出版社 : 徳間書店
嬰の勾玉の主・菅流に助けられ、各地で勾玉を守っていた“橘”の一族から次々に勾玉を譲り受けた遠子は、ついに嬰・生・暗・顕の四つの勾玉を連ねた、なにものにも死をもたらすという“玉の御統”の主となった。だが、呪われた剣を手にした小倶那と再会したとき、遠子の身に起こったことは…?ヤマトタケル伝説を下敷きに織り上げられた、壮大なファンタジー、いよいよ最高潮。
京都の医大に勤める秋沢宗一は、同僚の結婚披露宴で偶然、十三年前の恋人・亜木帆一二三に出会う。不思議なことに彼女は、未だ二十代の若さと美貌を持つ別人となっていた。昔の激しい恋情が甦った秋沢は、女の周辺を探るうち驚くべき事実を掴む。彼女を愛した男たちが、次々と謎の死を遂げていたのだ…。気鋭が放つ、サスペンス・ミステリー。
最強と謳われる陸上自衛官・真田聖人の妻が惨殺された。妊娠六ヶ月、幸せの真っ只中だった。加害少年らに下った判決は、無罪にも等しい保護処分。この国の法律は真田の味方ではなかった。憤怒と虚無を抱え、世間から姿を消した真田は復讐を誓う。男は問うー何が悪で、何が正義なのか、を。本物の男が心の底から怒りをあらわにしたその瞬間…。残酷で華麗なる殺戮が始まった。
羽賀組はかつて博徒集団だったが、今は鳶職や家屋解体工を抱える会社だ。四代目組長を継いだ羽賀亮は、刑事を本業としているため、元博徒の彦坂成昭に会社を仕切らせ、堅気として生きている。が、父が事故死と見せかけて殺されたかもしれないという疑念を持ち始めた羽賀は違法と知りながら、裏社会の人脈を持つ彦坂を使って真相を探るが…。
イラストレーター森山由海(別名フジワラヨウコウ)氏のオリジナル・イラスト二点を渡された三人の小説家が、そのイラストが扉絵・挿絵になるような短篇小説を執筆。森山氏はそれぞれにあらためて三点目のイラストを描き下ろすー。「SF Japan」と「問題小説」の二誌にまたがって、三年間連載。二十四名の人気作家が集結し腕を揮った前代未聞の競作企画が遂に単行本化。まずは第一弾、「奏の1」の開演。
輝の大御神の双子の御子と闇の氏族とが烈しく争う戦乱の世に、闇の巫女姫と生まれながら、光を愛する少女狭也。輝の宮の神殿に縛められ、地底の女神の夢を見ていた、“大蛇の剣”の主、稚羽矢との出会いが、狭也を不思議な運命へと導く…。神々が地上を歩いていた古代の日本“豊葦原”を舞台に絢爛豪華に織り上げられた、日本のファンタジー最大の話題作。
初雪の降った霜月、初孫が生まれた勘兵衛。めでたく祖父となって三月が経った今日、人形を揃えんと勇んで向かった雛市で、仕事最中の老いた男に出会した。伝説の掏摸と呼ばれし初音の仙蔵が、なんと、手管を仕込んだ倅娘とぐるになっているではないか。仏の顔も三度までと、此度ばかりは見逃してやったものの、別れ際に物言いたげな仙蔵を質しもせず、後にしたのがいけなかった…。
小伝馬町の古着商たちから、最近開業した店が盗品を扱っている疑いがあるので、調べて欲しいとの訴えがあった。北町奉行所の隠密廻り同心・鏑木十左は、裏に大がかりな組織があると睨み、探索を始める。同じ頃、手下の岡っ引き八十助のひとめ惚れした武家女が、鉄砲洲の大番屋に入れてくれと懇願してきて…。次々と起きる事件に、十左が疾る。
棟居刑事は出張先の四国霊場・遍路宿で元区役所吏員の野田と相部屋になる。彼は現役時代に世話をした行路病者やホームレスの遺書を、遺族に届ける旅をしていた。その日所持していた遺書の主は、新宿中央公園で就眠中を襲われ死亡したホームレスだった。娘のために買い、身につけていたネックレスが死亡時に紛失していたという。そのネックレスが、東京で起きたコンビニ強盗事件の防犯カメラに映っていた(表題作)。切ない余韻が美しい叙情推理の傑作全九篇。
ビジネス界の一匹狼たちが情報を武器に、ある者は不審な死を遂げた友の復讐を果たし、ある者は巨大企業の策謀を暴く。リーマン・ショック後、日本経済の隠された実情を描く筆致は衝撃的でわかりやすい。本作は著者のデビュー作『デフォルト 債務不履行』の続篇であると同時に、ビジネス界を舞台にした、これまでにない武侠小説の短篇集である。
書評家の林雅賀が店長の蒼林堂古書店は、ミステリファンのパラダイス。バツイチの大村龍雄、高校生の柴田五葉、小学校教師の茅原しのぶーいつもの面々が日曜になるとこの店にやってきて、ささやかな謎解きを楽しんでいく。かたわらには珈琲と猫、至福の十四か月が過ぎたとき…。乾くるみがかつてなく優しい筆致で描くピュアハート・ミステリ。
「芋侍のにいちゃん、可愛いねえちゃん半刻ほど貸せよ」武州槻山藩主から休みをもらって江戸に出た小坂亀治郎は、道を尋ねてごろつきに囲まれた。怪しい侍から助けてやったお鶴ちゃんが、なぜか旅の道連れになってしまい、吉原遊びを断念したばかりだった。武州訛りで風采の上がらぬ亀治郎とお鶴ちゃんの、心がほっこり爆笑珍道中の始まり始まり。
新宿、仙台、福岡など日本各地で、見知らぬ通行人の女性をバットで殴って、死傷させるという事件が連続発生。犯人は、殺害後、逃走せずに、現場で茫然としているという共通点があった。いずれも犯人はその場で逮捕。犯人同士に、接点はまったくない。新宿署の刑事・城島は元FBI心理捜査官エミコ・クルーニルと共に、恐るべき事件の真相に迫る。
ある朝、文之介の屋敷の前に置かれていたのは、篭に一杯詰まったかぼちゃだったー誰がなぜ?興味津々のお春が調べ始めたその頃、文之介は勇七とともに、首を吊ったと見える男の探索に入っていた。枝が折れて落ちたためか、生垣を境にして下半身が神社に残り、上半身が町地に飛び出しているという、不思議な死に方だった。他方、丈右衛門は蕎麦屋の息子から、ある依頼を受けて…。
隼之助は、御膳奉行を務める木藤家の次男だが、父の命で長屋暮らしをしている。ある日、近所の年寄りに頼まれ、借金を抱え、困窮する蕎麦屋の手伝いをすることになった。家賃の取り立てに来た大家を、父に同行した諸国で知った旨い蕎麦を再現し、唸らせ、期限を引き延ばすことに成功する。その項、彼の友人・将右衛門は、辻斬りに遭遇し…。
ハネムーンから戻るなり、水元と月は“さよなら”を決めた。二人はまったくそりが合わなかったから。けれど…少子晩婚化に悩む先進諸国はグローバル国策会社、結婚仲介業のPM社を創りだしていた。その独創的相性判定で男女は結ばれ、結婚を維持しなければならない。しかもこの二人、判定は特Aで夫ときたらPM社員。強大な敵が繰りだす妨害に対し、ついに“別れるための共闘”が始まった。
クラスの雰囲気をつくる“裏掲示板”。発言力のあるやつにビクビクする日々。目立たないよう適当に過ごせればいいと思っていたぼくが、変わりたいと思った。自分らしくあることの大切さ、素敵さ。そのことに気づかせてくれたのは、君ー。坪田譲治文学賞作家が贈る青春群像劇。