出版社 : 小学館
バッグ、サングラス、警察手帳、ハンドグリップ、腕時計。何かを拾うことで転回する彼女たちと彼らの運命の物語。巻き込まれ型小説の名手が描く、心にすとんと落ちる珠玉のハートウォーム・ストーリー。
都内で猟奇的殺人事件発生。連続するいずれの事件現場にも不可解な記号が残っていた。同一犯かー警視庁特命係の杉下右京と亀山薫が捜査を進めるうち、インターネット上に書き込まれた処刑リストが浮上する。犯人の次の標的は三万人のランナーと十五万人の観衆が集う東京ビッグシティマラソン。いま特命係のふたりに最大の事件が訪れる。現場に残された記号の意味は?真犯人は?右京と薫はこの危機を回避できるか?二〇〇八年スクリーンを席巻した大ヒット作に右京にまつわるオリジナルエピソードも満載した究極のノベライズ。映画とは異なる意外な結末が。
なんなのこの人たち? なんなのこの会社!? 高給優遇・初心者歓迎……求人広告に誘われて、フリーターの桃子が就職した先は、事件・事故現場の後始末が専門の掃除会社だった。そこで働くのは、超犬好きの社長を筆頭に、売れない役者の重男、ギャルの未樹、イケメンだが無愛想な翔、と変人ばかり。 ようやく仕事にも慣れてきた桃子だったが、ある事件現場の清掃中、フラッシュバックに襲われる。 個性豊かな清掃員達が、桃子に起こる超常現象を手がかりに、事件や事故の謎に挑む日本初! お掃除サスペンス。
地下二百メートルに二十億の巨費を投じて作られた医療機器メーカーの謎の研究所で働く内藤タダオは、帰宅後、何の前触れもなく、自宅マンションから元美人受付嬢の妻がいなくなっていることに気づいた。ラッピングされた漱石の「明暗」初版本、膨大な記号の羅列で埋め尽くされたノート四冊などを残して。マンションの階段には、ここ数日、「マーちゃん」と名乗る二十代半ばの謎の女性が座り込んでいた。「まむし」と名づけられたタダオの研究内容が、「歴史上最も残酷な殺人兵器となる可能性」を秘めていることと何か関係があるのかー。三島由紀夫賞候補作。
「後世の事頼み候」平手政秀より傅育係を依頼された妙心寺派の僧・沢彦は、信長がただの“うつけ”ではないことをいち早く見抜き、その器量が未だ萌芽をもみせぬ少年期から、人として、武将としてのさまざまな智恵をさずける。信長も「師僧」と慕って信頼を寄せ、自分を高めていく決意を固める。弟子を天下人にする夢と己の野心を重ね合わせて全国制覇の青図を描く沢彦は、信長を尾張統一、桶狭間での今川軍撃破、さらに足利義昭を奉じての上洛へと導く。歴史の闇に葬られた知られざる名参謀の夢と野心を、新史料から描き出した意欲作。
武田信玄が斃れ、天下統一が目前になるにつれ、覇王と化した信長は「天下人」のあるべき姿を説く沢彦を疎んじるようになる。比叡山焼き討ちで亀裂は決定的なものとなり、沢彦は正義と信念を貫くため、信長の師として、最後の務めを果たす決心をする。
福島県会津地方の田子倉ダム湖畔で、大手ゼネコン鹿田建設の副社長・薗田幸四郎が他殺死体となって発見された。大和新聞会津若松支局に出向中の宮沢賢一郎は、薗田が疲幣する地方ゼネコンの実態を見かね業界の構造改革に着手、守旧派と対立していたことを知る。薗田の事件が解決せぬまま、さらに鹿田建設の経営企画部長・保科護が姿を消した。保科の先祖はかつて会津を治めた名奉行だという。 宮沢は、誇り高い会津人の気質と事件が関連していることに気づき調査に乗り出す。 歌謡曲と麺を愛する地方記者の活躍を描く新・旅情ミステリー。
一九七八年に第八十回直木賞を受賞した『大浪花諸人往来』シリーズから、秀作を選りすぐって全四巻で復刊している「なにわの源蔵事件張シリーズ」待望の最終巻の登場。今巻は、謎解きの色合いがさらに深く、濃さを増し、知能犯あり(『絵図面盗難事件』)、寄想天外な犯行あり(『脱獄囚を追え』)、偽者あり(『汚名をそそげ』)などの全五編を収録。文明開化期の浪花の町に起きる事件を解決すべく、「海坊主の親方」こと赤岩源蔵が、人力車に飛び乗り、今日も行く。
製品名は「魅機MOUS-27」。愛称は「みきちゃん」。その正体は、お酌するために造られた「お酌ロボット」。仕事はもちろん、お酌すること…ではなく、探偵助手!OLスーツを身にまとい、人間と同じように話し、笑い、怒り、酒を飲み、そして酔っ払う。そんなみきちゃんが、骨董品を探したり、謎のカリスマの本性を暴いたり、ストーカーを追ったり…大奮闘!そして、少しずつ明らかになってゆく、みきちゃん“出生”の謎とは…?多彩な作品群で話題の小説家・平山瑞穂と、ポップ&ワンダーな作風で知られる漫画家・阿部潤が強力タッグ!小説の中にイラストを大胆に組み込んだ、驚異のオルタナティブノベル&コミックがここに誕生。
投資信託専用の運用会社に勤める四十歳目前の永江は、離婚後、あるきっかけで、大学時代の同級生・由希と出会う。十数年ぶりの再会、季節が巡るように、お互い気になる存在に変わっていくが、由希は心肺を病んでしまう。そして永江に「これ以上苦しみたくない」と、自殺幇助を願い出る。永江には、二十代の恋人・沙織がいたが、由希といる時間のなかに「かけがえのない瞬間」を見いだすようになる。そんななか、友人で建設会社副社長の波佐間が、単身山に登ったまま妻子を残して連絡を断ってしまう。彼を捜すべく山に向かった永江は、ある事に気付かされる。
湘南の鵠沼に住むサラリーマン・石井樽人は、深夜のマンガ喫茶で知り合った女の子に恋をする。彼女の名前は杏。ケーキ屋「ミニョン」を営む祖母のマキさんが、通院している病院で働く看護師だった。 樽人は自分の気持ちを伝えるが、彼女は心を開かない。杏は、3年前に大切な人を亡くした喪失感から立ち直れないでいた。その力になりたいと悩む樽人に、同居人であり親友の久喜夏彦は厳しくも優しいエールを送る。樽人は、24日以内に杏を恋人にすることができるのだろうか。 脚本界のトップランナーによる、甘く切ない小さな恋の物語。
ジョージ秋山氏初の文庫カバーイラストでも話題の「なにわの源蔵事件帳」シリーズがいよいよ第三弾に突入!旧幕府時代は十手取縄を扱い、明治に入っても捕り物を生きがいとする「海坊主の親方」こと赤岩源蔵が、今日も人力車に乗って浪花の町を走り回る。
運転手の親子に愛されたことで「心」を持った瀬戸内海の小さな島のボンネットバスと、手にした者に勇気を与える不思議な青いビー玉が、時代を超え、運命に導かれながら旅をしていくファンタジー。 旅は、懐かしい昭和40年代の瀬戸内海の島から、大震災に見舞われた山古志村へ……。 少年と、バスと、少年の心を持った魅力的な大人たちが、「生きることの美しさ」を優しく語りかけてくれる、事実をもとに描いた奇跡と感動の物語。驚きのラストに、あなたもまちがいないく「幸せのため息」をつくことでしょう。 「幻の青春小説」と呼ばれた名作の、待望の文庫版です。
大ヒット『感染』の仙川環、待望の最新作! 父親が急逝してやむなく実家の医院を引き継いだ成田真澄(なりたますみ)は、中央から田舎の町医者に転じた未練に悶々とする中、従妹が原因不明の病に倒れ、治療方法も分からぬまま死に至らせてしまう。そしてその友達も同様の死を遂げる。友人で獣医の渡良瀬敦彦(わたらせあつひこ)と共に真相を探るうち、その症状が狂犬病と酷似していることが判明した。国内では撲滅したはずの殺人ウイルスが約半世紀を経て再上陸したのだ。政府の正式発表により町民はワクチンを求めてパニックに陥り、飼い犬の無差別殺害も続出した。はたしてその感染源はーー!? 『感染』の仙川環が新たな境地を開くパニックサスペンス大作の登場だ。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書の参考文献の項にも書いていますが、執筆にあたり、元国立予防衛生研究所(現・国立感染症研究所)の神山恒夫先生に、わが国の狂犬病の現状を取材させていただきました。狂犬病予防接種率が年々低下する中で、本書に書かれた内容が現実になる日もそう遠くはないかもしれません!!!
エーゲ海に浮かぶティミノス島。うららかな春の日、ひとりの女性が、崖の下からもの言わぬ姿となって発見される。警察は、漁師の妻である女性が、夫が漁に出ている間不貞をはたらいていたという噂をもとに絶望の果てに自殺したと結論づけ捜査を放棄する。数か月後、島に風変わりな男がやってくる。でっぷりと太った体に白いスーツとスニーカー。高価な鞄を携え、名前をヘルメス・ディアクトロスと名乗った。男は漁師の妻の死を究明するため、アテネの機関から遣わされて来たと言う。しかし、男の捜査の前には島の古い因習や淀んだ人間関係が立ちはだかっていた。
だから。だから、殺した。二人して私を侮辱し、笑い者にしたのだ。脅したり陥れるよりも、その罪は重い。だから、殺した。女の日常に潜む狂気の沸点を描いた戦慄のホラー・サスペンス。
こんな素晴らしい友だちに囲まれていたい! 早朝に電話で起こされ、幼なじみの奈津の一人娘・美月を理由もわからぬまま預かることになってしまった市子。家に連れてこられた美月から、奈津の夫・憲吾が行方不明となり、奈津が憲吾を捜しに出かけたことを知らされる。 2日後、戻ってきた奈津は心当たりの場所をすべてまわったが憲吾を見つけられなかったと語る。憲吾の失踪には女性が関係しているとにらむ市子と奈津のまわりには続々と仲間が集まってきて……。「現代に生きる女性読者には心強い応援歌なのではないか」(解説・北上次郎)こんな友達に囲まれていたい。女性たちの友情を描いた名作小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 女性たちの友情を丹念な筆で描いた珠玉の小説
その昔、世界は78回転で回っていたー。「78(ナナハチ)」という名の一風変わったSP盤専門店から、この奇妙な物語は始まっていく。置き手紙を残して失踪した謎の店主、店の常連客の若者ーハイザラ、バンシャク、二人が思いを寄せる女性・カナたちのお話が進んでいくにつれ、大昔の伝説の楽団「ローリング・シェイキング&ジングル」、“失意”を抱える作家、中庭と犬をこよなく愛する老人、未完の曲を残したまま消息を断ったチェリスト、その父を探す息子、「夜の塔」という名の七重の塔に棲む七人の姉妹の様々な時間・場所の物語が響きあう。
東京タワーのてっぺんに突き刺さった人間の死体…。警察庁特命刑事・間暮誠は、その光景を一目見るなり呟いた。-「見立て殺人です」。事件はそれだけに留まらない。北は北海道から南は沖縄まで、日本全国で発生した二一の奇天烈な殺人事件。その一方、治安を乱す元凶として日本中から次々に消されていく歌謡曲。見え隠れするのは謎の集団「ブラックローレライ」の影…。「歌う警部マグレ」シリーズ第三弾。初の長編の舞台となるのは、なんと“紅白歌合戦”!歌謡史に残る数々の名曲が事件の謎を解き明かし、勝敗の行方が日本の命運を左右する。