出版社 : 徳間書店
密室、容疑者全員アリバイ持ちーー「不可能」犯罪を専門に捜査する巻き毛の男、御殿場倒理。ダイイングメッセージ、奇妙な遺留品ーー「不可解」な事件の解明を得意とするスーツの男、片無氷雨。相棒だけどライバル(?)なふたりが経営する探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」には、今日も珍妙な依頼が舞い込む……。新時代の本格ミステリ作家が贈るダブル探偵物語、開幕!(解説:杉江松恋)
一号機が爆発した。原発事故の模様をテレビで見ていた木島雄介は、これから何かが変わると確信する。だが待っていたのは何も変わらない毎日と、除染作業員、原発避難民たちが街に住み始めたことよる苛立ちだった。六年後、雄介は友人の誘いで除染作業員となることを決心。しかしそこで動く大金を目にし、いつしか雄介は…。満場一致にて受賞に至った第一回大藪春彦新人賞受賞作。
藤木賢人は浮かれていた。大手自動車メーカーの愛らしい受付嬢・沢井麻里奈との逢瀬に夢中になっていた。十五歳年下の初々しい肉体の反応にメロメロなのだ。そんななか、キャリアウーマンである藤木の妻・沙絵子に不倫の疑いが浮上する。相手は沙絵子の独身時代の上司で岡島という男だ。愛欲に溺れるダブル不倫の果てに賢人と沙絵子が見たものは…。書下し官能サスペンス長篇。
大恩人である亡き田嶋源太夫の妻子を助けた松平蒼二郎は、京に旅立とうとしていた。実の父である松平定信との因縁を断ち切り、己を見つめ直すための旅である。しかしそこへ、白河十一万石の跡継ぎである、弟の定永が姿を現した。定永は半月前に賊に襲われ、何とか追い払いはしたが、宿直が二名斬られたという。その黒幕は禁裏すなわち朝廷であると、定永は語る…。大好評の剣豪小説。
日本ヤクザ史上、最悪の争い「山一抗争」。熾烈化の契機は、四代目山口組・竹中正久組長が一和会系ヒットマンが放った銃弾に倒れた非業の死だ。その仇討ちに執念を燃やしたのが、実弟である竹中武組長だった。一和会会長の命獲りにこだわり、抗争終結を急ぐ山口組を離脱。その後は山口組からの攻撃にさらされながらも、竹中組を死ぬまで守り通した。「ごじゃもん」と恐れられ、山口組が倒せなかったただ一人の男の生涯が鮮やかに蘇る!
これは、忘れられたものと、世の中の隅の方にいる人たちのお話。 喫茶店〈ゴーゴリ〉の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。トランプから抜け出してきたジョーカー。赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。三人の年老いた泥棒。空から落ちてきた天使。終わりの風景が見える眼鏡──。 人気作家が腕によりをかけて紡いだ、とっておきの24篇。
神奈川県警みなとみらい署刑事組織対策課暴暴力団対策係係長「ハマの用心棒」こと諸橋のもとを県警本部監察官の笹本が訪ねてきた。県警本部長が諸橋、そして相棒の城島との面会を希望しているという。横浜・山手の廃屋で、中国人の遺体が発見された。被害者は中華街で一財産を築いたが、三年前から消息不明だった。事件の背後に暴力団関与の疑いがあると判断した本部長の要請で、所轄外ながら捜査に加わることになった諸橋と城島だがーー。
裏社会ナンバーワンの始末屋、冴羽リョウ。 何者かに狙われる美女・進藤亜衣は、彼にボディーガードを依頼する。 リョウはそれを快諾するものの、その夜にアパートが武装集団に襲われた。 敵は想像以上に強大な組織らしい。 腕利きの傭兵たちが招集され、各国の武器商人が来日し、やがて新宿を舞台にしたイベントが幕を開ける。 世界規模の陰謀に巻き込まれたリョウは、街と依頼人を守ることができるのか?
なじみの湯屋「富士乃湯」がかれこれ十日以上も店を開けていない。何でも風呂を焚くための薪が、信州松代から江戸に入ってこないのだという。徳川御三家の一角、水戸家の若き跡取り光圀は、松代真田藩の挙動に不審なものを感じ探索を始めた。どうやらまたもや将軍の座をうかがう紀州藩徳川頼宣の策謀が絡んでいる気配なのだ。家康を追い詰めた真田幸村の幻の八連発銃がよみがえる!
耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。はたして時子の死は、自殺か、他殺かーー? 長篇心理ミステリー。
越後岩船藩の江戸中屋敷に新蔵は疾る。十歳の志保姫を国許に連れ戻すために。街道筋には見張りがいる。巡礼の親子に扮し、旅が始まった。逃走劇の根底には江戸表と国許の確執があった。間道を選んで進む道中に追っ手は翻弄される。ところが新たな追っ手が行手を阻み、山火事が迫る中、強敵との死闘が待つ。姫を連れて戻れるのか?冒険小説の旗手シミタツならではの痛快時代エンタメ長篇!
主人公・恭一郎には、七人の叔母がいる。 母の妹たちだ。 生まれたときから、彼女たちを見ていた少年が語る様々な出来事。 昭和という時代に流されず、したたかに生きている女性たちを、『東京バンドワゴン』シリーズなどで人気の著者が描き上げる新たな家族小説。
斎乱之介は料理茶屋の板前に身をやつしながら、養父を刑死へと追いやった目付の鳥居耀蔵への復讐を胸に秘めていた。料理茶屋自体が天保世直党の隠れ蓑でもあった。隠密廻り方同心が読売屋を使嗾して執拗に乱之介の出自を探っていた。その秘密が、陸奥笠原家のお家騒動に絡む意外な事実とともに明らかになったとき、新たな敵が牙を剥いて乱之介たちに襲いかかった。長篇時代剣戟。
九州豊前、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里は嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されていた。ある日、隣家に「抜かずの半五郎」と呼ばれる藩士が越してくる。太刀の鍔と栗形を紐で結び封印していた。澤井家の中庭の辛夷の花をめぐり、半五郎と志桜里の心が通う。折しも小竹藩では、藩主と家老三家の間で主導権争いが激化していた。大切な人を守るため、抜かずの半五郎が太刀を抜く!
あの大ベストセラー小説『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』以後、作家・浜口倫太郎が初めて贈る長篇ミステリーが書下ろしで、しかも、いきなり文庫で登場! 次々と惨殺されるペットたち。その残虐さがエスカレートしていく先には殺人が待ち受けていた。ペット殺しの犯人と殺人犯の接点はあるのか? 人の命と動物の命、その重さに違いはあるのか?家族とは何か? 読む人すべてに命の重さを問いけていく感動サスペンス小説がいま、ここに登場!
警察官であるより前に、一人の人間として、常に正しくありたいんだよーー「警察官の鑑」と誰からも尊敬されていた熊倉警部。W県警初の女性警視へと登りつめた松永菜穂子は、彼にある極秘任務を与えていた。その最中の、突然死。事故かそれとも……。事故として処理したい菜穂子の胸中を知ってか知らずか、熊倉警部の娘が事件現場についてあることに気づく。『絶叫』『凍てつく太陽』の著者が贈る、ネタバレ厳禁!前代未聞の警察小説。
憲兵を殴って海軍を追い出され、満洲鉄道に飛ばされた元士官候補生・湊春雄。彼に与えられたミッションは「甘粕正彦を内偵せよ!」。大連駅から<あじあ号>に乗り込んだ春雄に、「君、尾けられているよ」と声をかけてきた気障な男、西風。正体不明の大陸浪人・西風によって春雄の運命は翻弄されていくーー。幻の理想郷・満洲国を舞台に、鉄道、映画、阿片、諜報、革命運動など、華やかな夢と権謀術数が渦巻くノンストップスパイ冒険活劇。
桶屋鬼三郎は、布袋屋知右衛門に姉と共に苦界へ落とされた娘に頼まれ、悪事を晒す機会を狙っていた。しかし、知右衛門は縁日で絡まれ、頭を強打し、記憶を無くしてしまう。その直後、彼の娘が拐かされ、身代金を要求する文が届く。門前仲町の岡っ引の紋三が調べに乗り出すが…。大岡越前守から朱房の十手を与えられ、江戸市中の岡っ引を束ねる紋三の活躍を描く人気シリーズ最新刊!
商家への押し込み強盗が頻発。店の者が皆殺しにされるという残忍な手口に江戸の町は震え上がっていた。しかも火盗改め方の捕り物が立て続けに失敗し、配下の密偵が刺し殺されて見つかった。死罪を免れる代わりに極悪非道の輩を成敗する役目を負った剣客・佐久間音次郎は、火盗改めの腐敗を調べよとの密命を受け、石川島の人足寄せ場に潜入する…。傑作時代剣戟小説第二弾!