出版社 : 徳間書店
笑うなら笑ってください。三十代も後半で、なんの取り柄もない私に突然舞い降りた幸運な出会い。著名なCMディレクターから、映画の脚本を書いてくれないかと言われた。ルックスが良くて情熱的な彼の依頼に有頂天になる私。あっという間に恋に落ち彼と同棲を始めるが、それは地獄への入り口だった。彼は、薬物依存症でDVだった。クスリに溺れた男に暴力をふるわれながら、次第に常軌を逸していく私。そんなとき、別の女が現れ濃密な彼との恋愛にヒビが入り始めて…。人には見せられない感情を、隠すことなく正面から紡ぎだす。長篇書下し。
それは、瑠璃子先生の真っ白な脚線を見た瞬間から始まった。中学二年・日高優作、やんちゃな下半身をもてあます思春期。おっかない体育の女先生にのぼせ上がった優作は、とつぜん体操部に入部する。熱病が本物の恋へと姿を変えたとき、お気楽だった毎日は重苦しい日々へと暗転、そして事件が-。
老中・田沼意次にも遠慮せず物言う、大目付・大河内政盛。しかし最近は寄る年波か、物忘れがひどくて、隠居を勧める声も…。そんな折り、松前藩で蝦夷奉行が“毒蜘蛛党”を名乗る輩に殺される事件が起きた。政盛は息子の右京に探索を命じる。北方の地で、頑固親父とひょうたん息子、彼らが思いを寄せる綾音は、事件の意外な真相に…。
新吉原の華やかな表通りに隠れた場所に、ひぐらし店と呼ばれる裏店がありましてねえ。場所が場所でございますから、堅気の仕事をしている者はほんのひと握り。後は大道芸や芝居小屋の中売り。噺家とも呼べないろくでもない奴に、仕事師とくる。おんや、そんなひぐらし店に似つかわしくない、滅法界、品をした女ごがやって来ましたよ…。
足抜きしようと夜道を必死に走る若い男と女。が、無情にも追っ手に捕まり、殺された。しかも、相対死に見せかけられて…。明くる朝、車坂町の稲荷に向かった銀次が目にしたのは、下駄屋の智助と八百屋のおしま、ふたりの死骸だった。料理茶屋信津屋の若い衆によれば、おしまは女中として働いていたが、昨日の晩から姿を消したという…。
元武士らしき老人絵師は、不忠の臣と呼ばれた男の末裔なのか?島送りにされたことを逆恨みする暗黒街の顔役が巡らす罠とは?裕福な家が抱える事情につけ込み、騙りを働く男女を捕らえた奴らの目的とは?過激な捜査ゆえに左遷されたが、老中に見込まれ、北町奉行所の隠密廻りを拝命することになった鏑木十左。その廻りで様々な事件が…。
嘉三郎の仕組んだ罠にはまり、御牧父子と昵懇の藤蔵が入牢した。そして、お春は行方知れずに…。一刻も早く嘉三郎を捕縛すべく、丈右衛門は毒に使われた阿蘭陀渡りの薬肝神丸から、文之介は毒を盛られた味噌から事件の筋の絞り込みに精を出す。次々に汚い手を操り出す嘉三郎を、御牧父子は追い詰めることができるのか?怒りの一閃が疾る。
長い髪の女を殺せ。新宿、仙台、福岡、米沢…各地で同時多発する通り魔殺人。連鎖する殺意の背後に潜むものは?元FBI捜査官エミコ・クルーニルが事件のプロファイリングに挑む。
御座船安宅丸の水軍演武中に、大挙襲来した刺客から命を狙われた四代将軍家綱は、間一髪のところを緋之介に救われた。恨み骨髄に徹した堀田正俊は、大奥別式女衆の武芸達者に緋之介闇討ちの命を下す。一方、吉原を我が手中にせんとする大津屋しまは…。家康が忌み嫌ったと言われる妖刀村正に秘められた、幕府崩壊に繋がる謎とは一体なにかー。
「その刀を得し者、武林の覇者になる」と謳われた運命の宝刀・屠龍刀の行方をめぐり、ついに武林の英雄が一堂に会した少林寺の英雄大会。熾烈な争奪戦の末、刀を勝ち取ったのは誰か。そして、張無忌の決断とは?正と邪の区分とは何かーをテーマに、生まれながらに過酷な運命を背負った少年の成長を描いたスペクタクル・ロマン、堂々の完結。
ドレミ…の音が聞こえない?巨乳で童顔、憧れの先輩であるエリちゃんの前でクラリネットが壊れた直後から、僕の耳はおかしくなった。しかも怪事件に巻き込まれ…。僕とエリちゃんの恋、そして事件の行方は?『イニシエーション・ラブ』『リピート』で大ブレイクの著者が贈る、待望の書下し作が登場。
男ふたりに痛めつけられていた母子を助けた与三郎。母子は、与三郎が岡っ引き銀次の手先となる前に住んでいた町で瀬戸物問屋を開いていた御内儀と娘だった。その二日後、明神下の空き地で、刺し殺された店者が見つかった。どうやら下駄屋の主人らしい。銀次とともに探索にあたった与三郎は、殺しと母子には、何らかのかかわりがあると睨む。
意外な所から「九陽真経」を手に入れた張無忌は、教典に従い修練を積み、たくましい青年へと成長、運命の糸に導かれるようにして、明教の総本山・光明頂にたどり着く。折りしも光明頂では、六大正派同盟軍対明教の、死命を賭した大決戦が行われようとしていた。父の属した正派につくか、母を育み祖父を擁する明教につくべきか、張無忌の心は揺れる。
石渡宗介、45歳。妻・由美子と小学生の一人娘・佳奈との三人暮らし。平凡ながら幸せだった家庭は一夜で崩壊した。留守番中の佳奈が行方不明になったのだ。4日後、娘は無残な死体で見つかった。全身に無数の噛み傷が残る異常な殺害状況だった…。平凡なサラリーマンが遭遇する悲劇。凄絶な復讐ロードノベル。
患者・秋山和雄を診察したのは7月の終わりだった。CTスキャンの結果、脳底部に腫瘍影が認められた。脳外科医の俺は秋山を自分の大学病院に入院させた。それが事件の発端だった。手術の前日、執刀医が俺であることを確認した秋山は突然言った。「眼鏡を、かけられたほうがいいかと、思うのです」…何を言っているのかわからないままに、手術当日になった。頭部切開の最中、ふとしたはずみで秋山の髄液が目に飛び込んできた。俺の脳裏におかしな映像が映るようになったのはそれからだった。脳外科医の身に何が起きたのか?衝撃の問題作。
一九三六年、ベルリン。留学中の十六歳の日本人少年、伊集院操青は、ある「事故」をきっかけに、叔父継央の歪んだ欲望の魔手に堕ちた。娼館に身を落とされ、その若く美しい肉体に、あらゆる性技を調教されることとなる。一方、二・二六事件が「成功」した日本では、内閣参議となった北一輝が、元衆議院議員の黒澄幻洋に、独ソ関係の調査という極秘任務を与えた。外務省勤務時代に諜報員として数々の業績をあげた黒澄は、ベルリンに赴く。そして、ゲシュタポ長官ミューラーの計らいで、操青と出会うこととなった…。大戦前夜。軋み続ける列強の関係。ナチス内部の権力闘争。日本政府を掌握した皇道派と北一輝の思惑。暗躍するイギリス、ソ連、ユダヤ組織の特務たち。時代の波に翻弄され続ける操青の運命は…。