではなかった。親子仲も恋も揺れる異世界グルメファンタジー、第3弾。
結城クロは、ある日の放課後の教室で、同級生だった長谷川紫音の幽霊と出会う。紫音を成仏させるため、彼女の心残りを聞き出そうとするクロ。しかし紫音はまるで取り合わず、生きていたころと同じようにクロを振り回していくが、やがて紫音の記憶と存在が薄れ始めて…。霊感体質の少年と、幽霊少女が繰り広げるせつない青春ラブストーリー。物語の最後に明かされる、相手を想うあまりについてきた「嘘」とはー。
行動心理学を用いて相手の嘘を見破る美人刑事“エンマ様”こと、楯岡絵麻。強盗殺人事件が起こり、事件翌日に署内で拳銃自殺した刑事・宮出が犯人とされたが、同期の綿貫は、真面目で気弱な宮出の犯行を信じられず、独自で探りはじめ…。女子大生の失踪、アイドルの他殺体、歪んだ愛が引き起こす様々な事件を絵麻が捜査するなか、やがて綿貫は宮出の痛切な思いに辿り着く。