出版社 : 徳間書店
上杉謙信の嫡子景勝の重臣直江兼続は、伊達政宗からの使者の口上に我が耳を疑った。東軍に与していたはずの伊達が、関東攻略に打って出る、ついては上杉・直江との同盟を結びたいと驚愕の申し出をしたのだ。この日、関ヶ原では天下分け目の激戦で東軍が圧勝、西軍は壊走した。その報を受けて、伊達政宗が腹をくくったのだ。奥州が連合して関東を制するーここから歴史の大転換が始まる!
尼崎藩江戸家老を長く勤めた塩谷隼人であったが、藩主松平忠告も死去。家中の落ち着きを待ち三回忌の後、ついに暇をもらい晴れて隠居の身となった。主家から離れた後の月々の暮らしを考えた隼人は、八丁堀に土地を借りて長屋を普請。しかしどうしたことか、店子がまったく集まらない。窮する隼人だが、尼崎藩や船宿『海ねこ』の面々に頼るわけにはいかぬ。職を求め、口入屋を訪ねるが…。
「ガッコウがなくなるぅ!?」房総の底辺大学でおバカな青春を謳歌する学生たちに、突如襲いかかった大災難。経営が破綻し、即廃校にするという。「じゃ、俺ら卒業できないわけ?」極楽鳥研究会の面々も青ざめた。“楽に生き抜く法を追求する”サークル活動から一転、真相に迫ろうとする七人組。そして浮かび上がる理事長、官僚、暴力団までが仕組んだ大陰謀…。落ちこぼれパワー炸裂だ!
江東区亀戸の空き家で完全に白骨化した死体が二体発見された。住んでいたのは八十代の老夫婦。検視官は二人とも他殺と断定したが、監察医務院は自然死と結論し、一課の管理官も事件性を認めなかった。城東署の葛木邦彦は、息子の警視庁特命捜査対策室管理官・俊史の協力を得て捜査に乗り出すが、本庁サイドの動きは鈍く、本来なら立ち上げるべき捜査本部を一向に設立しようとしない。やがて浮かび上がった敵に、葛木父子と捜査陣は震撼する。
「僕をこんな男にした責任を取ってもらうからね」。人気ファッションブランドのチーフデザイナー花木麗香28歳。彼女の前に、小学生時代にさんざんいじめた同級生・綾瀬正也が上司として現れた。当時とは別人のように美しく変貌を遂げた麗香は、自分が元同級生だということを必死に隠すが…。麗香に異様な関心を寄せる、イケメン上司の真の目的とは?大人の男女のちょっとアブない恋を描くラブコメディ。
時は宝暦。相次ぐ地震や飢饉で不安にとらわれた人々の心が妖怪やもののけを呼ぶ。そんなこんなでお江戸に巣食ってしまった魑魅魍魎と、時には共に闘い、時には祓って鎮める腕利き拝み屋のろくヱもん。猫神の「ちま又」との迷コンビで、お江戸の怪異をブッタ斬る。此度の敵は謎の妖怪師・和田塚式部。捕らわれのお鈴を救い出せ!妖怪ものの第一人者が贈る大江戸もののけ活劇第二弾!
柏木陸は関西随一の国立大生という肩書きと美しい容姿を利用し、刹那的な生活を送っていた。ある嵐の日、愛車で山中を走っていた彼は道に迷い、偶然見つけた洋館を訪れる。出迎えたのは陸と同年代の美しい女性。しかし彼女は、常に他者との関係で主導権を握ってきた陸を翻弄し、心を先読みする…。彼女は何者なのか?陽炎のように儚い、ひと夜の出会いを描いた、ミステリータッチのラブストーリー。
独覚菌を植え付けられ、獣の姿に変貌し、獣化兵と呼ばれる者は既に十一名いたが、御門周平は人間の姿を保ったまま。いわば、ニュータイプの獣化兵なのであった。強大な兵器ともいえる彼をめぐって、さまざまな組織による争奪戦が開始。マヤの末裔ラカンドン族に導かれ、メキシコに渡った御門は、かつての恋人一ノ瀬京子の姿を追い求めるが、新発見の油田の利権争いに巻き込まれてしまう。著者渾身のノンストップ伝奇アクション超大作。
映像制作会社・チョコレートTV。“老若男女に愛されるチョコのようなコンテンツを提供する”はずが、いまや謝罪の手土産にチョコを持参する始末。時と場所を選ばずダジャレを連発、周囲をドン引きさせる社長の荒巻源次郎のもと、ドラマやバラエティー、はては息子の運動会のビデオ撮影まで、さまざまな現場で奮戦する社員たち。テレビをこよなく愛する人間たちのくすっと笑える裏事情。
出島に薬草園を造りたい。依頼を受けた長崎の植木商「京屋」の職人たちは、異国の雰囲気に怖じ気づき、十五歳の熊吉を行かせた。依頼主は阿蘭陀から来た医師しぼると先生。医術を日本に伝えるため自前で薬草を用意する先生に魅せられた熊吉は、失敗を繰り返しながらも園丁として成長していく。「草花を母国へ運びたい」先生の意志に熊吉は知恵をしぼるが、思わぬ事件に巻き込まれていく。
深夜の歌舞伎町。顔面の皮がよじれ、原型をとどめない惨殺死体が三つ発見された。上海クラブを襲ったイラン人たちが、謎の大男に素手で叩き殺されたのだ。男は広東訛りの北京語を喋っていたという。新宿署刑事捜査課一係の松崎は手がかりを求め、事件後に男を治療した外科医・犬養を訪ねる。報復が繰り返され、闇組織の抗争が激化する中、帰宅途中の犬養は例の大男に待ち伏せされ…。
大坂に到着した俊介らが真っ先に向かったのは、名医が営む診療所。原因の分からぬ頭痛で難儀する仁八郎が、ひとり一行を離れ、世話になっているはず。しかし、置き手紙を残したまま、彦根へ発ってしまったと医者は言う。仁八郎の身に一体なにが起こったか?急ぎ後を追う一行を巻き込む、恐るべき陰謀とは?さらに宿敵似鳥幹之丞の魔剣までもが俊介を襲うのか?若殿、危機一髪!傑作廻国活劇第八巻。
2013年に発表された中から、当代の読み手が選んだ名作14篇!新鋭からベテランまで、“いま”を代表する実力派作家が揃いました。ミステリー、ファンタジー、恋愛など、テーマや時代背景はさまざまですが、共通してどの物語からも“読む”ということの楽しさを再発見できるはず。短篇という限られた枚数だからこそ描くことのできた味わい深い物語の数々。
聖斗高校二年生・佐伯晶は、女子と見紛うほどの美貌の持ち主。近寄ってくる女子も多いが、男子のいじめの対象になることも。ある日、二人の男子に詰め寄られているところを養護教諭の水上花に助けられる。それからたびたび保健室を訪れるようになった晶に、次第に翻弄されていく花。そして、晶らしからぬ冷酷な行動を偶然目にして…。学園を舞台に繰り広げられる恋模様。「恋愛教室」シリーズ“保健室”篇。
大学生の麻美はバイト先の書店で、幼馴染みの拓磨に偶然再会。有名化粧品メーカーの社長を父に持つ彼は、大学に通う傍らメイクアップアーティストを目指して修業中だった。引っ込み思案で男性経験もない麻美は、彼の練習台になってメイクをしてもらううちに、少しずつ自分に自信が持てるようになっていくのだが…。誤解が誤解を生み、予想外の展開!?果たして麻美は幸せな恋愛を手にすることができる?
川島美咲は、家柄の良いお嬢様育ち。周囲から特別扱いされ、何不自由ない高校生活を送っていた。美術部顧問・柏木に、ある行為を目撃されるまでは…。「この世には、どんなに欲しがっても手に入らないものがあるってことを、君に教えてあげるよ」。柏木は美咲を翻弄し、支配し、拘束する。自分の存在価値が揺らぎ始めたことに気づいた美咲は…。学園を舞台に繰り広げられる恋物語「恋愛教室」シリーズ・美術室篇。
東京で働く友里子の母校が、近くの高校に統合され、閉校することになった。所属していたヨット部のOB会が開かれることになり、好きだった佑介に久々に会えることを期待して、参加することに…。高校を卒業して十七年。就職、結婚、とそれぞれの人生を歩んでいた彼らは、いろいろな悩みを抱えていた。『探し物は恋なんです』などで評判の著者が、等身大の男女たちの生活・恋愛・仕事を描く。書下し友だち小説。