出版社 : 徳間書店
闘牛士になった兄が死んだ。演技で大技に挑んだ末の出来事だった。妹の怜奈は兄の死を悼むためにスペインへと向かう。だがそこで抱いたのは、兄がトラブルに巻き込まれていたのではという数々の疑念だった。なぜ、兄は無謀ともいえる大技に挑んだのか…。真相を探るうち、やがて怜奈は、闘牛の世界に魅入られていきー。著者が15年かけて綴った圧巻の闘牛ドラマミステリー。
夢破れて、故郷の長崎へ戻る亮二は荷物をまとめて空港へ。似顔絵画家の老紳士と出会い、思わぬ言葉をかけられる。(『旅立ちの白い翼』)。「本は魔法でできているの」小さな書店を営んでいた祖母の言葉。いま空港の書店で働く夢芽子が出会う、ちょっと不思議な物語。(『それぞれの空』)。恵と眞優梨は三十三年ぶりに空港で再会する。少女の日のすれ違いと切ない思い出を名香の香りに乗せて。(『夜間飛行』)。老いた奇術師幸子は、長い旅の果て、故国の空港に降り立つ。自分の人生が終わりに近いことに気づき、来し方を振り返る。(『花を撒く魔女』)。
不審な男にあとをつけられているので、自宅まで送ってほしいー十津川班の西本刑事が深夜、突然若い女に声をかけられた。そのマンションでは半月前に女性が殺害され、痴漢騒ぎもあったというのだ。痴漢被害にあった畑恵子はその後、郷里の旭川に引っ越してしまったが、やがて殺人事件に巻き込まれ…。東京と旭川を結ぶ殺意の連鎖の行方は?(「東京ー旭川殺人ルート」)他、「二階座席の女」「見知らぬ時刻表」「とき403号で殺された男」の傑作四篇を収録したオリジナル作品集。
家族のトラブルで水泳部を退部した奥貫広夢。卓球全日本選手権で突然、体の異変に見舞われた三上瑠衣。高校二年生の二人はそれぞれに悩みを抱えていた。前向きになるきっかけを作ってくれたのは階段との出会いだ。「決意の階段」「勝負の階段」「あきらめない階段」-。社会科教師、高桑がブログで紹介する記事を読むうちに、二人は階段に魅了されていく。ある日、高桑から「京都駅大階段駈け上り大会」の存在を教えられる。171段をチームでダッシュするタイムアタック戦だ!大年寺、江島神社、伏見稲荷大社、東京タワー等、実在する階段多数登場!挑んだ階段総数3500段超え。ゴールは京都駅大階段!
夏が近づく季節、母方の故郷・磐座を訪れた奈智。十四歳になると参加することになる二か月に及ぶ長期キャンプは、「虚ろ舟乗り」の適性を見極めるためのものだった。キャンプの本当の目的とはー。14年の連載を経て紡いだ美しくもおぞましい吸血鬼SF。
長野電鉄湯田中駅のトイレで佐藤誠の刺殺体が発見された。相談したいことがあるといわれ、待ち合わせをしていた木本啓一郎は、かつて佐藤とともに松代大本営跡の調査をしたことがあった。やがて木本は佐藤が大本営跡近くで二体の白骨を発見したことを突き止める。一方、十津川警部と大学で同窓だった中央新聞社会部記者の田島は学生時代に木本の講義を受けていたことから事件に関心を抱き取材を始めたものの、突然失踪したのだ!?事件の背後に蠢く戦時中の暗い裏面…。十津川&亀井、太平洋戦争の闇に挑む!
子供を虐待し死なせた疑いでニュースを賑わせていた鎌田が、路上で殺された。凶器は日本刀。太刀筋も只者ではない。一体、誰が鎌田を殺したのか。刑事の真弓と泥棒の淳一夫婦は、偶然“夜のニュースワイド”の敏腕プロデューサー・めぐみとファミレスで知り合い、辻斬り事件の真相を追い始める。事件を追ううちに、二十年の刑期を終え出所した男と繋がっていくー。殺人の罪で有罪になりながらも、動機を一切口にしなかった男の秘密とは。人気シリーズ「夫は泥棒、妻は刑事」第二十三弾!
気付けば無人の車両に乗っていて、わけもわからず上槇ノ原へとたどり着いた省悟。癖のあるどこか愛くるしい住民達と共に生活をするうち、省悟は郷にとってなくてはならない存在となった。ある日、省悟は上槇ノ原と下槇ノ原の抗争に巻き込まれてしまう。古より続く上下抗争だった。そんななか省悟は「夜半獣」として圧倒的な力を得ると共に、村民から敬われる存在となり…。夢か現か、異世界での戦争が始まった。
一季奉公を重ねて四十も過ぎた。己れを持て余していた男は、密かに想いを寄せていたお手つき女中・芳の二度と戻れぬ宿下がりの同行を命ぜられる。芳への理不尽な扱いに憤り、男は彼女に奉公先を見返す話を持ちかけた。初めての極楽を味わったその夜、芳は男を刺し、姿を消した。芳に刺されて死ねるのを喜ぶ男。しかし、意に反して男は一命をとりとめた。人を殺めていないことを芳に伝えるため、どん底の岡場所のどん底の女郎屋の主となって芳を探す。最底辺の切見世暮らしの男が、愛を力にして岡場所の顔に成り上がる!
忍の肖像画を描きはじめることができず、クロッキーばかり重ねる亮介。全てを拒み妖の者を狩り続ける諒。忍の選択に従う覚悟を決めた冴子。冷静な指揮官であろうとする十九郎。崩れそうな仲間を気づかう希沙良。零れ落ちる神の命を、人間の掌でとどめることなど叶うべくもなく、斎伽忍をこの世界に繋ぎ止める方法はもうないのか…。ついに雷将勝呂との戦いの火蓋が切られる。“ハイスクール・オーラバスター”シリーズここに堂々完結!
超大河シリーズ、完結記念!同人誌等に掲載された外伝短篇を一挙お蔵だし&書下し短篇もあり!また巻末には著者ロング・インタビューも収録。オーラバ・ファン、必携の書!
松本市内の空き屋から男の撲殺死体が発見された。被害者は市内で洋品店を経営する麻倉光信。登山に行くと言い残して車で出かけたという。ほどなく塩尻峠の近くで麻倉の車が発見されたが、後部座席には女の絞殺死体が!?一方、松本市内で詐欺事件を起こして富山刑務所に服役していた桜田竹利は模範囚として出所を目前にしながら逃走した。キャンプ場などから食料や衣類を盗みながら、松本を目指しているような痕跡が…。松本・塩尻・白骨温泉で交差した殺意の行方は?道原伝吉の活躍を描く書下し長篇推理。
美しいものを生む。ただそれだけ。女性を愛し、芸術に淫しながら、生きることの重さを忘れずにいる男。美を追求し続け、闘い、ついに見出したのは…。本当の自分を知りながら、流れてゆく人間の葛藤を細やかに描き上げた逸品。名手が紡ぐ書き下ろし長篇小説。
江戸後期、弘化年間。金吾は石見国大森銀山にやって来た。大森代官・岩田鍬三郎の身辺を探るためだ。代官所の中間として働き始めた金吾だが、そこで待っていたのは銀山を支えるため懸命に生きる人々との出会い。命の危険にさらされながら間歩の中で鉱石を採掘する掘子、重い荷を運び母と妹を養う少年、世を憎み、酒浸りの日々を送る僧侶。そして彼らを慈悲深く見守る岩田…。さまざまな思いに触れ、金吾はいつしか彼らに魅せられていく。産み出された良質で大量の銀が世界経済を動かし、「銀鉱山の王国」と呼ばれた石見銀山。常に危険と隣り合わせで働く名もなき掘子たちの生きざまを活写した歴史群像。
次郎長一家に突然やって来た旅の博徒、皐月雨の晋八。森の石松を窮地から救ったのが縁で、一家に草鞋を脱ぐことになった。素性を問われても笑顔でかわすばかり。不気味だが、とにかく腕は立つ。折しも、次郎長一家は甲州の卯吉一家と抗争の真っただ中。晋八は即戦力として一家の客分となるがー。この男、なぜここまで無慈悲に人を斬れるのか?
資源探査会社に勤める郷田裕斗は、海底油田の探査のために北極の基地にいた。仲間は同僚や、アメリカ人の準石油メジャーのオブザーバー、海洋学者、そしてカナダ系イヌイットたち。ある日、北極海の水中で核実験が行われる。だが、郷田たちはまだそのことを知らず、いつの間にか孤立していたのだった。通信機器による外部との連絡は取れず、リード(氷の割れ目)は増え続け、燃料と食料も刻一刻と減る中、ついに精神に異常をきたす者まで現れて…。大国の思惑と駆け引きに巻き込まれた郷田たちは、氷の世界で生き残ることができるのか。
死刑制度の闇に挑んだ著者渾身の本格推理。堀田市で起きた幼女殺人事件「堀田事件」の犯人として死刑判決を受けた赤江修一。彼は無実を主張したが、控訴、上告とも棄却され、判決確定後、わずか二年で刑を執行された。それから六年後ー亡き赤江に代わり再審請求中の堀田事件弁護団宛に、真犯人を名乗る「山川夏夫」から手紙が届く。さらに一年後に届いた二通目の手紙の中には、犯人のものだという毛髪が入っていた。弁護団の須永英典弁護士は手紙の差出人を突き止めるべく、新聞記者の荒木らと調査を開始する。調査が進むにつれ、日本の刑事司法の根幹を揺るがす計略が浮かび上がる…。
犯罪の傍らには、鳥、蟻、魚、コウモリ、犬、プラナリアetc.生き物がいる!巧緻に練り上げた伏線と、まなざしの温かさ。長岡ワールドの魅力を堪能するミステリー八篇!盗難事件の容疑者を尋問中の刑事は、珍しい鳥の鳴き声を聞いた(『巨鳥の影』)。侵入者を殺した女性教師は正当防衛で無罪になるが…(『死んでもいいひとなんて』)。薬の誤処方で、前途を絶たれた医師の失脚に元恋人の看護師の影が(『鏡面の魚』)。浮気の証拠のスマホを持って行ったのは小学5年の義理の娘だった(『見えない牙』)ほか。
松山駅に到着した特急「しおかぜ3号」のトイレから、女性の刺殺体が発見された。被害者は竹内祐子、三十歳。お見合いパーティを主催する“ドリーミング・クラブ”の理事長だった。サクラを使ったり、ずさんな経営で会員からの文句も多く、恨んでいる者も少なくないという。何人かが容疑者として浮上するが、本命と思われた今中みゆきのアリバイを、何と十津川警部自身が証言することになったのだ…!?「海を渡る殺意ー特急しおかぜ殺人事件」等、トラベル・ミステリーの傑作四篇を収録。