出版社 : 幻冬舎
あなたは子どもの何を知っていますか、 何を信じていますか。 「悪魔」の子と噂される少年、良世。事故で娘を失った過去を持つ翔子は、亡くなった姉の形見である息子を預かり育てることになるが、良世は掴みどころがなく何を考えているかもわからない。不気味な行動も多いなか翔子は子供を育てることに自信が持てず不安は募るが……。 『ジャッジメント』で衝撃デビューの著者による感動ミステリ。 読後全てが逆転するーー。
世阿弥を師と仰ぐ、若き金春大夫・氏信(のち金春禅竹)は能の奥義を極めんと苦悶の道を歩んでいた。そんな中、隆盛を誇る観世座一門に大きな問題が巻き起こる。跡を継ぐ者たちは何を思い、どう動くのかー。能の歴史的なターニングポイントを物語に昇華し、風姿花伝、六輪一露之記といった秘伝書誕生の裏側に迫る意欲作。
最大の武器は知力と色気、そして暴力! 特攻隊員、愚連隊、安藤組組長、映画俳優…… 昭和の一時代、修羅に生きた男の激動の生涯をモノローグで描ききる圧巻のノンフィクションノベル! あんた『雪後の松』という詩を知っているかい。昔、ある坊主から教わったんだ。『雪後に始めて知る松柏の操、事難くしてまさに見る丈夫の心』とな。男というものは普段の見かけがどうだろうと、いざと言う時に真価がわかるものだ。松の木は花も咲かず暑い真夏にはどうと言って見所のない木だが、雪の積もる真冬には枝を折るほどの雪が積もっても、それに耐え、青い葉を保っている。それが本物の男の姿だというのだ。/俺はこの詩が好きなんだ。 (「長い後書き」より)
初めは夢だと思ったー男が目覚めたのは、水面にたゆたう小舟のなか。古い装束をまとった船頭と二人きりの妖しい道行き。その過程で徐々に明かされていく衝撃の事実。人生を振り返るなかで、人はなにを取り戻したいと思うのか。なにが正しかったと言えるのか。いま、ふたたびまみえる「高瀬舟」の世界。
地元で有名な悪ガキから、成績はいいがいわゆる不良少年として成長した樹は、進学校にリーゼントとボンタンをキメて入学する。曲がったことが嫌いな樹は、親友と呼べる仲間たちと破天荒でまぶしい青春時代を送った。だが、就職後、双極性障害(躁鬱病)を発症。治療のために受けた電気ショックにより大切な青春の記憶を失ってしまうー。昭和の時代、熱く、せつない、仲間たちとの絆の物語。
政治塾に足しげく通う来栖は、ある日突然、若くして命を落とした百合の家族に呼び出される。それほど親しくもない彼女が残した“手記”にはなぜか来栖への熱い想いが書かれていたー。異性として意識したことのない、それも亡くなってしまった女性から届いた熱いメッセージー。愛に翻弄される中年男の繊細で複雑な心の内を豊かな筆致で描いた私小説。
日本がドルショック、オイルショックの荒波を乗り越え、本物の経済大国への道を驀進し始めた頃。吉野洋行は20代半ばにして、テレビCMディレクターとして一本立ちした。そして、もうワンランク上の、日本のトップメジャーで勝負したいと考える。だが、そこは限られたエリートが支配する世界だった。テレビCMが世の中を大きく動かしていた時代。アイデアと度胸と空気の読めなさ(?)を武器に、果たして洋行はどこまで駆け上がることができるのかー。テレビCM界のレジェンドが、夢多き冒険の時代を描いた大河小説。いよいよ第三部へ!
雨の朝、事件は起こった。机の中にしかけられた死神のカード。犯人として浮かびあがった女子生徒の言葉に隠された大切な思い出とはー。美咲ノ杜高校に通う一年生アリ子は、親友ミュウとともに真相を求め立ち上がる。イカロスの翼に誘われ少女は「秘密」に恋をする。
「私と智哉は、あまり会話はしない。だけれど、私たちは、お互いが、お互いに対して満足していることを知っている。…お互いに、お互いがいることに安心している。」。家族の、友人の、その絆は時にもろく、たゆたい、もつれるもの。相手がいなければ、怒っても、嘆いても、叫んでも、返ってくるものはない。あなたがいるーその存在の奇跡に、あたたかな眼差しを向ける珠玉の6篇。
安易な気持ちで、恐怖の実話を集めてはいけないーー! ネットでバズった恐怖(ドキュメントホラー小説)が、書籍化により、拡、散。 「今回ここに書き起こしたものには全て奇妙な符号が見られる。読者の皆さんとこの感覚を共有したい」から始まる、ドキュメント・ホラー小説。 大学病院勤めの「私」の趣味は、怪談の収集だ。 手元に集まって来る、知人のメール、民俗学者の手記、インタビューのテープ起こし。その数々の記録に登場する、呪われた村、手足のない体、白蛇の伝説。そしてーー。 一見、バラバラのように思われたそれらが、徐々に一つの線でつながっていき、気づけば恐怖の沼に引きずり込まれている! 「読んだら眠れなくなった」「最近読んだ中でも、指折りに最悪で最高」「いろんなジャンルのホラー小説が集まって、徐々にひとつの流れとなる様は圧巻」など、ネット連載中から評判を集めた、期待の才能・芦花公園のデビュー作。 ーー「次の生贄は誰がいいと思いますか」
大阪に本社を置く準大手製薬会社・天保薬品。その堺営業所所長であり、MR(医薬情報担当者すなわち製薬会社の営業マン)である紀尾中正樹は、自社の画期的新薬「バスター5」が高脂血症の「診療ガイドライン」第一選択Aグレードに決定れるべく奔走していた。決まれば年間売上が1000億円を超えるブロックバスター(=メガヒット商品)化が確実視される。ところが、難攻不落でMR泣かせの大御所医科大学長からようやく内定を得た直後、外資のライバル社タウロス・ジャパンの鮫島淳からの苛烈な妨害工作によって、一転「バスター5」はコンプライアンス違反に問われる。窮地に追い込まれた紀尾中以下、堺営業所MRチームの反転攻勢はあるのか。ガイドラインの行方は?注目を集める製薬会社のオモテとウラ。
“この人ならば"と決めたはずなのに。 本当に幸せな結婚って、どうすればできたのだろう。 不貞三昧モラハラ夫との決別へ ある主婦の30カ月を描く物語 キレやすく自分勝手な夫。 私は家政婦だと割り切って続けた義母の介護。 しかし、寝室で見つけた一枚の便箋をきっかけに なんとか形を保っていた夫婦の生活が崩壊していくーー。
幸せな日々は、もう手放さなければならない。 遺体で発見された善良な弁護士。 一人の男が殺害を自供し事件は解決ーーのはずだった。 「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」 2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の”告白”、その絶望ーーそして希望。 「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」 私たちは未知なる迷宮に引き込まれるーー。 作家生活35周年記念作品 『白夜行』『手紙』……新たなる最高傑作、 東野圭吾版『罪と罰』。
ここぞ、野球馬鹿の踏ん張りどころ お父ちゃんたちの“第二の青春"を爽快に描いた群像小説。 「私たちはカープが大好きなんです。 ここで、この福山でオープン戦ではなく、 選手が真剣に戦うペナントレースを応援したいのです。 どうか、どうか、私たちに力を貸してください」 広島県福山市を舞台に、野球とカープを愛する主人公が、 地元に新しい球場建設を目指して大奮闘。 地元愛、野球愛、家族愛、そしてかけがえのない仲間たちーー どれが欠けても夢は実現しない。 「神ってる」展開に勇気を与えられる心温まるストーリー
有料老人ホームに勤務する川上雄太は小説家を夢見る27歳。入居者の絹さんこと田中絹江になぜか気に入られ事あるごとに身の上話に付き合わされていた。初めのうちはぼんやりと聞いていただけだったのだが、いつしか絹さんの明るく前向きな姿や言葉、そしてその魅力に惹きつけられ人の「幸せ」について思いを巡らせていくことにー。真に豊かな国のあり方を問う社会派小説。
その事故は“狙われた”ものだった。母として、教師として、被害者として。どんなに絶望的な事件に巻き込まれようとも、真摯に向き合い闘い続けるー。繊細な心に映るありのままの世界を深く丁寧に描いた“リアル”な私小説。