出版社 : 徳間書店
なぜここに、ビールのロング缶とビアマグが置いてあるんだ。世話になった先輩の絞殺死体を前にして、塙反は頭をひねる。先輩はたしか下戸だったはずなのにー。ミステリー界の奇才が贈る、予測不能の衝撃展開!!
就職活動に失敗し心がぽっきり折れた小夜子は、ふらりと通夜に立ち寄る。会場には香の匂いとお経、木魚のリズム、そしてすすり泣く声が。そこには奇妙な老婆がいた。通夜を渡り歩き遺族を慰める「通夜女」だと彼女は名乗る。さまざまな葬儀を通夜女と訪れるうちに、小夜子の心に変化が訪れる。葬儀場で人生が変わる!
小森甚治は流行作家・野山遊介の秘書だ。野山が書き散らした原稿を整えたり、作品に必要な取材をして資料を準備したりするのが仕事である。ある日、野山は偶然新宿で知り合ったホームレスの男から興味深い話を聞き、作品にしたい欲求にかられる。小森はその男からさらに話を聞くことを依頼されるが男は失踪し、やがて高山市の宮川で死体で発見された!?調査を進めるうちに、男が経営していた札幌のクラブのホステスで、高山出身の女がいることが判明する。飛騨高山で交差する連続殺人事件の真相は?書下し長篇。
人の心の闇に憑き歴史の暗部に蠢く“妖の者”と、“神”の識格をもってそれを退治する“空の者”。生身の人間では見届けられぬ、太古より続く両者の戦いに、終止符が打たれる時が近づく。鏡の世界からひきもどされるも、三週間にわたって眠り続ける里見十九郎を巡るそれぞれの想いが交差する「緋色の糸の研究」、路地裏の隠れ家レストラン“シェヘラザード”を舞台とする不可思議な“契約”にまつわる物語「千夜一夜の魔術師」の中篇二篇を収録。大河シリーズ、完結へのカウントダウン、いよいよ佳境に!
禁裏付役屋敷に押し込み捕縛された南條蔵人は、身柄を京都所司代に移された。二条大納言に動揺が走る。彼を裏で操っていたことが露見すると禁裏での立場が危うくなるからだ。家宰に蔵人奪還を命じるが、朝廷の弱みを握りたい老中松平越中守は動きを察知し、対抗策をとるー。朝幕の政争が激化しきな臭さは増すばかり。そんな中、禁裏付の東城鷹矢は驚きの一手を打った。その真意とは!?
阿倍女帝こと孝謙天皇に寵愛され、太政大臣禅師や法王などの高職に就いていた頃の面影は、もはやない。女帝の死後すぐに下野国薬師寺別当に任ぜられた道鏡は、空ばかり見て過ごしていた。そこに行信と名乗る老僧が近づき「憎い相手はおらぬかー」と囁く。そう問いかけられたとき、道鏡の心に浮かんだ顔は…。奈良時代、治世の安寧を願った人々の生き様を描いた珠玉の短篇集。
浅草東署に配属された新海悟。小規模署ながら、やり手が集うと言われる署だったが、出会う人々は一癖も二癖もある難物ばかり。ある日、竹馬の友であり、テキ屋の瀬川藤太から人を捜してくれないかとの連絡がきた。新海は浅草東署のメンバーと、同じく旧友であり政治家秘書官でもある坂崎和馬に協力を求めるが…。三人の友が集うとき、悪に正義の鉄槌が下される!
勘定奉行から密命を受け、武州へ旅立った笠井半蔵。甲州街道を荒らし回る悪党どもを人知れず成敗するための旅である。道中、甲府方面で暴れていた無頼一味が笹子峠に逃げ込んできたのを知った半蔵はこれを迎え撃つ。しかし思わぬ反撃を受け窮地に立たされることに。一方、江戸に残してきた愛妻・佐和にも邪悪な影が忍び寄っていたー!時代剣戟の好評シリーズ第四弾。
身寄りなし。写真付きIDなし。金なし。そんな優良人物をSNSを駆使して探し出すのがマモルの仕事だ。狙うは戸籍。女性を装い言葉巧みに相手の個人情報を引き出して、売買が成立すれば報酬をもらえる。ある日、マモルは上司から不可解な指示を受ける。タクヤと距離を置け。自分にこの仕事を紹介してくれた先輩に、なにが起きたのか。翌日、タクヤの部屋の掃除を命じられたマモルが見たのは、おびただしい数の血痕だった。もう、タクヤはこの世にいない。悲しみにくれるマモルに一通のメールが届いた。それは、タクヤからのメッセージだったー。罪を犯してでも生まれ変わりたいー戸籍ビジネスの末端で蠢く半グレたちを描いた新時代のクライム群像劇!第2回大藪春彦新人賞受賞作。
アリスターと幼馴染の少女マガリは楽な生活を送る野望を持ちつつ、寒村で足を引っ張り合いながら日々を過ごしていた。「何とか上手く始末できないか…」互いに悩んでいた二人であったが、突然の王都からの来客により状況は一変する。マガリが聖女に選ばれたのだ!?その上、聖女に相応しくなければ即座に処刑されてしまうらしい。なんとか逃げ出す彼女をとっ捕まえて王都へ売り払う事には成功したのだが、何故か今度は自身がモンスターに襲われてしまう。しかも、逃げ込んだ森で出会った一振りの光り輝く剣により彼の運命も大きく揺れ動かされる。人生最大の不幸の訪れとも知らず…。真の聖剣物語が開幕!書下ろしストーリーも収録!!
今年に入って江戸の町は続けて火災に見舞われていた。相次ぐ災厄に江戸の町人の不安が高まっていたところ新たな火の手が上がる。後に振り袖火事と呼ばれるこの大火災で、町は灰燼に帰し、江戸城は天守閣まで焼け落ちる。火炎地獄を彷徨う水戸光圀一行は、火元がさる幕閣の屋敷であることを突き止める。そして怪しげな騎乗の侍たちによる付け火の疑惑が…。黒い陰謀に若き黄門様が迫る!
修学旅行中の高校生、結木寿子がスカウトマンの目に留まり上京。アイドルの階段を駆け上がる。一方アイドルを目指していた同級生の上田ルミは自分がスカウトされるか不安を抱えていた所、思わぬ縁で現役大臣と知り合い芸能人への道が開ける。だが強盗殺人犯の出現が二人の将来を揺るがし事態は思わぬ方向に。泥棒の今野淳一と妻で刑事の真弓は大人の卑劣な思惑から少女たちを守れるか?
定年を迎えてもまだまだやれる。安治川信繁は大阪府警の雇用延長警察官として勤務を続けることとなった。給料激減身分曖昧、昇級降級無関係。なれど上司の意向に逆らっても、処分や意趣返しの異動などもほぼない。思い切って働ける、そう意気込んで配属された先は、生活安全部消息対応室。ざっくり言えば、行方不明人捜査官。それがいきなり難事件。培った人脈と勘で謎に斬りこむが…。
お姉ちゃんが死んだ。首をつって。あたしと二人で暮らしていたマンションの自分の部屋で。姉の明香里は三つ違いで、きれいで、成績も良く、両親にとって自慢の娘だった。社会人二年目で、仕事も順調そうだったのに何故?姉の携帯に残されていた四人の男のアドレスとメッセージ。妹の穂乃花は、姉のことを知るために彼らに会いに行く。待ち受ける衝撃のラストに、あなたは愕然とする!
天を衝く巨大な樹々、大地を埋め尽くす深い緑をわずかに切り開き、人間たちは細々と生きてきた。森林保護者は、その樹海の住人というべき害獣・害虫の異常繁殖、疫病の蔓延、食糧不足、あらゆる脅威から文明社会を護る職業だ。その一人、フェイはある目的のため、危険と隣り合わせの旅を続けている。ある日、息子を正体不明の獣に殺された地主が、そいつを捕らえるように依頼してきた。
見合いで結婚した夫には好きな人がいた。十年も前から、今も続いている。その事実を知っても、平凡な主婦の華美には、別れて自力で生きていくことが出来ない。そんな彼女の癒やしは、絵を描くことだけだった。ある日、自分のデジカメに撮った覚えのない少年と、彼が書いたと思われる詩が写っているのを見つける。その少年にひかれ、恋をした時、運命は、とんでもない方向へ動き始めた…。