出版社 : 小学館
世紀を超えて紡ぐおいしい家族ファンタジー 第3回「日本おいしい小説大賞」、郷土愛と貴重なレシピ満載の受賞作! 石庭大輔は宇都宮市大谷町にある元石材商の旧家に暮らす公務員。ある日、石庭家に見知らぬ若い女性が現れた。アヤと名乗るその女性は明治時代の生まれで、亡くなった大輔の祖父のもとで働いていたと言う。 友人の紫は「タイムスリップだ!」と騒ぐが、大輔は信じない。だが、アヤが作った冷やしコーヒーを口にして驚く。祖父が生前「もう一度飲みたい」と語っていた通りの味わいだったのだ。さらに大輔は妹の忘れ形見・ルナを引き取ることになり、アヤ、そしてなぜか紫をも巻き込んで奇妙な同居生活が始まった。 天涯孤独の身で食にも生活にも興味なく生きてきた大輔だったが、アヤの作る百年前の料理に次第に食卓を楽しむ気持ちが湧き上がる。しかし、あるきっかけから新たなタイムスリップが起きてしまい……。 壺飯、じんごろう焼き、源氏飯、チタケうどん、自家製れもんミルク、甘露梅、ベーキャップル、ミルクセーキ、クリームコロッケ、柚煎りなど、おなじみのメニューから現代では失われたレシピも登場。 さまざまな食が時間をこえて絆を紡ぎだす、“おいしい”家族ファンタジー!
倒れたロメリア。動き始める強大な敵。 血風舞い散るガンガルガ要塞攻防戦。 六カ国連合軍と共に魔王軍と戦っていたロメリアだが、魔王軍の反撃により連合軍は敗北。撤退を余儀なくされた。撤退の最中、敵地からの唯一の逃げ道である橋が味方により爆破され、ロメリアをはじめ多くの兵士が敵地に取り残される。その中にはヒュース王子やゼファー、レーリア公女にヘレン王女といった連合軍の王族の姿があった。 ロメリアの活躍により、押し寄せる魔王軍を一時撃退することに成功したが、当のロメリアは負傷し意識を失う。残された兵士達は、ギャミ参謀の魔王軍に包囲され逃げ場はない。ロメリア二十騎士は祈るようにして彼女の回復を待ち続けていた……。 一方、魔王軍の本拠地ローバーンでは、長らく書庫に籠もっていたガリオスがついに動き始める。時を同じくして、ライオネル王国に残っていたアルとレイのもとに手紙が届けられ、二人もロメリアが負傷したことを知る……。 風雲急を告げるガンガルガ攻防戦。連合軍に勝ち筋はあるのか? そして、倒れたロメリアの運命やいかに?
昭和10年代から戦後までの文壇の舞台裏を描く。-個々の作品が独立した短篇であることはいうまでもないが、連続性を意図して執筆したことも事実であった。いわゆる連作であるが、変則的な長篇といえるかもしれない。文芸雑誌「行動」の編集者だった時代を描いた「浮きつつ遠く」、二・二六事件前後の作家たちとの交流を扱った「その日私は」、戦時中の文人たちの姿を活写した「暗い夜の私」、戦後の雑誌界や日本文藝家協会について触れる「真暗な朝」など、年代ごとの文壇の様子や作家の生の姿が垣間見える秀作短篇集。他に「ほとりの私」「深い海の底で」「彼と」の計7篇を収録。
米国最北端の町で繰り広げられる人間ドラマ --彼等はみんなその祖先に流れ者の血を持っているので、流れ者に対して寛容であり、理解もあった。-- 命からがらの逃避行でロシアから逃れ、中国、そしてアメリカ最北端へと流れ着いたマリヤ。マリアの飼う4頭のシベリア犬に飼い猫を殺されたにもかかわらず、友人づきあいをする日本人アヤ。そのアヤは、前夫との子を連れ日本に一時帰国するが、元夫とはやはり心を通わせることができず、親子ともどもさみしい思いを抱いてアメリカに戻る。 アヤとも知り合いのカルロスはスペイン、中米から自作のヨットで漂着し、そのまま居着いてしまった印刷屋の主人。ある日フェリーでやってきた東洋系の女性と知り合うが、彼女もまた、韓国系の母親と日本人の父親を持つ“漂流者”の一人だったーー。 第14回女流文学賞を受賞した名作長編。
人生の黄昏を希望に変える温もり溢れる一冊 女子中学生、40代独身女性、定年退職後の男性、認知症の男性、ゲイの青年、妻と姑、老優……。人生十色、生きづらさを抱え、悩み傷つきながらもそれぞれが小さな希望を掬い取って行くさまを丁寧に描く感涙小説。 第一幕 ひろった光ーーー同級生がいじめにより自殺。その事実に傷つきもがく少女が出逢う、隣部屋の老優。その奇妙な行動の果てには。 第二幕 金の水に泳ぐーーー真面目に頑張って生きてきた40代独身女性。求職と婚活に戸惑いながら、人生を、自分を見つめ直して得た答えは。 第三幕 ゴールデンガールズーーー定年後の男性。自分がかつてパワハラ、セクハラをしていた女性に偶然出逢うが……。痛快なラスト。 第四幕 なつかしい夕映えーーー老人の家を訪れる二人の若い男。その正体は一体?そして、珠玉の思い出とは。 第五幕 黄金色の名前ーーーかつて女性の誰もが抱いていたつらさと葛藤を、女性ならではの目線で描ききる。 幕間 登場人物達が織りなす、出会いと絆。 終幕 ゴールド・ライト 老優の心に去来する悔恨に満ちた人生。そして戻らない深い愛。それでも生ききる強さ。 人生が、歳を重ねることが愛おしくなる作品です。 【編集担当からのおすすめ情報】 この小説は、昨年惜しまれながら解散した、さいたまゴールド・シアターから着想を得ました。とかくこの世は住みにくい。優しく真面目な人ほど生きづらい毎日。そんな誰しもが共感する登場人物達の思いや、古典演劇から引用した人生フレーズが心に刺さります。どこかにきっと、あなたが共感し、そして救われる言葉が、エピソードがあるはずです。そして、誰にでも訪れる「老い」や「死にゆくこと」。そこに想いをはせるきっかけにもなるはずです。老いることは悲しいことではない。どんな人生も、かけがえのないその人の人生。読後にはきっと、生きる勇気を与えてくれる、そんな一冊です。
残酷で、愛おしい、人生やりなおしメソッド 韓国KBSでドラマ化、Netflixにて日本版同時配信された『こんにちは?私だよ!』の原作小説。 著者は、『ハイキングガール』『忍者ガールズ』『ハンターガール』とガールズ作品に定評がある、韓国内著者累計12万部を超える人気小説家。 <本作あらすじ> 自信に満ちあふれた17歳の美少女が、10年後にタイムスリップし27歳となった自分に出会う。しかし、自分が思い描いていた理想像とはかけ離れた情けない姿になっていて・・・。 この10年に何があった? その10年は取り戻せる? 17歳と27歳のそれぞれの視点で交互に語られるリアルファンタジー。
魔王軍のヒモは、永遠に不滅です! 魔族たちが企む“神”の召喚に対抗するため、レインたちは戦闘の準備を整える。さすがに今回ばかりは、エレノアたちと遊ぶ暇はないだろう……。と思われたが、さすがは万全なホワイト体制の魔王軍。リフレッシュのため、レインたちには十分な休養の時間を与えられた。七人組の計らいもあり、雪遊びに温泉、パーティー、カジノなどを楽しむレイン。さらに、人類の危機のため英雄たちとも協力関係を結ぶことに。すると、賢者、魔弾、聖女が突然押し掛けてきてーー!?
仁鍋島ー通称「人面島」。島には隠れキリシタンの財宝が眠っているという。村長であり大地主の鴇川行平が急死し、島の多くを占める土地が相続されることに。相続人兄弟は、島を統べる神社の宮司と、一大産業である漁業組合長をそれぞれバックに持っている。さらに二人には過去に因縁が。そんななか、長男の匠太郎が密室で不可解な死を遂げた。嵐のなか、電気も通信も断たれた絶海の孤島。犯人は、そして驚くべき真相とは!?三度の飯よりトラブルが好き!?毒舌“人面瘡”探偵×ポンコツ相続鑑定士、隠れキリシタンの島で密室殺人の謎に挑む!
東洋の化粧品王は、いかにして誕生したか 「ほんまに、きみが愛おし!」 時は明治の世。秀才ながらも、山口の家族を支えるため進学をあきらめ、単身神戸に出てきた少年・利一。牛より安い値段で花街に売られてきた少女・ハナ。神戸の花隈での二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へとつながっていく。そして、幼い日に誓い合った約束の行方は? 産経新聞連載時から大反響! 明治・大正・昭和の激動期を、「真心」の製品作りと斬新な宣伝手法を武器に乗り切り、大阪で100年を超える会社を創業した“東洋の化粧品王”と呼ばれた男の一代記!
世界で一番美しい、究極の遠距離恋愛を描く 『桜の花びら集めてみませんか?』 大学四年生の春、就職試験に全滅した日向(ひなた)は、友人から不思議なアルバイトを紹介される。怪しいと思いつつも、彼はそこで出逢った依頼主・雫(しずく)に一目惚れをする。彼女がくれた「ありがとう」という言葉は、希望をなくしていた日向の心を鮮やかな色に染めた。自分も誰かに「ありがとう」と言われる仕事がしたい。彼女に振り向いてもらいたい。その思いを胸に、日向は新たな一歩を踏み出した。 しかし雫には、大きな大きな秘密があった……。 「本当のわたしを知ったら、きっと好きじゃいられないよ。わたしね、一年でたった七日間しか起きていられないの」 雫は一年のほとんどを眠り続けるという不思議な体質の持ち主だったのだ。彼女に逢えるのは夏のほんの一週間だけ。その事実に動揺を隠せない日向。 夢の中じゃメールも電話もできない。逢いたくても逢えない。声だって聞くこともできないんだ。そんな女の子と恋なんて絶対にできっこない。 この恋は、夢と現実の遠距離恋愛なんだ……。 どんな国よりずっと遠くて、どんな時差よりずっと永い、 究極の遠距離恋愛の物語ーー。 【編集担当からのおすすめ情報】 宇山佳佑さんは現代の恋愛小説家のなかでも、今、次作が最も待ち遠しい作家さんの一人ではないでしょうか。今回の原稿を拝読して、あまりに素敵な恋愛小説で鳥肌が立ちました。控えめに言っても、宇山さんの最高傑作かと思います。登場人物の想いがこもった物語が幾層にも重なって、胸に迫ってきます。ページをめくる手が止まらず、心からワクワクしました。それぞれのシーンが鮮やかで映像が目に浮かんできました。 切ないけれど、悲しくない。泣けるんだけれど、読後爽快。読むだけで心がキレイになる、そんな素敵な恋物語。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 目次 プロローグ いつ終わるとも限らない世界で 5 第一章 究極の遠距離恋愛 8 第二章 待ってないでの日々 156 第三章 君と僕の一生分の恋 264 エピローグ 果てなく続く眠りの中で 330
母の不遇な半生と実業家一家の愛憎を描く 柴山芳三が事業に失敗して困窮しているとき、管財人として現れ、救いの手を差しのべた小田村大介は、じつは芳三が没落するきっかけを作った人物だった。 豪腕の実業家であり、気鋭の政治家でもあった小田村は、あるとき芳三の娘・月子を強引にさらい、自分のものにしてしまう。月子は一男一女をもうけ、愛人として空しい日々を送っていたが、短歌に生きる希望を見いだし、小田村の死後もたくましく生きていこうとするのだったーー。 作者の父・堤康次郎をモデルとした『父の肖像』と対をなす作品で、歌人でもあった作者の母・青山操とそのきょうだい、そして作者自身と思われる人物が登場する自伝的長編。
表題作「夜風の縺れ」は、1955年9月に発行された同人誌「運河」第1号に収められていたもので、従来、色川作品最古といわれていた「小さな部屋」(1956年9月「文学生活」初出、『色川武大・阿佐田哲也 電子全集7』所収)よりも古く、『怪しい来客簿』(『色川武大・阿佐田哲也 電子全集1』所収)の「門の前の青春」にもつながる貴重な作品。さらに、杉民也名義で書かれた「寝心地よいアスファルト」、歴史小説「影にされた男」「覇城の人柱」などの新規発掘作品8篇を収録。加えて、『色川武大・阿佐田哲也 電子全集23』より、30篇の単行本未収録小説・エッセイと、1985年に記されたまま公表されていなかった「日記」を網羅した決定版。
現役新聞記者だから描けたリアル検察小説。見習い女性検事が異動先の鹿児島で一悶着を起こす「ジャンブルズ」、小倉支部の万年窓際検事が組織から孤立しながら凶悪暴力団に立ち向かう「海と殺意」ほか、全四話+αの連作短編集。
ーーこの仇討ちは、伝説となる。 聖塩に護られし地、レディア王国。 だが悪臣キーラによって王は殺され、国家存亡の危機に立たされる。 列国最強と謳われたレディア騎士団も、護国派と仇討ち派で分裂の危機ーー。 現代人の寺坂喜一がやってきたのは、そんなときだった。 美少女団長クラノスの信頼を得て、仇討ち派の女騎士アンスヴェイを説得にかかる! 「黙れ乳騎士!」「何よ尻騎士!」 「やめろ! 過度な個人攻撃は、俺の世界でも問題になってるぞ!」 ……おのおの方、頼むから仲良くしよ? 再現せよ忠臣蔵! 痛快“討ち入り”ファンタジー活劇、ここに開宴!!
名もなき天才音楽家の軌跡と奇跡 昭和初期、瀬名ニコデモは、ある裕福な実業家のもとに生まれ落ちた。眉目秀麗、神童の名を恣にし、父親の方針でパリへと留学をする。時は第二次開戦前夜、音楽の道に己の生涯を捧げようとするニコデモは、伝手を頼って、評判の音楽家の門を叩く。彼女から滋養のようにして吸収した音楽の知識は比肩するものなし、との域に達するものの、なぜか自らの手で作曲することができなかった。そこには、日本を立つ前の小旅行で遭遇した、ある奇怪な出来事が影響していた。 物語は、その後、語り手を変えながら、現代まで続いていく。そして、にわかには信じがたいような、ある不思議なことが起こる。
太宰治賞作家が描く大人の恋の群像劇 人生の経験を積んだ大人でも、恋愛だけは不器用なまま。太宰治賞受賞後第1作、錦見映理子が大人の恋と人生を鮮やかに紡ぎ出す。 不倫の恋に破れ、勤めていた会社を辞めた万里絵。知らない町で、夢だった喫茶店を開き、ここで穏やかに暮らしていこうと決心する。そんな矢先、店に奇妙な男が現れる。その男・虎之介は、商店街の一角にできたパン屋で働くパン職人。仕事においては高い技術を誇り、実直な職人気質な男だが、こと女に関してはだらしないことこの上なく、町の女達が翻弄される。 そんなある日、自由奔放な虎之介に振り回されてきた女達に厳しい現実がつきつけられる。 その後、女達に予想外の結末が訪れる。 Apple Books限定先行配信・有料小説ランキング1位を獲得した小説、待望の書籍化。
母に捨てられ、有名な詩人だった父・洋之助が亡くなってからは祖母に虐待されて育った嫩(ふたば)。結婚後も夜な夜な暴力を振るう夫に悩まされ続け、やっと別れることができてほっとしたところに、父の知人・岸上太郎が訪ねてきた。「軽いエッセイや小説でも。いや、そんなことより洋之助の思い出を書いてみなさい。…君なら書ける」詩人萩原朔太郎の長女・葉子の実体験をもとにした自伝的小説で、『蕁麻の家』『閉ざされた庭』に続く三部作の完結編。三部作全体のあとがきとして書かれた『歳月ー父・朔太郎への手紙』も収録。
ー世間というものはおそろしいな…庭をちょっと作り変えれば、どこかおかしいと思われるし、他愛のない絵を描けば変態扱いか…そういう自分たちの、どこが正常だと思ってやがるんだろうー定年前後の男たちが、庭の作りかえや裸婦画、プラモデル作りなどに熱中するが、周囲にはまるで理解してもらえない悲哀を描いた「積木あそび」、ナイフやフォークを持つときに相手が小指を立てていたという一事で見合いが流れてしまう「小指」、病気で倒れたお偉いさんのため、好物だという鰻を熱々の状態で届けたが、どんでん返しに遭う「鰻」などなど、中高年の悲喜劇17篇を収録した名作短篇集。
現役受験生作家がリアルに紡ぐ受験生の青春 舞台は、とある地方都市。高校3年生となり、受験生の水咲。 ある朝、町中の尊敬を集める「先生一家」の門前にパトカーが何台も集まり大ニュースに。そこは昔から憧れの的だった、現在通う高校の生物教師の家でもある。水咲といつも一緒の幼なじみ・聖二と愛海も心配で駆けつけるが、手錠をかけられ警察に連行されて出てきたのはなんと憧れの生物教師だった! その先生は幼い頃から水咲にとって特別な存在。先生をひたすら信じたい一心から水咲はまた別の事件にも巻き込まれてしまい……。 著者が現役受験生として受験勉強と並行して描いた、地方都市在住受験生の青春を描いた初恋小説。読後爽快、リアルな青春を鮮やかに描く。 【編集担当からのおすすめ情報】 「さすがに、受験生の高3は執筆は無理ですよね」と、2,3年前から話をしていました。お互い、すっかりそのつもりでした。でも、著者が実際に高校3年生となったある日、「やっぱり小説を書きたい」との連絡が。「え?本当に?」最初は半信半疑でしたが、それなら、と『現役受験生が描く受験生の青春小説』を書いてほしい、と提案をしました。現役受験生のナマの感情が詰まった小説を読める機会なんて、ないですから。そして秋に上がってきたのが、この小説です。大人の私が読んだ最初の感想は目からウロコ、でした。令和の受験生は新しい! とてもかわいい初恋小説であり、思わず笑顔になる青春小説。そしてご報告ですが、その後、自身の受験では、無事、志望校に合格し、はれて来春からは大学生になります。