2013年10月10日発売
史上、これほど愛された女性がいたろうかー時の最高権力者・白河法皇と、その養女にして最愛の恋人・待賢門院璋子。法皇63歳、璋子15歳。およそ50歳も離れた二人の愛は、平安という貴族社会を炎上させるほど、激しく純なものだった。文藝春秋読者賞を受賞した、渡辺文学の集大成!巻末には麻木久仁子氏との対談を収録。
後世に名高い「出師の表」を書き、孔明は魏を征伐すべく軍を発する。しかし先鋒を任せた馬謖は兵法には精通しているが実戦経験に乏しく、惨敗を喫す。未だ成熟をみない国の法を重んじ、涙を流しながら馬謖を誅す孔明。一方、尊号を王から皇帝に改めた孫権は、早期の天下平定を目指し遼東の公孫淵と手を結ぼうと使者を送るが…。
おきんとお六、女ざかりの妾二人に挟まれて旅する江戸最強の色男・西門屋慶左衛門。伊勢参りのご利益か、萎れていた男の武器も復活し、京都で大坂で金毘羅で、西国の美女たちを相手に最高の快楽を求めるが…色と欲にまみれた男女が豪華に繰り広げる痛快エロティック時代小説、ノンストップの第三弾!
食道がんの手術のために入院した51歳の多花子。それは、半身不随の母をひとりで介護する暮らしの中で得たつかのまの休息だったが、隣の病室に昔の男がいることに気づいて…いくつもの人間模様を見届け、後半生をあるがままに受けとめ生きる女性の覚悟としなやかさ。不思議な迫力に満ちた傑作短編集。
1993年、あと一歩のところで連続幼児殺人犯を取り逃がした不破と田村の同期コンビ。17年後、不破を訪ねてきた田村は、その夜に変死を遂げた。定年後も事件の捜査を続けていた田村の執念、そして刑事訴訟法改正の狭間で“公訴時効”の名の元に忘れ去られた被害者たちの無念を胸に、不破は真犯人に迫る!
訴訟でやってくる者たちが泊まる“公事宿”のひしめく日本橋馬喰町。お裁きがまさに始まろうとしたお白洲で、獣に食いつかれたような傷を残して公事師が突然死んだ。“マミ”が出たという騒ぎ、卵を産んだ女房、三日月井戸…馬喰町七不思議のなかに隠された巨大な悪事に根岸肥前守が挑む、大人気殺人事件シリーズ第16弾!
貧しい人を放っておけないとガラクタさえも預かる質屋を営む長屋の大家夫婦。店子を支え、長屋の暮しを守ってきたが、突如、悪徳高利貸しに立ち退きを迫られー「弱い者いじめはいい加減にしたほうがいいぞ!」強い信念と熱き心で立ち向う若き町年寄の三四郎が、影の情報集団・百眼と江戸の事件を未然に防ぐ。人気シリーズ第11弾。
世間には知られていない、一風変わったふしぎな職業についた人々に光を当て、その仕事の詳細を聞いた「架空」のインタビュー集。ひょっとしたら世界のどこかにあるかもしれない…、知られざる「わたくし」たちの物語。クラフト・エヴィング商會と、写真家・坂本真典氏が紡ぎだす「ひと」と「仕事」にまつわる19人の肖像。
公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。こっこの日常は、不満と問題と驚きと発見に満ちている。世間の価値観に立ち止まり、悩み考え成長する姿を、活きのいい言葉でユーモラスに温かく描く。光溢れる感動傑作。
本所の貸本屋・辰巳屋文三が辻斬りに襲われたところを、新内流しの門付け芸人であるおれんに助けられた。おれんは義父の刀匠・呉羽暁斎の遺言で、彼が呪いを込めて打ってしまった邪剣四振の行方を追っているという。おれんは文三の助けで邪剣を探し当て、邪剣に魅せられた者たちと死闘を繰り広げていく。話題の清張賞受賞作家、幻のデビュー作。
警視庁捜査一課OBの岡田利夫と、特急『きのさき5号』で名刺交換した宝石外商員の北野敬が、城崎温泉で殺害された。一年前には、鳥取県の三朝温泉と島根県の玉造温泉で愛人のために北野から宝石を買おうとした地元の名士が不審死している。岡田とともに事件を追う十津川の前に立ちはだかる巨悪とは!?
世界初?たまごかけご飯専門店にようこそ!「限界集落」に暮らす村人たちを、俺が元気にしてやんべ!養鶏農家でお人好しの二郎は「たまごかけご飯専門店」を開くと決意した。しかも、限界集落からさらに山奥に入った森のなかで。このあまりにも素っ頓狂な計画に、村人たちは大反対するが…。小さな山村に暮らす愉快な面々が繰り広げる、笑って泣ける物語。
天下の声望を集める徳川家康に対し、反旗を画策中と噂される石田三成。風雲急を告げる世情のなか、弁之助は豪族・上の東江家の当主にして、手裏剣術の達人である然茂ノ介とともに武者修行に出る。ふたりを待ち受けるのは硬軟自在の武芸者・秋山兄弟、そして彦山一帯で猖獗を極める山賊ー。壮絶な命の遣り取りを経て、やがて弁之助は佐々木小次郎と運命の再会を果たす。比類なき傑作エンターテインメント大河待望の第三巻!
日常のなにげないひとこと。その言葉をふと拾ってみれば、酩酊をさそう25の物語がゆらりとあらわれる。不気味な話、怖い話、しみじみする話、苦笑いする話、不思議な話、にやりとする話、呆然とする話、あざやかな話、びっくりする話、泣ける話、笑うしかない話、感動する話…。百花繚乱!長野まゆみワールド。
サンフアン島の美しい海沿いの街フライデー・ハーバーで、マギーは小さなトイショップを開いている。ある日、マークが姪のホリーを連れて店を訪れた。母を亡くした姪を励まそうと一生懸命で誠実な彼の眼差しに、思いがけず目が離せなくなったマギー。この日の出逢いから、3人は家族のような温かい関係を深めていった。悲しみに覆われて頑なだったホリーの心は、そっと寄り添うマギーの愛情で次第に明るさを取り戻していく。マギーもマークの魅力的な人柄や情熱に触れ、会うたびに惹かれていくが、しかし彼には美しい恋人がいたー2年前に夫を亡くして以来、誰かを愛することに臆病になっているマギーは、自分の気持ちにどうしても素直になれないまま、やがて街にはクリスマスが訪れて…。
アンティーク雑貨の蒐集に夢中になるあまり、かわいい息子が楽しみにしていた学校行事を台無しにしてしまったジェーン。心を入れ替えて母親業に専念しようとした矢先、オー刑事から緊急の連絡が入った。妻クレアが逮捕されてしまったので、捜査に協力してほしいというのだ。クレアといえば、プロのアンティーク・ディーラー。そんな彼女が古い屋敷で見つけた、この世に二つしかないと言われる幻の「ひまわり箪笥」を、同業者の男が「偽物」と糾弾したのち刺殺されたため、真っ先にクレアが疑われたらしい。ジェーンは拾い屋に母親に探偵ー三役も無事にこなせるのか不安に思いながらも、事件の手がかりを追ううちに、奥深くて奇妙なアンティーク業界の裏側に迷いこんでしまい…!?