出版社 : 徳間書店
警視庁捜査一課OBの岡田利夫と、特急『きのさき5号』で名刺交換した宝石外商員の北野敬が、城崎温泉で殺害された。一年前には、鳥取県の三朝温泉と島根県の玉造温泉で愛人のために北野から宝石を買おうとした地元の名士が不審死している。岡田とともに事件を追う十津川の前に立ちはだかる巨悪とは!?
世界初?たまごかけご飯専門店にようこそ!「限界集落」に暮らす村人たちを、俺が元気にしてやんべ!養鶏農家でお人好しの二郎は「たまごかけご飯専門店」を開くと決意した。しかも、限界集落からさらに山奥に入った森のなかで。このあまりにも素っ頓狂な計画に、村人たちは大反対するが…。小さな山村に暮らす愉快な面々が繰り広げる、笑って泣ける物語。
天下の声望を集める徳川家康に対し、反旗を画策中と噂される石田三成。風雲急を告げる世情のなか、弁之助は豪族・上の東江家の当主にして、手裏剣術の達人である然茂ノ介とともに武者修行に出る。ふたりを待ち受けるのは硬軟自在の武芸者・秋山兄弟、そして彦山一帯で猖獗を極める山賊ー。壮絶な命の遣り取りを経て、やがて弁之助は佐々木小次郎と運命の再会を果たす。比類なき傑作エンターテインメント大河待望の第三巻!
時は宝暦。花のお江戸の辻に立ち、頼まれたらいかなる妖怪・魔物・祟り神でも必ず祓うー辻風の六、通称拝み屋ろくヱもんはある日の夕暮れ、逢魔ヶ辻に見台を出した。夢が「ここに立て」と教えてくれたのだ。果たして現れたのは、いま話題の看板女形とひとりの少女。そして少女の背中にいたのは侍姿の猫神さま!?猫神さまの依頼を受けて、ろくヱもんはとんでもない妖怪と戦うことに!
「いつもと違う音なの」ジェットコースターおたくの桜田陽子はT遊園地の異変に気づいた。一方、イケメン泥棒の今野淳一はある女性からT遊園地の保安係、神中弥吉が持っているナイフを見付けるよう依頼される。ところが、彼女は遊園地で突然殺されてしまう。淳一の妻、美人刑事の真弓も現場へ。ナイフに隠された秘密とは?そして大勢の客を乗せた大人気ジェットコースターはどうなる!?
甲府藩主綱重の生母順性院に黒鍬衆が牙を剥いた。九死に一生を得たものの、用人山本兵庫は怒り心頭に発し、黒鍬衆を次々に暗殺。なぜ順性院は狙われたのか。事件を知った将軍家綱はお髷番深室賢治郎に全容解明を命じる。やがて将軍後継争いのあらたな火種を探知した賢治郎だが、覚えず巧妙な悪略に足をとられる。家綱に誓った絶対的忠義。身命を賭して二重三重に張り巡らされた罠に挑む!
思いを寄せる女性がトラックに撥ねられた。だが、不思議な力で前日の世界にもどった男は、事故現場へと走る(『片想いの結末』)。チャンスに弱い四番打者は、病気の子供との約束を守るため、もう一度打席に立つ(『四番打者は逆転ホームランを打ったか?』)。売れない漫才師は、余命三ヶ月の相方を連れて、敗者復活戦の舞台へと向かう(『最後の舞台』)。号泣必至の時間SFファンタジー!
1978年、十津川警部&亀井刑事の活躍を描き大ベストセラーとなった『寝台特急殺人事件』以来、ミステリー界を牽引してきた西村氏。しかし氏の膨大なミステリー作品群で活躍する刑事はじつに多彩だ。ベテラン、新人…警察機構の中で悪戦苦闘する警察官や刑事たちの姿を描いた警察小説傑作選!『若い愛の終り』は本書が初収録!
生灯は海で溺れていた人魚を助けてしまう。人魚のくせに泳げないミィは、さしあたって行くところもなく、ひとまず生灯の家のお風呂での居候生活がスタート。ある日二人が泳ぎの練習をしに川へ行くと、突然男が現れた。ヤツはなんと女性アレルギーの吸血鬼!その後も生灯の周囲に欠陥妖怪がわらわらと寄ってくる!彼らの目的って一体なんなの?ダメダメ妖怪たちの奇妙な生活ストーリー。
何もかもが嘘くさく、熱中できない。怠惰な日常を過ごしていた男子高校生、真山和志の前に現れた、IQ185以上の美少女カンナ。彼女に振り回されるようになった和志は駅で突然、見知らぬ女からスポーツバッグを押し付けられる。その中に入っていたのは武器と暗号通信機。スピーカーから流れてきた「これより、駆除に入る…」という不気味なメッセージから、ふたりの世界は一変する。
昭和38年、東京・日暮里。いつでも味噌汁の匂いが漂い、さまざまな工場からプレス機の音があふれるにぎやかな街。そんな日暮里に、シゲオが住むアパート“鈴木荘”があった。家族四人で住む二階の四畳半の部屋は、水道も台所もない。でも笑い声だけは、いつでもその部屋からあふれ出ていた。隣に越してきたおかまの夫婦、お父さんと行った寄席、初恋に友情、はじめて出演したテレビ、受験勉強…。いつしかシゲオの夢は“お笑い芸人”へ。
群馬県の水上、草津、伊香保の温泉地で、三人の若い女性がほぼ同時期に行方不明になる。一方、新宿中央公園では少年達によるホームレス殺人事件が発生。何の接点もなさそうなふたつの事件が複雑に絡みあっていく。上層部の反対を押し切って真相に迫る十津川を待ち受けるものは!?
元高校の物理教師という異色の経歴を持つ神村五郎。並外れた捜査能力から署ではナンバー2扱い。ついた呼び名が「第2捜査官」。ある日、勤務する蒲田中央署に新人刑事が赴任してきた。西尾美加ーなんと神村の元教え子だ。ドメスティック・バイオレンスに耐えきれず夫を刺した佐竹朋子が、取り調べを担当した神村の同僚・樽井とともに忽然と取調室から姿を消した。数日後、二人は死体で発見される。死因は青酸カリによる毒死。心中か?それともー。元教師とその教え子、異色の迷コンビが事件に挑む長篇警察小説。
伊豆に湯治に出かけて二月、おたね婆さんが戻ってこない。おたねはひぐらし店で独り暮らしの身。元は辰巳芸者で、材木商の後添えとなったが、前妻の子が主となってからはひぐらし店に追いやられていた。湯治はその義理の息子がお膳立てしたもの。長逗留しても不思議はないが、おたねを家族同然に思う近所の者が大番頭に尋ねると、思いも寄らぬ答えが。おたねを慕う者が急ぎ集まった。
「そうだよ、あっしが喋ってるんですぜ」。目の前の犬に言われて白九郎は驚いた。傍目にはどこにでもいる雑種なのに、白九郎にだけは鳴き声が言葉となって伝わってくる!しかも、自分の名前まで知っていた。仔細を聞くうちに、牙黒と名付けた黒い歯の犬こそ天の賜物と思った白九郎は、賭場荒らしで食いつなぐ日々から一念発起。牙黒のため、体を張って非道の旗本をとっちめることに!
雨の露天風呂での情交。あれが、わが最後の華だったのか?地方都市で飲食店や娯楽施設を展開するグループ企業を一代で築いた樫村隆造は、近頃倦んだ日々を送っていた。相談役に退くとともに男の機能も不全になってきたのだ。しかし、一人の熟女が社を訪れたときから、隆造の身辺と下半身はざわめき始めた。彼女こそ社長時代の秘書、そして露天風呂の女であった…。回春エロス快作!
藤原清河の家に仕える高向斐麻呂は、唐に渡ったまま帰国できぬ父を心配する娘・広子のために唐に渡ると決め、大学寮に入学した。儒学の理念に基づき、国の行く末に希望を抱く若者たち。奴隷の赤土に懇願され、秘かに学問を教えながら友情を育む斐麻呂。そんな彼らの純粋な気持ちとは裏腹に、時代は大きく動き始める。デビュー作にして中山義秀文学賞を最年少受賞した傑作、待望の文庫化。
仏教推進派の阿倍上皇が大学寮出身者を排斥、儒教推進派である大炊王との対立が激化。斐麻呂が尊敬する先輩・桑原雄依は、寝返った高向比良麻呂を襲撃、斬刑に処せられた。雄依の親友で弓の名手・佐伯上信は、雄依の思いを胸に大炊王、恵美押勝らと戦いに臨む。「義」に殉じる大学寮の学生たち、不本意な別れを遂げた斐麻呂と赤土。彼らの思いは何処へ向かう?中山義秀文学賞受賞作。