出版社 : 徳間書店
おれの名は朽網康雄。この街でただひとりの探偵。喫茶店でハードボイルドを読みながら、飲むコーヒーは最高だ。この世界は、生前の記憶と人格を保持した連中が住む電脳空間。いわゆる死後の世界ってやつだ。おれが住むこの町は昭和の末期を再構築しているため、ネットも携帯電話もない。しかし、日々リアルになるため、逆に不便になっていき、ついには「犯罪」までが可能になって…。
十津川警部は資産家の秋山博之夫婦を殺害した容疑で、漫画家の戸川雅夫を逮捕する。ところが事件当日、秩父鉄道のSL列車の車中で戸川を目撃したという旅行作家のエッセイを発見。裁判を前に否認を続ける戸川の犯行を裏付けるため、再捜査を開始した十津川がたどり着いた驚愕の真相とは!?
悪漢に屋敷を荒らされた深室家は目付に不始末を厳しく追及される。将軍家綱のお髷番にして寵臣深室賢治郎は窮地に陥るが、老中阿部忠秋の計らいで難を逃れた。これに業を煮やしたのは賢治郎失墜を謀る異母兄松平主馬。冷酷無比な刺客を差し向け、魔手は許婚の三弥にも伸びる。進退窮まった賢治郎。そのとき家綱がついに動いた。権益を巡る傑物たちの攻防。大好評シリーズ、圧巻の完結!
愛知県犬山市の明治村にある品川灯台で、大京物産の社長・高桑雅文の遺体が発見された。死因は刃物で刺された失血死。遺留品の中に血のついた京王電鉄の回数券が見つかる。その血液は被害者とは別のものだった。美濃和紙の取材をしていた浅見光彦は、ニュースで事件を知る。見覚えのある高桑の顔ー。好奇心がとめられずに現場へ!凶器が包まれていた和紙が語る、旅情ミステリー。
悪評高い焼き物問屋の彦市郎と、町中で一触即発の状態にあった明珠。彼は大寺の医僧を務めていたが、看病していた高僧が死んだため、更に蘭方をもって接していたという理不尽な理由で寺を追い出されたというのだ。「尾張屋」の主・宗因らの勧めで町医となったが、彦市郎に薬草の煎じ薬を飲ませたことから事態は思わぬ展開を…。高瀬川に集う人々の歓びと哀しみを綴る傑作シリーズ!
表沙汰にできない揉め事の内済を生業にする九十九九十郎。元御小人目付で剣の達人でもある。若い旗本、大城鏡之助が御家人の女房を寝取り、訴えられていた。交渉は難航したが、九十郎の誠意あるとりなしで和解が成立した。だが鏡之助は九十郎への手間賃を払おうとしない。数日後、牛込の薮下で鏡之助の死体が発見された。御家人とともに九十郎にも嫌疑がかかった…。書下し長篇剣戟小説。
菅原徳介・里子夫婦は、思い出の地・津和野を訪れた。一人息子が借金を苦に東尋坊で自殺、絶望の果て老夫婦は死出の旅に出たのだ。秋芳洞を見物中、夫婦は何者かに襲われ、妻が死体で発見された!自殺をほのめかして失踪する老夫婦が増えていることに不審を覚えていた十津川警部が捜査に乗り出した。やがて、謎の組織が事件の背後に浮かび上がる…。長篇旅情推理。
警視庁捜査一課の三田村功刑事は、恋人の日野由加と愛知県の西浦温泉を訪れる。ところが、由加は宿泊先の板前を刺殺し、直後に自殺を遂げてしまう。捜査が進むにつれ、伊豆の河津七滝、長野の下諏訪で同様の事件が起きていたことが判明。三つの事件の共通点に着目した十津川警部が立ち上がった!!
体重42キロのやせっぽち。鏡池若葉の夢はお笑い芸人。高校に入学して待望の相方と出会えた、その直後……ウエイトリフティング部に引きずり込まれるハプニング発生! 向いてないよ、こんなスポーツ!! すぐ退部届を出すはずだったのに、新しい出会いがーー。 「自分のためじゃない!みんなのためにも、持ち上げる!」 女子ウエイトリフティング部部員たちの成長を描く、青春スポーツ小説!
人気アイドル、謎の自殺ー。彼女の死を悼む暇もなく、蓮美は激動の渦に巻き込まれる。蓮美からのいじめに悩む様子がブログに残されていたのだ。まったく身に覚えがなかったが、マネージャーにもファンにも信じてもらえず…。すべてを失った蓮美は、己の無実を証明しようと立ち上がる。「サクリファイス」シリーズの著者が描き出す、ガーリー冒険譚!疾走感×ミステリー!!
アマチュア無線を楽しむカメラマン野口浩介の無線機に、午前二時になると決まって弱々しい救難信号が送られてきた。調査の結果、南太平洋のトラック諸島で沈没した潜水艦・伊号五〇九から発信されたものだったのだ!そして元海軍中佐の不可解な死!?この艦が積んでいた十億円の金塊の行方は?真相を追って野口は南の島に向かった…!十津川警部シリーズの初期代表作。
「徳川の天下」が揺らいでいる。関ヶ原の後、伊達・上杉の奥州連合軍は決起し関東を攻めた。江戸を落とした奥州軍は、東海道で徳川軍と激突。家康は這々の体で敗走したのだ。これにより政情は不安定化する。天下の趨勢の鍵を握るのは前田の芳春院、利家の妻だったまつと淀君だ。前田慶次郎は大坂城乗っ取りの奇襲策に打って出た。窮地に立たされた家康の次の手は…。瞠目の戦国仮想歴史戦記第三弾!
小学校四年生のとき、深津九子は母親の瑠美子に捨てられた。九子は施設に保護され、母は幼児虐待容疑で逮捕された。心に闇を抱えながら善寺川学園に通う深津九子は、担任教師・三塚が寄せる後ろ暗い気持ちを利用して彼を支配し、クラスの男子・西野を下僕化、同級生の井村里実からは崇められていた。ある日、瑠美子の消息を知るチャンスが巡ってきた。運命は激しく動き出す。予想外の展開、そして驚愕のラストが!書下し長篇完全犯罪ミステリー。
江戸町奉行の根岸肥前守鎮衛から、埋もれがちな諸悪を根絶することを命ぜられた同心二人。 相手がどんな身分であろうとも、苛烈に、非情に、悪に立ち向かう男たち。 ある晩、出会った母子。その娘が拐かされた。 しかし、身代金の要求が、当代きっての人気役者につきつけられて……。 見えぬ犯人に焦る同心たちは、地道に探索にあたる。 小社「はぐれ十左」シリーズなどで人気の著者が描く意欲作。
群馬県小沢岳で男性の絞殺死体が発見された。被害者はバイオ化学メーカー、モンテサンクト社員で遺伝子組換え作物をめぐる農民反対運動の説得工作に当たっていた。一方、静岡県の薬剤師・向井は、産婦人科医師の芦沢から頻発する不自然な流産について相談を受ける。調べると流産に共通するのは、南アルプス・オーガニック農場の生産品を使っている点だった。二つの事件を繋ぐ接点とは? 食の安全を脅かす「魔の種」に警鐘を鳴らす書下し長篇推理。
強欲成金の親子に殺人予告状が送付され、道楽息子が殺された。戦慄した父親は暴力団に警護を頼むが、四十人近い組員もろとも皆殺しにあう。さらに財団連会長に新たな殺人予告状が届く。警視庁は万全の警備態勢を敷くが、娘になりすました何者かが侵入し、会長は殺害された。重大事案発生に、時宗首相は仙石文蔵を頼る。文蔵の戦時中国での因縁に絡む犯人像が浮かんだ。ハードロマン巨篇。
永禄十三(一五七〇)年、時は戦国乱世。大島から脱け出した二十歳の弥五郎は、運命の糸に手繰り寄せられるようにして、三嶋神社の宮司と邂逅を果たす。剣豪・鐘捲自斎、領主・松田康長との出会いにより、弥五郎は剣術の道を極めることを決意するのだったが…。天下一とうたわれた剣聖が伊藤一刀斎と名乗るので、一刀流開祖の礎はいかにして築かれていったのか。あらたなる剣聖小説!
剣術家として廻国修行の旅に出た伊藤一刀斎。京の吉岡一門、奈良の宝蔵院胤栄、そして柳生石舟斎らとの邂逅により、一刀斎は己の剣を天下一と確信、「一刀流」と命名した。廻国修行の総仕上げで、一刀斎は神子上典膳をみつけ一刀流の後継者として鍛えていくことにするが…。小野善鬼との友情。己の加齢による葛藤。天下一とは何であるのか。剣士としての大悟にいたる歩みを活写する!
寝台特急トワイライトエクスプレスにプラスチック爆弾を仕掛けた。スイッチを入れれば、ただちに爆発する。それを回避したいなら、乗客・乗員の身代金として1億円を用意しろーーJR西日本に脅迫状が届いた! 列車は定刻どおり大阪駅を出発したばかりだった。脅迫は本物なのかイタズラなのか? 爆発物処理班が乗り込み、必死の捜索を開始。脅迫状が東京中央郵便局から投函されていたことから、警視庁・十津川警部も捜査を開始した!?