出版社 : 徳間書店
棄捐令を批判した廉で捕らえた御家人牛尾秀馬の身辺を探れと、田沼に命じられた大目付の大河内政盛。島送りは解せぬと調べ直しを父に迫る、牛尾と肝胆相照らす仲の右京。カミナリ親父とひょうたん息子が、闇に蠢く大悪を一刀両断する。
京都。修学旅行でグループ行動をしている、東京から来た七名の中学三年生。知恩院に向かうバスで、その中の一人の女生徒、小野寺冬葉が失踪し、消息を絶ったー。二十年後。三十五歳となり、それぞれの毎日を懸命に生きるグループのメンバーに、過去の亡霊が甦る。「わたしを憶えていますか?」突然、送られてきた冬葉からのメール。運命に導かれて再会した同級生たち。彼らに次々と降りかかる不可解な事件。冬葉は生きているのか?そして、彼女の送るメッセージの意味とは…?「今」を生きるすべての人に贈る、渾身のサスペンスミステリー。
舞台は清朝、名君の誉れ高い乾隆帝治世の御代。女盗賊の小燕子は、ひょんなことから皇帝の落胤と取り違えられ、宮中に迎えられることに…。快活でお転婆でバイタリティにあふれた下町の女の子がすんなりとお姫様に収まれるはずもなく、宮中で巻き起こす騒動の数々はまさに抱腹絶倒!恋あり友情あり大立ち回りありの痛快冒険活劇。
おさな子のやわらかい肌。いたぶる自分、止められない!女子高生と刑事。夜の闇の中、底なしの慾望と孤独に苛まれる男と女。罪悪感は加虐心を加速させる。幼児虐待に潜む暗い罠。現実世界と切り結ぶ最新長編。
太平洋戦争末期、沖縄は米軍の激しい空襲に曝されていた。本土疎開ももはや手遅れ。庶民の逃げる先はいまやヤンバル(本島北部)を覆う密林地帯しかなかった。沖縄刑務所もついに解散となり、収監されていた北城尚純もヤンバルに向かう。途中、老人の遺体にすがる少女に遭遇した。被弾した老人は酒蔵の主で、二百五十年の歴史をもつ古酒の甕を抱えていた。少女は父親が命と引き替えに守った古酒とともに逃げる決意を固める。囚人と少女の凄絶な脱出行が始まった。
金国が起死回生を賭けて狙う伝説の書。南宋の悲運の名将・岳飛がそこに記したものとは何か?また重い内傷を負った黄蓉の命を救うべく、郭靖は桃源郷に隠棲する雲南大理国の皇帝のもとへ赴くが、そこで意外な事実が!?物語はいよいよ佳境へ。
苦手なお克とついに食事をすることになってしまった文之介。頭が痛いとはいえ、瀬戸物屋に這入った盗っ人も捕えなくてはならないし、子供の掏摸も探さなくてはいけないしで…。八方ふさがりの文之介は、一体どんな智恵をしぼるのか。
数年前に巷を騒がせた盗人、土蜘蛛一味が再び姿を現したという噂を銀次が耳にして間もなく、米問屋が押し込みに遭った。奉公人を殺害した畜生働きなのだが、義賊と呼ばれた土蜘蛛一味と盗みの手口が同じなのが銀次は気にかかり…。
複合型超高級マンション・ソナーレを巡る構図。新入居者は貧乏地元住民など一顧だにしないスノッブなハイソ&セレブ。そのハイソを警護する貧乏アルバイト警備員。マンション専用バスの小心な運転手。破滅的家庭環境からギャング化する中学生。宅配ピザのアルバイトで糧を得るカメラマン志望の若者。誰にも邪魔されずひっそりと暮らすことだけが願いの近隣ホームレス。そのホームレスを喰いものにして保険料を掠めとる暴力団。スラム化する街をテーマにミュージッククリップを制作する教祖的ミュージシャンとデザイナー。彼らの私利私欲が恐るべき大暴動へと繋がってゆく…。
譜代大名の堀田正信が水戸藩屋敷に現れた。幕政批判の上申書を提出、無断で出家した正信は徳川光圀へ別れを告げに来たという。幕閣に不穏な動きを感じた光圀は政情安定を願い、将軍家剣術指南役小野次郎右衛門の息子緋之介を捜せと命じるが。
新生児に先天的な脳障害を引き起こす「ゲノム・ウイルス」。この新種ウイルスによって甚大な被害を被ったアメリカ合衆国では、自然出産を禁止し、体外受精や胎児のDNAスクリーニングが義務化されようとしていた。そんな中、遺伝子関連問題を専門に扱う弁護士ルドルフ・カイヨワは、ある病院の不正卵採取疑惑を調査するうちに、大きな陰謀に突き当たることとなった。彼は友人の私立探偵オタや、依頼人の美女ローラらとともに謎に迫るが、やがて自らの出生にまつわる秘密にもかかわることとなっていく…。選考委員各氏から、群を抜くリーダビリティーと、エンターテインメントとしての完成度を高く評価された、近未来ハードボイルドの傑作。03年、第5回日本SF新人賞の佳作に入選。
青山キラー通り沿い。高度経済成長期に建てられた原宿団地。おしゃれな都心にありながら時代からとり残されたような不思議な空間を醸し出す。住人たちも変わり者ばかり。翻訳家、劇団員、スイス人マッサージ師、元取締役、広告デザイナー…そして団地の主のような老人・小曽根さん。不安や焦りを抱え生きる彼らの、おかしくて泣けて、ちょっぴり勇気をもらえる物語。