出版社 : 小学館
一人の女性を愛したジローとヘンリー。白人の恋人との結婚を決めたマット。彼らの明日を日本軍の真珠湾攻撃が引き裂いた。ジローは日本語を自在に操る語学兵としてアメリカ陸軍情報部へ転身。日系人の強制収容に抗議するヘンリーは法廷の場へ。マットは友と銃を手にする決意を抱く。奪われた未来を取り戻すため、彼らはそれぞれの戦いへと挑む。第二次世界大戦という激動の時代に生きる若者を描く青春群像大作。
終戦の時は近づいていた。アメリカ軍は日本軍を罠にかける秘密の作戦を立案する。その命令を受けたマットは太平洋の小島でジローと出会い、彼の過去の秘密を知る。収容所から日系部隊へ進んだヘンリーは、仲間とともにイタリア戦線へ投入され、過酷な戦場に身をさらしていく。やがて彼らが再会する時、運命は三人に残酷なまでの試練を与える。愛、友情、生と死。魂を揺さぶる感動のエンターテインメント巨編。
浅草ヒョウタン池の名物占い師あびる尊者とは幼なじみ。患者の中には、成島柳北(将軍侍講・明治のジャーナリスト)、安田善次郎(安田銀行・安田生命創業者)、古川阪次郎(鉄道院副総裁)などの英傑もいるのに、情人は塩飽生まれオランダ帰りの腕っぷしのいい水夫…意気でまろめて浮気でこねて、鍼師渡世、江戸っ子おしゃあの幕末明治一代記。
平成××年3月2日、東京都教育局は、水商売に関する専門教育を行う都立高校を歌舞伎町に設立すると発表。正称「東京都立水商業高等学校」。ホステス科、ホスト科など七学科で発足された「水商」だが、集まったのは問題児ばかり。彼らに水商売の未来を支えることはできるのか!? その道のプロが指導する奇想天外な授業、みんなが燃えた甲子園…。世間の白い目なんか笑い飛ばす、エネルギッシュでちょっと泣けちゃう異色の青春コメディー。
レストラン“ブルーリップ”の美人ウェイトレスが、自宅アパートの一室で殺された。部屋には大量の竹が敷き詰められ、その中央に全裸の遺体が横たわっていた。容疑者にはアリバイがあり、被害者には過去があり、目撃者には邪心があった。そこに現れたのが間暮警部。持ち前の美声で昭和の名曲『神田川』を歌って言い放つ。「犯人はこの部屋の中にいます」-表題作のほか『別れても好きな人』『四つのお願い』『ざんげの値打ちもない』など懐かしいヒット曲に隠された事件の真相とはー。
モーツァルトとバス釣りと家庭崩壊ー。地方の大学生・鯉沼のそんな日常は、同級生・香澄との出会いで一変する。それまでとは異なる色と輝きに包まれた世界。しかし、香澄との距離感をなかなかうまくつかむことができない。ある日鯉沼は、絵描きの友人・タケルの運転する水色のフォルクスワーゲンに乗って香澄と旅に出ることにするが…。「人と人は完全には分かり合うことはできない」という認識に立ち、だからこそ相手を愛し受け入れる選択の大切さを問う「世界の中心で、愛をさけぶ」著者の青春恋愛小説。
歯の治療に桂助を訪れたおゆうは、女手一つで呉服屋を切り盛りする、あでやかな美女だった。その後も桂助の元を訪ねるおゆうだったが、ある日起こった火事の下手人として捕らえられてしまう。彼女に好意を寄せる桂助と、それを心配する仲間の鋼次や志保も協力して、おゆうの疑惑を晴らすために動くのだったが……。果たして、おゆうの正体とは! 『口中医桂助事件帖 南天うさぎ』に続く、書き下ろしシリーズ第2弾。
その昔。少女は、病室できいろいゾウと出会った。青年は、飛ばない鳥を背中に刻んだ。月日は流れ、都会に住む一組の若い夫婦が、田舎の村にやってきた。妻の名前は、妻利愛子。夫の名前は武辜歩。ツマ、ムコさんと呼び合う、仲のよいふたりだった。物語が、いま、はじまる。最新にして最深の、恋愛長編小説。
思いの深さに支配され感情に身を委ねたくなる。あるいは情やしがらみにからめ取られそうになる。それでも新たな人生に踏み出す人々の潔さ、切なさを描く12篇。『雨あがる』『よじょう』『将監さまの細みち』他収載。
サイレンが鳴ったら外に出てはならない。29年前、謎のサイレンの音とともに全島民消失事件が起こった絶海の孤島、夜美島。中世には異人が訪れ、戦後は占領軍が駐留した土着と異文化が同居するこの島に、弟の療養のためやってきた少女と父に降りかかる恐怖の体験。サイレンの音とともに出現する幾多の謎に翻弄されながら、予測不能な怪異に巻き込まれていく。映画とは異なるアナザーエンディングで描く小説版。
北海道の片隅。坂の上から美しい日本海を望むこの小さな街で、ぼくはちせと出逢った。「ごめんなさい」が口癖のちせに、ぼくはつい邪険な態度をとってしまうけれど、ちせはかわいい。不器用なぼくらは、いまどきの高校生には珍しく交換日記をしながら「つきあって」いる。ある日ぼくは、ちせの異変に気づいてしまった。札幌の街で空襲に遭ったあの日、戦火の瓦礫の中に見た制服姿の少女ーひとりで呆然と立ち尽くす彼女はまぎれもなく、ちせだったー。原作者・高橋しんとの強力タッグのもと、大ヒットコミック『最終兵器彼女』が、新たな息吹をあたえられた至上の恋愛小説。
袖摺り合わせた者同士が、共に生きる。形式や世間体にとらわれることなく、思い思われて結びついた縁の、大切さ、頼もしさ、温もりーー切なくてほっとする作品群。『むかしも今も』『並木河岸』他12作品収載。
定年退職後、平凡な人生を楽しむ夫に肺癌の診断が下されたー。看護の現場に長く携わり、多くの病人やその死と向かい合ってきた妻は、突然の身内の発病にうろたえる。誰にもぶつけようもない後悔と悲しみ、不安、怒り…。そして、手術はしないと決断した夫とともに、夫婦二人の「生きる」闘いが始まった。医療小説の第一人者が自らの体験を基に描く問題作。看護とは、家族とは?さらに、医療従事者や終末医療のあり方をも問う。
慶長七年(一六〇二)陰暦十月、常陸国北限、小生瀬の地に派遣された大藤嘉衛門は、野戦場の臭気が漂う中、三百名以上の住民が消えるという奇怪な光景を見る。いったいこの地で何が起きたのか? 恭順か、抵抗かー体制支配のうねりに呑み込まれた誇り高き土豪の村の悪夢。長く歴史の表舞台から消されていた事件を掘り起こし、その真実の姿をミステリアスかつ重厚に描いて大絶賛された戦慄の巨編。
「殺さば殺せ!だが私を斬るなら呪ってやるぞ」安房国の悪評高き妖女・玉梓は、里見家の伏姫を前に叫んだー。世は戦国。玉梓に呪われた里見家は窮地に陥り、伏姫は自害する。だがその胸元からは八つの水晶珠が飛び去った。仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の文字がそれぞれ浮かび上がる八つの珠は、八人の勇者の手に渡っているという。呪いを解き、いくさを収める力となる八人の犬士を求めて、里見家の金碗大輔は旅立つ。大森美香脚本によるTBSドラマ「里見八犬伝」を原案に、気鋭の時代小説作家、植松三十里が書き下ろした伝奇エンターテインメントの傑作。
伊豆・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。折から日本各地で大地震や火山の噴火が続発。日本列島に驚くべき事態が起こりつつあるという田所博士の重大な警告を受け、政府も極秘プロジェクトをスタートさせる。小野寺も姿を隠して、計画に参加するが、関東地方を未曾有の大地震が襲い、東京は壊滅状態となってしまう。全国民必読。二十一世紀にも読み継がれる400万部を記録したベストセラー小説。