出版社 : 徳間書店
太平洋戦争。農村で起きた悲喜劇。靜と綾。上槇ノ原で生まれた双子の姉妹には不思議な力が宿っていた。天才的な頭脳と統率力を持つ靜。絶対に死なない綾。そんな二人が成長したとき、太平洋戦争が勃発する。食料が枯渇した村は強烈な飢えに襲われ、打開策として靜がとった行動は、長年対立してきた下槇ノ原への襲撃だった。戦火の中、二人が人々を導く先は天国か地獄かー。今、世界で何が起きているのか。数多の文学賞を受賞し、多くの小説家に影響を及ぼす日本文学界の異端児が戦時下の極限状況を活写する。
商品を受け取るも代金を支払わない「取り込み詐欺」。暴力団の懐を肥やす資金源を断ち切れ!管内の伊知田組が取り込み詐欺に関係しているとの情報が。だがガサ入れは空振りに終わった。誰が情報を洩らしたのか!?“ハマの用心棒”諸橋が倉庫街を駆ける!
謎に包まれていた、偉大な映画人・小津の人生の一面。あの名作の原風景は三重県松阪市での青春時代にあった。小津が『坊ちゃん』だった頃ーまるで小津映画のような一年間の教師時代。若き小津と教え子たちの知られざる物語。
旅番組の撮影で見知らぬ町に取り残されてしまったタレントの久保田杏。追い打ちをかけるように雨が降り始め、森の中の小屋へと駆けこんだ。「このままじゃ、風邪ひいちゃう」と呟いた瞬間、ドアを開けて入ってきたのは三人の強盗犯!杏はとっさに隠れるも、クシャミをして密談中の男たちに見つかってしまう。「二つに一つだ。ここで死ぬか仲間になるか」-。彼女は必死の演技で強盗犯の手助けをすることに!?大人気シリーズ「夫は泥棒、妻は刑事」第二十四弾は、淳一と真弓が一億円強盗事件に立ち向かう!
名門学園の裏手には、大きな大きなクスノキがある。縁結びの木と親しまれるその傍に、生徒の遺体が三つ…。学園の事件あるところ、化石オタクのお嬢様まりああり。まりあ率いる零細古生物部に加わった怪しい一年生。お嬢様探偵のお供にされつづけた男子部員の禁断の秘密。はたまた、いかがわしい新入生探偵まで登場。怪しさ倍増の果てに、予測不能の結末が!
1970年代の川崎ー。工業地帯として発展する裏で、漁師たちは立ち退きを迫られ、漁業権を巡って分断が生じていた。また朝鮮からの流入者との間で住民感情は複雑化していた。そんな土地で、多摩川河口に溺死体があがった。遺体は元漁師の矢代太一。彼は漁業権問題で漁民をまとめる折衝役だった。遺体には複数の打撲痕が認められ、漁師の溺死という不自然さと併せて事件性を窺わせた。そして遺品にはキーホルダーがふたつ。自宅以外にも家の鍵を所持しているようだった。川崎警察署刑事課のデカ長、車谷一人は、捜査に乗り出す。不審死事件の背後には予想外に深い闇が広がっていた…。
転校を繰り返す小学生の礼恩が、行く先々で出会うクラスメイトは嘘つきばかりだった。なぜ彼らは嘘をつくのか。友達に嫌われてもかまわないと少女がつく嘘。海辺の町で一緒にタイムマシンを作った友達の嘘。五人のクラスメイトが集まってついた嘘。お母さんのことが大好きな少年がつかれた嘘。主人公になりたくない女の子がついた嘘。さらにはどの学校でもバールについての噂が出回っているのはなぜなのか。やがて礼恩は、バールを手にとるー。僕はバールを正しく使えたのだろうかー。小学四年生からの三年間で、少年は現実の残酷さと優しさを知る。
申し込めば半年待ち。評判のお梅の揉み治療だが一刻の猶予もない患者が現れた!頭風に苦しむお清を訪ねたお梅はギリギリのところまできていると感じ取る。揉みはじめると、お清の身体に潜む「淀み」を感じー。彼女を悩ませるその原因とは?読むと身も心もすぅっと軽くなる、連作時代小説。
観光で松本を訪れていた男が、泊まっている宿の名前も場所もわからないと、交番に保護された。自分の名前すら思い出せないという。その男に放火の容疑がかかった。市内の住宅街で白昼起こった火災現場近くの防犯カメラによく似た男が映っていたのだ。松本署・道原伝吉の捜査の結果、静岡市清水区に住む味川星之助と判明するが、味川は認知症を発症しており何も覚えていないという。やがて、日本平で味川の刺殺体が発見され、事件は予想外の展開を見せ始めた…。会心の書下し長篇旅情推理!
気がつくと、酒と女性と言葉に淫し、まだ書けることに豊かな生を見出すようになっていた。文章を磨くことは、ふさわしい言葉をみつけてふさわしい場所に置き、美しい流れを作ることであった。書くこと自体が彼の中では大いなる冒険であった。書くことへの飽くなき飢えを貫いたひとりの男の物語。
師匠・ベルダさんが愛用していた万年筆のインク、“六番目のブルー”がなくなったー。「奇妙な惑星」博物館の保管室長を引き継いだ14歳のオリオは、ジャン叔父さんと共に、その幻のインクを求めて旅に出る。行方を探るうち、インクの秘密はある奇妙な「唄」に隠されているとわかり…。
なぜ、侍は、首だけになってしまったのか?なぜ、少年は、ひとりぼっちになってしまったのか?なぜ、二人には記憶が無いのか?ともに諸国を巡るうち、明らかになる哀しい事実。直木賞作家が描く愛おしくも切ない恐ろしくも哀しい人の心。
新宿歌舞伎町のクラブホステス・中村愛が絞殺死体で発見された。容疑者として浮上したのは、新宿署生活安全課の高橋警部。十津川とは同期だった。店のナンバーワンの売れっ子で、ストーカー被害に悩んでいた彼女から相談を受けたことで親しくなったという。愛の死亡推定時間に、高橋は歌舞伎町の交番で若い巡査とずっと一緒だったというアリバイがあり、安堵した十津川だったが…。「哀しみの余部鉄橋」他、「殺しの風が南へ向かう」「最終ひかり号の女」「北への危険な旅」「石勝高原の愛と殺意」の傑作五篇を収録。
東京で派遣社員として働いている工藤紗栄子は、三十歳を過ぎ物足りない毎日を送っていた。そんな時、青森でねぶた師として活動している兄・春馬が病に倒れたと報せが入り、紗栄子は帰郷する。「必ず渾身の作を祭りに出品する」と言う春馬だったが、病状は芳しくなかった。春馬を手伝う決意を固める紗栄子。しかしねぶた祭が迫る中、春馬は入院してしまい…。ねぶた師であった亡き父から兄へと継がれた魂を、形にできるのは私しかいない。女ねぶた師・紗栄子は瞬刻の輝きを青森の夜空に描くことはできるのか!?時代を駆けて筆を揮う稀代の歴史小説家が、令和の青森を舞台に女ねぶた師を活写する!
罪を犯しても責任を取る必要がない“無化”を行ってくれる超巨大企業・Central Factory。加害者のみならず被害者の苦しみを取り除いてくれる夢のような技術を持ち、世を平穏へと導いている。が、それに疑問を持つ男がひとり。男はCFへのテロを計画していた。人生に上手く馴染めないキャバクラ嬢、能面のような夫の表情に悩む主婦、少女に恋する中学生、自由を持て余すホームレス、CFの布教に勤しむ老婆、CFでの労働によって犯罪の清算をする中年、社長の著作代筆作業に行き詰まるCF広報室長。そして、CFの欺瞞を暴こうとテロを計画する男。CFCFCF。CFをめぐり、人々は交錯する。罪とは何か。責任の取り方を問う群像劇。
盆を壊しかねない無茶苦茶な賭けかたを爆弾張りというが、そんな賭場での振る舞いから、いつしか天野も爆弾と呼ばれるようにー。自由気ままな博奕打ちが生涯唯一の親分と仰ぐボンノと出会い、最後の博徒と称される波谷守之とともに時間を過ごすうちに極道として開眼する。宅見勝の仇を討つため引き起こした中野会副会長暗殺事件の真実から勝新太郎・高倉健・菅原文太ら映画スターとの交遊まで活写した衝撃のノンフィクションノベル!