出版社 : 徳間書店
人形浄瑠璃が縁で二人は出逢った。男は尾道で造酒屋を営む忠三郎。女は廻船問屋の後妻・お夕。お夕が後妻に入った経緯を知った忠三郎は、次第に彼女に心を寄せていくが、婿養子の身でできることは限られる。そんな中、お夕が窮地に追い込まれることに。お夕を救おうとする忠三郎。忠三郎への気持ちを明かすお夕。世間から後ろ指を指されようとも、二人は覚悟を決めた。
心の闇を苗床に、この世に芽吹く呪い草。常世のそれを刈り取る者を妖草師と称する。江戸中期、錦秋の京に吸血モミジが出現した!吸われた男の名は与謝蕪村。さらに伊藤若冲、平賀源内の前に現れた奇怪な草ども。それが、はぐれ公家にして妖草師の庭田重奈雄と異才たちの出会いであった。恐怖、死闘、ときに人情…時代小説の新たな地平を切り拓いた逸材の、伝奇作品集!
信州善光寺の行人・次郎三郎と仲間たちは、領地の切り取りに鎬を削る戦国大名たちを相手に、敵味方なく馬や兵糧などを取り引きする武辺の商人。織田勢に包囲された城に潜入して米を届けるような、度肝を抜く知恵と行動力で乱世を生き抜いている。次郎三郎とは誰あろう後に大坂方の知将として名を馳せる真田幸村の祖父・幸綱その人であった。真田一族の栄枯盛衰を描く戦国大河小説第一弾!(書下し)
高瀬船の船頭弥助の子・弥市は、人攫いと噂されている謎の男が、篠山藩の京屋敷に入って行くのを目撃した。ちょうど、居酒屋・尾張屋には、篠山藩士と思われる侍たちが夜毎押しかけ、不穏な空気が漂っていたのだ。主の宗因は、彼らが人足・藤蔵の行方を探っているのではないかと疑いをもつ…。謎の男と尾張屋に集まる侍たちとの間には何があるのか?好評連作シリーズ第四弾!
蝦夷に渡った土方歳三。刻々と最期のとき迫る中、知ることとなった龍馬殺害の真相とは(塚本青史「最後に明かされた謎」)。慶喜側近の寓居を訪れた近藤勇。そこに新たな来客があった。変名なれどこの男、龍馬ではないか。龍虎ここに邂逅す(岳真也「龍虎邂逅」)。なにゆえの朝帰りだ、同輩が聞く。剣一筋に生きてきた永倉新八は、初めて女に惑っていた(鈴木英治「時読みの女」)。圧巻の新選組競作!
幼なじみの大和に恋心を寄せる結衣。恋人未満、微妙な距離の高校生ふたりの前に、弥生と名乗る美少女が突然現れた。彼女は「未来から来た、あなたたちの娘です!」という。さらに「お母さん!勝負!」とわけのわからぬことを力説する弥生に戸惑う結衣だったが、大和の娘だという少女たちがさらに二人も現れてびっくり仰天!しかもそれぞれの母親は結衣とは別の女だって?
“貴種”と呼ばれる吸血鬼たちが人間を支配する世界。隣国の急襲に遭って落城し、そこから逃げのびたシェミハザ伯爵の嗣子イオアン。侍者ラウルとともに襲爵のため、上王のいる都へ向かった。その途中で人間たちが信奉する教会の聖山がある都に立ち寄る。そこへ彼らの追っ手でもあるマステマ伯爵の軍勢が攻め込み、おまけに聖山の外に住む下層民たちが叛乱を起こした。すべての騒乱は、前上王の弟イリヤが、異能な力を使って仕掛けたことだった。イオアンたちの住む大陸とは海を隔てた島、女王ゼノビアが治めるアルビオンから来た少女アイーシャたちの手助けもあり、イリヤを撃退したが…。書下し長篇第五弾!
米崎県警平井中央署生活安全課が被害届の受理を引き延ばし、慰安旅行に出かけた末に、ストーカー殺人を未然に防げなかったと、新聞にスクープされた。県警広報広聴課で働いて4年、森口泉は、嫌な予感が頭から離れない。親友の新聞記者、千佳が漏らしたのか?「お願い、信じて」そして、千佳は殺された。大藪春彦賞作家、異色の警察小説。
コーヒーの香りとショパンの調べが、私をあの頃へと戻してゆくー。店の常連千代子にとって、マスターの淹れるコーヒーはささやかな魔法。二十年前、夫との関係に一人悩み、傷ついた気持ちを救ってくれたのがこの店だった。心地よい苦味と懐かしい旋律が記憶を呼び戻し、不思議な出会いが訪れて…。下町にひっそり佇む純喫茶トルンカを舞台に三つの温かい交流を描く、感動の第二弾。
念願の仇討ちを果たし、無事江戸の地を踏んだ俊介一行は、周防三田尻湊から船で先に帰らせたおきみの家へ立ち寄ることに。が、母のおはまは、「戻っておりません」と言う。愕然とした俊介は、供につけた伝兵衛の身を確かめるため、急ぎ屋敷へと走るが、いまだ姿を見せておらず…。誰かの企みか、それとも海難か?病に臥す父幸貫の容態は?相惚れの良美との祝言を阻む困難はいかに?
開発途中の物質過去射出機“クロノス・ジョウンター”には重大な欠陥があった。出発した日時に戻れず、未来へ弾き跳ばされてしまうのだ。それを知りつつも、人々は様々な想いー事故で死んだ大好きな女性を救いたい、憎んでいた亡き母の真実の姿を知りたい、難病で亡くなった初恋の人を助けたいーを抱え、乗り込んでいく。だが、時の神は無慈悲な試練を人に与える
天国区のデイサービス施設で、宿直員の若者一名と利用者の老人二名の死体が発見された。三人とも、刃物でメッタ刺しという惨状。横浜市警第3分署の杉山と鳴海が捜査にあたることとなった。やがて被害者たちがそれぞれ抱える問題や家庭の事情が浮き彫りになる。彼らに共通する接点は?撹乱のための猟奇殺人と指摘する署員もあらわれ…。注目の警察小説、血に染まった第二弾!
昭和四十四年、高度経済成長の只中。華やかな世相を横目に筑豊の主要産業である炭鉱は衰退の一途。しかし荒くれ者たちの意気は盛んだった。全域に威を振るうのは海衆商会。その賭場で現金強奪事件が起きる。主犯はチンピラの菱谷松次だ。面目を潰された若頭・中場杜夫は怒りに震える。二人の激しい衝突はやがて筑豊ヤクザ抗争の根底を揺さぶることにー。感動の第十六回大藪春彦賞受賞作。
反対する祖父を殴り倒して日本に出稼ぎに来た、日系ブラジル人マーリオ。しかし希望は裏切られた。低賃金で過酷な労働を強いる工場から抜け出し、今は風俗嬢の送迎運転手をやっている。ある日マーリオは、中国マフィアと関西やくざの取引の隙に、大金と覚醒剤を掠め取ることに成功。怒りと絶望を道連れに、たった一人の闘いー逃避行がはじまった!第1回大藪春彦賞受賞作品。
南町奉行所定町廻り同心、一ノ瀬金吾は捕り物の際に不手際を演じてしまい、与力から定中役勤務を命じられた。定中役とは臨時の出役でいわば窓際。新奉行就任までの措置とはいえ、くさる金吾。詰め所には先の捕り物で助けてくれた神賀銀十郎がいた。無口だが切れ者で、頻出する火付け事件を調べていた。金吾は、前任者がある事件を追って謎の死を遂げていたことを知る。書下し長篇時代小説。
新宿署管内で立て続けに起こった連続婦女暴行事件。女性刑事・夏目凛子をはじめとする特任捜査チーム「α特務班」は、山口茂樹という男に容疑者を絞った。ところが山口は何者かに監禁され、ネットの動画配信で自白を強要される。十四年間、行方をくらましていた未解決連続強姦殺人犯「ペルソナ」。その不気味な影が特務班に迫る!驚愕のクライムミステリー第二弾!
隣国の急襲により、陥落したシェミハザ伯爵の城。伯爵の嗣子イオアンは、侍者ラウルとともに、襲爵の許可を得るために、貴種たちの上王が住まう都を目指していた。追ってくる刺客を元僧侶の騎士ハイドリヒたちの助けを借りながらかいくぐり、人間たちが信奉する教会の聖山に辿り着く。そこには、現在の上王の叔父で、大罪を犯したために追放されたイリヤがいた。彼は人々を魅了し、聖山に住む人々だけでなく、貴種たちをも操り、とんでもない騒動を引き起こそうと目論んでいた。貴種と呼ばれる吸血鬼たちが人間を支配する世界。その均衡が揺らぎ始めた!著者渾身の書下し冒険青春浪漫。
警視庁捜査一課の三田村功刑事は、お遍路旅行に出たまま行方不明になった叔父夫婦を捜すため、従妹の吉田あやかと四国に向かう。旅の途中、二人が乗った特急「しまんと1号」で男が毒殺され、足摺岬では叔父に容疑が掛かる転落死事件が発生する。冴え渡る十津川警部の推理は、絶体絶命の部下を救えるか!?巻末企画・特別連載「寝台特急トワイライトエクスプレスを爆破せよ」。スペシャル・インタビュー、都道府県別データ、わが故郷の駅弁自慢。
度胸と才覚を武器に、ちっぽけな太物問屋から、江戸有数の大店に成り上がった女の秘めた恋!江戸中の人々を驚かせ、女たちの注目を集め、新しい反物を流行らせた“人でなしのおけい”は仮の姿。遣り手、強面のかげに一途な純愛が…。号泣必至の一代記!