出版社 : 小学館
花ちゃんは、実の父親に引き取られ、早苗さん(スケバンお蘭)のいる私立女子校「北女」に転入。しかし、父に再婚相手の女性がいることが分かり、荒れる花ちゃん。しかも古武道をたしなんでいたことが災いし、スケバングループと対立!何も知らないママチャリは、孝昭の策略に乗せられ、早苗さんとコンサートに行く。奇しくもこの日、花ちゃんはスケバングループと決着をつけるため、お蘭に決闘を挑みにいく。しかも二人のヤクザを従えていたため、早苗さんを案じたママチャリが西条たちに援軍を求めてしまう。かくして、北女の頂点を決める戦いがはじまった!
文化を愛する実業家にして、「無私」の男 昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。 実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。その一方で、関東大震災では私財をなげうって被災者たちの救済にあたった。また、稀代の数寄者としても名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家たちの育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞の一つも見つからず、瀬田は苛立つ。 やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。 三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と出会ったことで、少しずつ考え方を変えていく。 実は少年時代、瀬田にとっては忘れえぬある記憶があった……。
戦後70年、命の重さを問う渾身の人間賛歌 ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負った達希(27歳)は発作的に飛び降り自殺を図り、15年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に隠し財産で借金の肩代わりを提案。そこから祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。 そこで出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。将校でも戦闘機乗りでもない大多数を占めた一般兵士の彼らの戦死とは、飢えや伝染病で命を落とす悲惨なものだった。 やがて一行は赤道の街に到着。そこには、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで決して口にすることのなかった、「知られざる謀略事件」とは・・・・。そして、そこに隠された,祖父の過去にまつわる真実とは・・・・・。 【編集担当からのおすすめ情報】 著者が過去の資料を調べ尽くし、実際にインドネシアのカリマンタン島に足を運び取材し尽くし、一年半まるまるこの一冊の執筆に費やして挑戦した、渾身のエンタメ反戦小説です。おそらく日本国内ではほとんど知られていない事件をモチーフに描かれた人間ドラマです。この事件は日本ではほとんど知られていませんが、現地では今も毎年慰霊祭が行われ、忘れられることはありません。それは、決して遠い記憶ではありません。 戦争時は軍隊、現代はブラック企業。名前と質こそ違えど、現代も昔も一部の私利私欲のために犠牲になり、苦しむ人々はたくさん存在します。著者の力強い筆に救われ、励まされる方も多数いらっしゃると思います。こんな時代だからこそ、10代の高校生から戦争を経験された年輩の方々まで、現代を生きる多くの方に是非読んでいただきたい、人間賛歌。読後は爽やかで明日を生きる力が湧いてくる小説です。
北杜夫 珠玉の初期作品をカップリング 病弱な少年の病気への密かな親しみや、発熱によって開かれる想像力の世界を描く「病気についての童話」。 牧神がまどろみから目覚め、パンの笛とアポロン の竪琴による音楽勝負に挑む、詩的世界を描く「牧神の午後」。 精神を病んでいく主人公がある日知った、『狂詩』という言葉の意味と、心理の変換を描く「狂詩」。 少年の無垢な純真性喪失を瑞々しく描く「少年」。 北杜夫初期の繊細な世界が、7篇の小編を通じて拡がっていく珠玉のカップリング集。
加藤清正と小西行長 相容れない同士の死闘 秀吉の臣下、武人・加藤清正と商人・小西行長。好対照をなす武将だった。 清正が尾張中村の鍛冶屋の息子、あくまで「土の人」である一方、行長は海外貿易で隆盛を極めた、堺の貿易商・小西隆佐の息子で「水の人」である。 徒手空拳、自分しか頼れなかった清正に対し、堺の会合衆の富と政治手腕を後ろ盾にもつ行長・・・両者は出発から違っていた。 そんな二人を秀吉は見事な近習操縦術で競わせる。しかし、武人と商人とは根底では手を握れない。 やがて2人のライバルは、死闘を演じる宿敵となっていった……。
人間として生きるために妻をめとる親鸞 弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の苦難の生涯を描く大作。 第2巻「法難の巻」(上)では、比叡山を下りた親鸞は、今後の進むべき道を模索し、六角堂で百日参籠の修行を行う。 そして親鸞は考えに考えた末に、人間として生きるために、承子を妻に迎えることを決意する。 やがて、六角堂を出た親鸞は、吉水の法然の元に弟子入りし、浄土宗に帰依していく。 尊敬する法然の元、親鸞は自分の歩むべき道を見つけていくのだが、新興勢力である浄土宗に対して、旧来勢力の圧力の手が伸び始めていた……。
法然との出会い……、そして越後への配流 弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の苦難の生涯を描く大作。 第3巻「法難の巻」(下)では、新興勢力として日増しに影響を強める浄土宗に対して、旧来勢力の圧力により、「念仏停止、法然と高弟の流罪」という弾圧が加えられ、法然は土佐へ。そして親鸞も“肉食妻帯の破戒僧”として越後に流されることとなる。 その前夜、産後の衰弱に心労が重なった妻の承子が他界し、親鸞は傷心を抱いて越後へ旅断つ……。
女流画家を通じ、”魂の内奥”の旅を描く 異例の才能を持ちながら埋もれていった亡命ロシア人女流画家マリア・ヴァシレウスカヤ(マーシャ)の内的彷徨を描く辻邦生の処女長編作。 少女期に出会った魅惑的な少女アンドレとの痛みを伴った甘美な愛を失い、結婚に破れ、つねに芸術の空しさを苦汁のようになめながら、生の意味、芸術の意味を模索し続けた、寡作の画家マーシャの短い生涯を、彼女が遺した日記や手紙から辿る伝記風スタイルを用い、清冽な筆致で描いた作品 敬虔で慎み深く、絵の才能を持て余すマーシャと、身体が弱いために生に焦がれる無鉄砲なお嬢さまアンドレ、孤独を抱えるふたりの交流がとても丁寧に描写されている。第4回近代文学賞受賞作
東京・吉祥寺の雑居ビル。警察庁の外郭団体、犯罪史編纂室。そこに集う面々は、「ちょうかい」、すなわち「懲戒免職」レベルの危険な警官たちばかり。そんな彼らの真のミッション、それは、「これから起こる犯罪を未然に防げ」というものだった。しかし、彼らを束ねるのは、瞬間記憶の持ち主なのに、まさかの鳥頭という、最凶キャリア女子だったー。
”イヤミスの女王”の最も危険なサスペンス 1962年、西新宿。十二社の花街に建つ洋館「鸚鵡楼」で惨殺事件が発生する。しかし、その記録は闇の中に葬られた。 時は流れて、バブル全盛の1991年。鸚鵡楼の跡地に建った超高級マンション「ベルヴェデーレ・パロット」でセレブライフを送る人気エッセイストの蜂塚沙保里は、強い恐怖にとらわれていた。「私は将来、息子に殺される」--それは、沙保里の人生唯一の”汚点”とも言える男の呪縛だった。 そして嵐の夜、セレブママたちが集うチャリティ・バザーの最中に、第二の惨劇が幕を開ける。 2013年まで半世紀にわたり、因縁の地で繰り返し起きる忌まわしき事件。その全貌が明らかになる時、かつてない驚愕と戦慄に襲われる!! 大ベストセラー『殺人鬼フジコの衝動』をはじめ、”イヤミスの女王”として女性を中心に熱狂的な支持を受ける著者が放った、最も危険なミステリー。 【編集担当からのおすすめ情報】 巻末解説は、女優の黒木瞳さん。『女ともだち』以来、真梨作品の熱烈なファンであるという黒木さんが感じた「底なし沼のように沈んでいく物語の、先にあるもの」とはーー!? 必読です。
時代劇の大物脚本家が贈る、王道時代劇! 第一話 厄介者 六平太と相惚れの仲である、音羽の廻り髪結い・おりきが何者かに襲われた。六平太は、おりきの付添いを始めるが、おりき自身から「客にからかわれるからやめてくれ」と言われてしまった。おりきの身の危険は去っていなかった。 第二話 十三夜 馴染み客である飛騨屋の親子から、六平太は老夫婦の江戸見物の付添い屋・を頼まれる。しかし、妻のおもとのほうは、少し物忘れがひどくなっているようだ。江戸見物に出かけても、おかしなところへ行こうとするのだ。 第三話 六平太は、商家のお内儀を鎌倉まで送るという付添いを頼まれる。行き先は、駆け込み寺として知られる東慶寺。味噌問屋のお内儀であるお栄は、義父母、夫の仕打ちに耐えかねて、家を出たのだという。 第四話 初時雨 江戸の老舗菓子屋をあの手この手で乗っ取ってきた『甘栄堂』は、悪事を知られている六平太をなんとか取り込もうとしている。ある日、秋月家に届いた『甘栄堂』からの付け届けの菓子を、妹の佐和は無断でお裾分けに持ちだしてしまう。 【編集担当からのおすすめ情報】 ドラマ時代劇のレジェンド 北大路欣也さん、高橋英樹さん、 里見浩太朗さん、松平健さん、 こぞって絶賛!(コメント到着順) 書き下ろし時代小説界最後にして最強の新人! 最新刊第五弾のオビコメントは、村上弘明さん
天才画家と言われた父が旅先で客死した時、ひとり息子の茜は十二歳だった。たったひとりの身寄りとも言える父の後妻・爽子は、そのとき二十歳。遺された家族として亡き人の思い出を分け合いながら、ふたりは寄る辺のなさを埋めるように暮らしてきた。そして七年。十九歳になった茜の前に、爽子に求婚する男が現れた。頑なに守り続けてきた「母と息子」の関係、茜はその不自然さに、否応なく向き合うことになるー。『マンゴスチンの恋人』の著者が、繊細な筆致で少年期との決別を切なく描く、ビタースウィートな物語。
自由を求めて喫茶店から飛び出した“椅子”と海が見たくて動物園を逃げ出したゴリラ。“ふたり”が長い道行ですれちがう恋する少年と少女、人格者のブランコ、若いヤクザ、演説する桜の木、そして真っ白なハンカチと死んだ猫ーこれは、美しくも悲しい恋物語(「もぞもぞしてよゴリラ」)。気取り屋の狐・インカ帝国を背負った亀・傷ついている鰐・主体性のない馬・熊らしい立派な熊・恋を知らない河馬・見栄っぱりの蛙・「キー」しか言わない豚ー動物たちが主役の皮肉でユーモラスな超短篇30篇(「ほんの豚ですが」)。知られざる二傑作を一冊で楽しめる大人のための物語集。
テニス少年の底抜けに明るく切ない青春物語 ウルトラ体育会系だけれども活字中毒でもある文学少年、侃(カン)は、高校に入り、仲良くなった友だちに誘われて、テニス部に入ることになった。初めて手にするラケットだったが、あっという間にテニスの虜になり、仲間と一緒に熱中した。テニス三昧の明るく脳天気な高校生活がいつでも続くように思えたが……、ある日、取り返しのつかない事故が起きる。 少年たちは、自己を見つめ、自分の生き方を模索し始める。 「恐ろしいほどの感動が、俺を圧倒した。若く溌剌とした魂の輝きがもし目に見えるとすれば、朝の光の中できっと俺はそれを見たのだ。 瞬くように過ぎ去るからこそ、二度と戻れないからこそ、このきらめくような瞬間はかけがえのない一瞬だった。」(本文から) 少年たちのあつい友情と避けがたい人生の悲しみ。切ないほどにきらめく少年たちの日々の物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 朽木祥さん初の青春小説。2011年に単行本として刊行された同名の作品の待望の文庫化です。2012年青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にもなりました。朽木祥さんは、『かはたれ』でデビューし、児童文学界に新風を巻き起こしたました。その後、児童文芸新人賞、日本児童文学者協会新人賞、日本児童文芸家協会賞、産経児童出版文化賞大賞、福田清人賞、日本児童文学者協会賞を受賞など、数々の児童文学賞を受賞しています。本作品では、少年たちの学園生活を生き生きと描き出しながら、それだけでは終わらない感動を読者に与えてくれる、奥深いYA文学です。 オン・ザ・ライン 目次 第1部 1 一瞬で恋に落ちるということ 2 人道主義のヒューイット 3 サユリ組とドリル 4 テニス・テニス・テニス 5 残された詩と音楽と 6 詩を読むように絵を読む少女 7 朝の光 8 脱ぎキャラたちとの夏 9 “我が身の不幸を嘆く”合宿 10 絵本 11 秋の瞳 12 花火の秋、闇鍋のクリスマス *あの一球 第二部 1 消息 2 大人の事情 3 子どもの事情 4 のど飴の缶 5 待ちびと 6 “人の仕事” 7 弱者の媚薬 8 リトリーヴァー的戦い方 * 銀杏並木
フジテレビ系ドラマ『リスクの神様』をノベライズ。連日のようにニュースを賑わせている、偽造、隠蔽、不正利益供与、粉飾決算、個人情報流出などの企業による相次ぐ不祥事やトラブル。瞬く間に情報が拡散し、その消去が難しい現代において、たった一度の過ちが、企業や個人への信頼を失墜させてしまうことも少なくない。トラブルに巻き込まれた企業や個人を救う危機管理専門家たちの活躍を描く、硬派な本格社会派ストーリー。サンライズ物産を舞台に、次々と巻き起こる事件やトラブルを、西行寺の見事な危機管理の手腕で解決する。上巻は一話〜五話までを収録。
謎を解く鍵はー“キス”高校1年生の美鈴は神社の跡取り娘。そんな美鈴の家には、厳しい掟がある。それは“初めてのキスの相手と生涯を共にすべし”というもの。ところがあるとき、美鈴は謎のイケメン男子に唇を奪われてしまう!おまけに「カケル」と名乗るその男子は、なんとユーレイで!?
小学館文庫小説賞松本清張賞W受賞の快挙! 深作日都子は小学5年生の時、教師から金魚を殺した濡れ衣を着せられ、熾烈ないじめの対象となった。そのときから日都子は、誰にも心を閉ざし、「みんな」には加わらない「ヒトリコ」として生きていく決心をする。 田舎の小学校の生徒達はそのまま中学校へ持ち上がる。ヒトリコの心の支えは、ピアノとピアノを教えてくれる偏屈なキューばあちゃんだけ。合唱の盛んな中学では生徒の間にカースト制度が生まれ、激しいいじめや陰口が横行する。「みんな」に属している限り生徒間の闘いは続く・・・。 地元の高校の入学式。小5で転校した冬希の姿がそこにあった。モンスターペアレントの母親との暮らしに疲れ切った冬希は、母親を棄て、父親の地元に戻ってきたのだった。何も変わらぬ故郷、仲間。ただ、一人だけ全く変わってしまった日都子の姿に冬希は驚く。そしてその原因が自分が飼い、置いてきた金魚と知り・・・。 誰もの心に突き刺さる、青春の残酷さ、閉塞感・・・・・・。絶望的な孤独の末に見えてくるうっすらとした光。必ず誰もの心の奥の奥に入り込み、内側からあなたの心を揺さぶる、苦くて新しい青春小説です。 【編集担当からのおすすめ情報】 全くの新人作家の方がほぼ同時期に2つの新人発掘の大賞を受賞することは、いまだかつてないことです。最終候補作に残っている、という連絡は奇しくも同じ日だったとのこと。2015年4月頭に第16回小学館文庫小説賞受賞決定、その直後に第22回松本清張賞も受賞。 これを記念して出版社の枠を飛び越え、二つの受賞作品をダブルデビュー作として刊行することになりました。この彗星のように現れた新しい才能のきらめきを、是非お確かめください。