出版社 : 徳間書店
妻が大きくなっていく。骨を軋ませ、糞尿を垂れ流し、不明瞭な言葉を発しながら。周りには我が家を監視する隣人、私事を詮索してくる同僚、言葉で殺そうとする母…。助けは、要らない。極限の日々が始まった。倫理観を抉るのは怪物か、それともー。
赤い国が建造した最新鋭原子力潜水艦“赤い鯱”がオホーツク海で米国原潜のレーダーに捕捉された。米軍艦隊は総力を上げて追跡するが、巨大原潜は悠々と姿を消した。軍事優位逆転の事態に米国防総省は戦慄する。「赤い鯱を捕獲せよ」-仙石文蔵をリーダーとする四人の超人集団に白羽の矢が立った。深海潜水艇に乗り込んだ四人の男達は小笠原海溝へと潜航するが…大長篇ハードロマン。
やはりそうか…志野は江戸か。蘭学者の父を看取った志野は、母の美也を探しに深川へ向かったという。さらに幼い頃通っていた塾の恩師、澄代のところに一年ほど身をよせていたと知った新八郎は、妻に会えると確信をもつ。徐々に足取りが掴めてきたとき、いつも気遣ってくれている八重が何者かに拐かされてしまう!そこには追い求めていた人の姿が…。好評シリーズついに完結。
帝国復古を目論む反米組織・黎明会が国防軍創設を達成するための軍事蜂起を企てた。特務機関「ラバーズ」に招集された防衛省情報官・伊吹司の任務は、このクーデターを阻止すること。しかし、黎明会のメンバーがアメリカの特殊部隊に次々と強襲されていく。さらに攻撃はラバーズにも。圧倒的な戦闘力の前にラバーズのメンバーは散り散りになり、司は独り黒幕を追う。シリーズ第三作!書下し。
警視庁捜査一課の美女刑事、江仁熊氷見子30歳、通称エニグマ。女の勘…を通り越して、もはやオカルトともいうべき、常人には理解しがたい直感力で事件を解決に導く彼女だが、頭の硬いベテラン刑事たちからはやっかみ半分の嘲笑を受ける日々。相棒で後輩の真山恵介28歳は、戸惑いながらもエニグマに従ううちに…。新感覚警察小説誕生!
京都の名門学園に続発する凄惨な殺人事件。対するは、マンジュウガニ以上といわれるすべすべ脳みそにして、化石オタクの変人女子高生。古生物部の美形部長まりあが、一人きりの男子部員をお供に繰り出す、奇天烈推理の数々!
警視庁捜査一課の大谷努は二枚目の敏腕警部だが、強度のマザコンが玉に瑕。ある秋晴れの日、部下で恋人の香月弓江と都内のホテルへと出向いた。待っていた大谷のママが開口一番、「努ちゃん、今日あなた、お見合いするのよ!」寝耳に水の展開に弓江も大谷も仰天。相手は杉山涼子という今どき珍しい健気な女の子だったが、彼女が二人組の男に襲われた!人気のユーモアミステリー第三弾。
「先生の声が聞きたくて」気だるい日曜日、さしたる知り合いでもない男の電話。それが臨床犯罪学者・火村英生を血塗られた殺人現場へいざなう一報だった。双子の弟を殺めました、男は呻くように言った。明日自首します、とも。翌日、風薫る兵庫の高原で死体が発見された。弟と、そして当の兄の撲殺体までも…。華麗な推理で犯人に迫る二篇に加え、話題の異色作「ミステリ夢十夜」を収録!
公金横領の汚名を晴らし、高瀬川のほとりに居酒屋・尾張屋を開いた元尾張藩士の宗因。店の評判もよく繁盛していた。ろくに食事も与えられず、病身の母親に暴力を振るい続ける義父をひょんなことから過って殺してしまった健気な少年・芳松。日ごろの芳松をよく知る宗因は、過去の恩讐をかなぐり捨て尾張藩を頼って一計を案じた!?人情時代小説の傑作シリーズ!
ある事情から薔薇と蝶のタトゥーをいれてしまった美希。過去の記憶から逃れられない彼女は、人と関わりをもたずにひっそりと暮らしていた。そんなある日、迷子のインコを拾ったことをきっかけに、宅配ドライバー・大地が急接近。美希は太陽のように明るい笑顔で接してくる大地に惹かれる自分を戒め、彼から遠ざかろうとするのだったが…。新たに書下し後日談「飛び立つ鳥」を収録。切なく甘い愛と再生の物語。
十津川班の日下刑事は、叔父で元刑事・黒田信行のマンションを訪れた。黒田の娘から、父と連絡が取れないと相談を受けたからだ。部屋で日下が目にしたものは、何者かの死体だった!さらにその場には「KOKOKU12×4」という謎のメッセージが…。やがて黒田の死体が琵琶湖で発見され、十津川は現場へ飛んだ。が、第三の死体が!?謎が謎を呼ぶ不可解な連続殺人に十津川が挑む!
恋愛で結びつくなどという結婚は、働かないと食べてゆけない人がすることー。上流階級でしか暮らせない男女のめぐり逢いを、醒めた文体で描いた、四篇からなるロンド小説。欲望を経た純愛、秘かな被虐性愛、静かに熱を帯びる片恋、南島での邪淫。満ち足りた暮らしの満たされない孤独を、四組の「わたし」と「藤沢さん」が織りなす。異才が贈る、正しい背徳と倦怠。
北町奉行所同心見習いの長谷啓之進に従っていた岡っ引の仙蔵が突然姿を消す。同じ長屋のおくまは「十日前に色白で綺麗な女が訪ねてきた」と言い、二人は不釣合だったと笑った。元巾着切りの仙蔵とその女は一体どんな仲なのか?隣に住む青柳新八郎は心配で行方を追っていく。すると、ちょうど用心棒を請け負っている買取り屋の大おかみと仙蔵とが思いもよらぬ糸で繋がっていた!
尼崎藩の元江戸家老、塩谷隼人もついに隠居。長屋の大家としての第二の人生が始まった。美貌の書道家弥生も新たに店子に加わり、穏やかな日常が続くかと思われた。そんなある日、長屋出入りの魚屋の太助が、棒手振りの同業者から逆恨みで襲われる光景に、隼人は出会す。天秤棒を振り回し、見事追い払う太助であったが、隼人は苦言を呈する。「生兵法は怪我の元と申すは、おぬしのことぞ」
防衛省情報官・伊吹司が護衛するアメリカの要人が襲撃された。しかし戦闘のプロを相手に司は手も足も出ない。そんな司をあざ笑うかのように、今度は日本の高官が暗殺されてしまう。誰が何のために殺しているのか混乱する司だったが、同日、特務機関ラバーズへの招集がかかる。生存率60%と言われるラバーズの日々が、また始まった。ド派手アクション満載の三カ月連続刊行第二弾!
突然、寄場詰同心の役を解かれた南町奉行所の帰山貴三郎。小りんという謎の女に連れて行かれたのは、南町奉行の根岸鎮衛配下の与力の元だった。犯科の増大を憂えた奉行は、隠密裡に探索し撲滅せよとの「特命」をくだす。帰山は元門前廻り同心の深草新吾とともに抜擢されたのだ。ある老婆の死に不審を感じて調べ始めると、つましい暮らしなのに、どこかに毎月一両もの大金を送金していた。書下し時代活劇。