出版社 : 小学館
武士の生き様を描いた周五郎の短編傑作選! 昭和の文芸に不滅の業績を残した山本周五郎。短篇の名手と評された周五郎の作品を、新たな視点で編纂した傑作選第1巻。 隠し子をめぐる若侍の夫婦愛と友情を描いた表題作「青嵐」、おっとりとした武家の四男坊の日常をユーモラスに描く「ひやめし物語」、国元の改革に乗り込んだ若き武士の奮闘がすがすがしい「いさましい話」、安政の大獄に材をとり静謐感の中に武士の悲哀を漂わせる「城中の霜」、三千両輸送の大役を命ぜられた男の道中を描く「枕を三度たたいた」、余命数カ月を宣告された武士の壮絶な生き様と死に様「月の松山」、病身の若殿と型破りの家臣の少年の交情を描く「桑の木物語」の、武家ものの秀作7篇を収録した。 周五郎の描く武士は、決して特殊な生を生きる人々でなく、愛し憎み、時に過ちを犯しつつも懸命にその生を全うしようとする。その姿は、文壇的栄誉を拒み、つねに読者に向き合おうとした周五郎の人生に似て、今も我々の胸を打つ。
好評につき待望の第三巻発売! 吾郎が4年ぶりに、福岡から横浜に戻ってきたーー!! 横浜に帰ってきた吾郎は、三船東中に転入し、昔の仲間である小森たちと再会する。 吾郎に出会い、野球のすばらしさを知った小森は中学でも野球を続け、キャプテンになっていた。しかし、山根率いる不良部員からのいやがらせにより多くの仲間が退部し、野球部はいまや廃部寸前の状態になっていた。野球部をたてなおそうと、小森は吾郎に野球部入部をすすめるが、なぜか吾郎はサッカー部に。福岡にいるあいだ、吾郎にいったい何が起こったのかーー。 累計20万部ヒットの大人気シリーズ、待望の第3弾!
女優の夢破れ、ニューヨークを去ろうとするジュリエット。一年前に妻に自殺され、深い心の傷を負った医師、サム。マンハッタンで偶然に出会った二人は恋に落ちるが、それぞれがついた小さな嘘のため、一歩を踏み出す決心がつかぬまま、ジュリエットはパリ行きの飛行機に乗る。しかしそれは二人の嵐のような運命の始まりにすぎなかった。ジェットコースターのように急展開する謎やサスペンス。大きな感動と癒しが待ち受けるラストシーンまで、物語はノンストップで走り抜ける。フランス小説界の新星が贈る極上のエンターテインメント。
ノーベル賞作家である父アクセル・ラグナーフェルトは、脳疾患で全身麻痺となり施設に入っている。息子ヤン=エリックはその威光で尊敬を集めて生活しているが、家庭は崩壊し浮気三昧の日々だった。物語は、高齢で死んだ老女の身元確認から始まる。彼女はかつてラグナーフェルト家で家政婦をしていた。葬儀のために探し物をすることになったヤン=エリックは、事故死と聞かされてきた妹の死因に不審を抱く。やがて彼は、高潔なはずの父が何かをひた隠しにしていることを知る…。人は、ここまで堕ちることができるのかー生きることの絶望と希望に迫る問題作。
享保七年(一七二二)、江戸幕府は財政の困窮を理由に、諸大名へ一万石につき百石の割合で米を差し出すよう命じた。世に言う「上米の制」である。八代将軍徳川吉宗の治世が揺らぐなか、当代一の蒔絵師と悪名高い検校が相次いで殺害された。事件の背後には、未曾有の不況に対する市民の憤懣に乗じて幕府転覆を狙う者の姿が見え隠れする。御用取次・加納久通より、「目安箱改め方」に任じられた想身流柔術の使い手・竜巻誠十郎は、二つの殺害事件の真相とクーデター計画の黒幕を探る。政で救えぬ人々のため、天涯孤独の侍が江戸を奔る。大好評シリーズ第三弾。
夏樹は二十七歳、独身。都内の書店で働くようになってから五年たつが、いまだにアルバイトのままだ。彼女は十七歳のときに援助交際の経験があり、いまでも人間関係がうまく築けないでいた。寂しさを紛らわすため、既婚者や出版社の営業の男性と付き合うが、心の隙間は埋まらない。ある日、夏樹は店で中年女性の万引きを目撃する。大学教授の妻である彼女の家を訪れた夏樹は、高校生の息子・光治と出会う。学校でのいじめに耐えながら、気丈に崩壊家庭を立て直そうとする光治に、夏樹は強く心を惹かれる。著者が監督した同名映画の原作小説。
1556年。 戦国の大名がいまだ未成熟の時代。 勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉家の両雄は、 もはや開戦を避けられない状態にあった。 後に両陣営の命運を握ることになるその少年・小太郎のことなど、知る由もなかったーー。 戸沢家と児玉家。 両家を支えるそれぞれの武功者、「功名漁り」こと林半右衛門、「功名餓鬼」こと花房喜兵衛の両雄が終わりなき戦いを続けていた。そんななか、左構えの鉄砲で絶人の才を発揮する11才の少年・雑賀小太郎の存在が「最終兵器」として急浮上する。 小太郎は、狙撃集団として名を馳せていた雑賀党のなかでも群を抜くスナイパーであったが、イノセントな優しい心根の持ち主であり、幼少の頃より両親を失い、祖父・要蔵と山中でひっそりとした暮らしを営んでいた。 二転三転のドライブ感溢れる両陣営の応酬が続くなか、半右衛門の謀により、小太郎は全幅の信頼を置いていた要蔵を失う。この出来事が発端となり、怒気に震える小太郎は、鬼神と化すがーー。 カバー装画は、「のぼうの城」に続き、オノ・ナツメ氏描き下ろし!
小学生の昂としずくは母親の夏子が心臓の病気で入院したため、夏休みを北海道で過ごすことになった。羽田空港から旅立ったふたりを待っていたのは、夏子と五年前に離婚した父・生野大慈とその妹の千恵。大慈は東京の動物病院で働いていたが、いまは故郷に戻り、獣医として野生動物救命所に勤務している。母親の病状を気にしながらも、北海道の大自然に心を動かされる昂としずく。ある日、カメラマンをしている千恵と出かけた森で、しずくは傷ついた仔犬を見つける。ウルルと名づけられた仔犬だったが、日本では絶滅したはずのオオカミに著しく特徴が似ていた。
「これから送るのは、親しい友達にも話していないことだ。暗くなるけど、いいかな?」「わたしは…今、この瞬間全身でスミオの話をきいてるよ。全部、話してー」六本木ヒルズに暮らす大学生の澄雄と、薄給のパン工場で働くジュリア。携帯の出会い系サイトで知り合ったふたりのメールが空を駆けていく。二十歳のふたりは、純粋な愛を育んだが、そこへ現実という障壁が冷酷に立ち塞がる。無防備すぎる恋は追いつめられ、やがてふたりは最後の瞬間に向かって走り出すことに。格差社会に否応なく歪められる恋人たちを描いた、現代版「ロミオとジュリエット」。
システムエンジニアの俊一、妻・冴子は、世間や周囲に対し、常に一定の距離を取り、決してうち解けることがない。しかし、それぞれを縁とすることで、静かな日々を送っていた。俊一は、前妻とのあいだに子をもうけることができず離別したが、ひとり暮らしのアパートの隣に住む女・冴子の泣き声を毎夜聞き続けるうちに、関係を持ち、世帯を構えていた。そんなふたりに、彼女の妹夫婦から代理母になってくれないか、との相談が持ち込まれる。その選択を受け入れた冴子だったが、やがて、お腹が大きくなるうちに彼女の中で変調が起こり始めるー。
「あなたがお隣に引っ越してきてから、わたしの人生はまた乙女時代に戻ったかのような活況を取り戻しました」 竹本京子、20歳。右目の斜視にコンプレックスを抱く彼女が、就職を機に引っ越した先で、変わり者のおばあさん、杉田万寿子(ますこ)に出逢った。 万寿子からさまざまないやがらせを受け、怒り心頭の京子。しかし、このおかしなやりとりを通じて、意外にも2人の間に、友情ともいうべき感情が流れ始めるのだった。 半世紀の年齢差を超えた友情が、互いの人生に影響を与えていく様を温かな筆致で描く感涙の物語。
NHK総合テレビ放送のミステリー番組を文庫本で 死体発見、夕刊紙記者可能克郎が見たものは?(辻真先『DMがいっぱい』)、山荘を訪れた探偵が殺人事件に遭遇(白峰良介『赤目荘の惨劇』)、猫を誘拐、犯人の手口は?(黒崎緑『猫が消えた』)、別荘地でお笑い芸人が殺されて(霞流一『サンタとサタン』)、森江法律事務所に現れた客の正体は(芦辺拓『森江春策の災難』)、恋人を亡くした男が真相を追う(井上夢人『セブ島の青い海』)、脅迫状を送られた社長が密室で死亡!?(折原一『石田黙のある部屋』)、パンク刑事キッドが難事件を推理(山口雅也『靴の中の死体』)。 8人の作家が同名番組のために書き下ろしたミステリー小説を、問題編と解答編に分けて掲載。あなたはこの謎を解けるか? 「犯人当て」の醍醐味を活字でも楽しむ。 したから届いた挑戦状。あなたは謎を解けるか? 【編集担当からのおすすめ情報】 問題編と解答編を別々に掲載。「犯人当て」の醍醐味を活字でも楽しむ。
萩本欽一、和田アキ子、とんねるず、出川哲朗など「笑いの神様の子供たち」との交流を綴った抱腹の実話集。誰とでも絡める唯一無二の才能を生かし、その交遊から得た“芸”の神髄とはいったい!?テレビでの勢いそのままに、至極の超ハイテンションエピソードが全41話で炸裂する!バラエティー番組、クイズ番組、ロケ番組などテレビでその姿を見かけない日がないエンターテイナー勝俣州和が贈る、話題騒然初エッセイ。
元眼科医の湯浅マキは七十九歳。物忘れは多少激しくなってきたものの、足腰丈夫、いたって元気な高齢者である。ある日息子夫婦に誘われてドライブに出かけるが、着いた先はなんと病院だった!しかも認知症の傾向が見られたため、そのまま検査名目で入院させられてしまう。同じ病棟のそれぞれ事情を抱えた入院患者たちに次第に興味を抱き始めるマキだったが…。「老い」は罪なのか、老人が誇りを持って生きられる場所はないのかー。コミカルなタッチで高齢者の自立・幸せを問う、ユーモア医療小説。
輸入家具店店長の裕子は四十二歳、夫、娘と何不自由のない毎日を送っていたが、実母が認知症になったことから、その人生が大きく暗転する。母親の介護を巡る実兄との諍い、夫の隠された過去への不信感から逃れるように、裕子は妻子ある男との関係を深めていく。不倫ではない、浮気でもない、真の恋愛を求める裕子にとって、その男は、人生の秋に巡り会う“奇跡の恋愛相手”となるのだろうか。魂が触れ合う真の恋を、裕子は掴むことができるのだろうか。絶妙な舞台設定とハプニング続出のストーリー!“林真理子恋愛文学の最高傑作”と呼ばれる珠玉の純愛小説。
「この街は、根っこに様々な問題を抱えています。新住民と旧住民ということだけではありません。この学園都市の住民たちは、役職や地位によっていくつもの層に分かれていて、その悪い影響が子どもの中にも出ているんです」三人の少女達の墜落死に揺れる街で、失踪した青年の捜索を依頼された元カメラマンの探偵・辰巳翔一。青年の無実を信じ、捜査を続ける辰巳の行く手に、新興都市の闇と過去の迷宮がたちはだかる!ゆがんだ教育環境の下で震える少女たちの孤独と、疵を負った青年の「魂」の救済を描く感動のミステリー。
列車に飛び乗り、上京して四十年。何もかもが夢のようにうまくいっていたバブル期の輝かしい栄光は過去のものとなり、経済的な困窮に陥った夫婦が、死を覚悟して帰郷する。-人気のない故郷。真っ白な雪に埋もれた母校でふたりが見つけた希望とは?バブル崩壊、不景気、リストラ、経費削減など、社会の大きな流れの中で人生を左右される人々の苦悩の日々と切なさを描き、第三回ヤフー・ジャパン文学賞を受賞し、ドラマ化された表題作を収録。離婚で離ればなれになった親子の絆や仮面夫婦の成れの果てを綴った作品など、涙を誘うヒューマン・ノベル四篇。
「8歳の夏僕は最低な約束をした。だって知らなかったんだ……好きになっちゃいけないって。無駄だって。僕の人生にはタイムリミットがある」 8歳の頃、とある病院で出会った種田繭(たねだまゆ)と垣野内逞(かきのうちたくま)。淡い恋心を抱く2人は偶然、心臓の病気で逞が20歳まで生きられないことを知ってしまう。失意の中、守れない約束だとわかりながら、結婚の誓いをする2人。しかし、成長をかさね、逞は、次第に繭と距離をおくようになる……。 惹(ひ)かれあいながらも、抗(あらが)えない運命に悩み苦しむ2人の“初恋”の行方はーー。累計600万部の大ヒット同名コミックを完全ノベライズ化!
東京・新宿中央公園で地場スーパーの会長・草野重二が他殺死体となって発見された。手がかりは、現場に残された「8」と思われるサインのみ。一方、大和新聞東北総局遊軍記者の宮沢賢一郎は、青森への出向を命じられる。直後、五所川原市内のパネル工場で殺人事件が発生。宮沢は東京の草野重二殺害事件と五所川原の事件が、「津軽のスローハンド」と呼ばれた津軽三味線伝説の名手・佐藤流海により繋がっていることに気づく。警察の捜査力を上回るほどの取材力を持つ新聞記者の活躍を描く「みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎」シリーズ第三弾。