出版社 : 思潮社
ブルトンの手法を完璧に凝縮した最高傑作。『ナジャ』『通底器』に比肩される『狂気の愛』は、その難解さのゆえに、本邦初訳を本書の出現まで待たねばならなかった。フーコーの「狂気の理性」に通底する問題作。新装登場。
アメリカでの不毛な生活を脱し、タンジールへやって来たダイアーと、モロッコ人タミ、レズビアンのユーニスらはいかなる運命に翻弄されたか。人間存在の言い知れぬ不安と恐怖、闇の中を手探りで進むように一寸先に待ちうけるどんでん返し、読む度ごとに発見がある伏線につぐ伏線。メイラー、カポーティと並ぶ第二次大戦後を代表する作家であり、スタイン、オーデンらと邂逅し、テネシー・ウィリアムズ、カポーティ、ブライオン・ガイシン、バロウズ、ケルアック、ティモシー・リアリーらから敬愛され、ジェインの夫であった、あのポール・ボウルズの傑作長篇。
ビートニクのヒーロー、ケルアックの言葉の魔術と、黄金の永遠と無為を求める詩的高揚感。ケルアックの最高の要素が結実した傑作。待望の刊行。カナダ国境山上での孤独と瞑想の日々。そしてサンフランシスコでの乱痴気騒ぎ。ケルアックが無作為の文体で描く…。宇宙的ヴィジョンと’50年代ビート・ジェネレーションの至福の世界。
アレン・ギンズバーグ、ニール・キャサディー、グレゴリー・コーソ…。ビートニクたちとサンフランシスコからニューヨークまで車で大陸横断、モロッコのバロウズをモデルとした人物を訪ね、メキシコへとおもむく、世界を縦横に巡りながら、狂乱の中でクールな熱情をもって描く青春群像。
略奪国家アメリカへの反逆精神、銃撃戦、突然変異体との闘いなど、バロウズ世界のエッセンスに満ち満ちた短篇集。’89年作品。待ちに待たれたバロウズの最新作品集。ファンタスティック小説シリーズ第2弾。
主人「どうだ、私の裁きは公正であろう?」女中「アァ、ゴショーデス!御主人さま!」ポストモダンの代表作家クーヴァーのキワドク大胆なケッ作。どちらがSでどちらがMかわからない、螺旋状に昇りつめるエンドレス・プレイ。
永遠の生命を求めて作家W・S・ホールらは古代エジプト神話的西方浄土へと旅する。彼らは神の操る根本倫理を超越し、迷宮宇宙をくぐりぬけなければならない。バロウズ74歳(’87年)の圧倒的傑作最新長篇。
バロウズの新たな魅力を爆発させた’80年代3部作から新登場。本邦初公開。アメリカ西部のガンファイター、キム・カーソンズによる時空を超えた権力の悪との闘いと殺しの美学。「銃による決闘は禅の道のような魂と魂の闘いである」と語るバロウズのライフワークともいえるウエスタン小説。
1926年アラゴン29歳の作品。シュルレアリスト時代最後の小説で、頂点を示すと同時に次の段階への道程を暗示している。青年の幻想を夢を、現実生活を通して描く詩的作品。20年代のパリを描く、実験的な都市小説。
〈愛〉がひきおこす困難と栄光。ロンドンとパリで開催された2つの国際シュルレアリスム展にはさまれた1937年に刊行された『狂気の愛』は、ブルトンがもっとも精力的な仕事を展開していた時期に当る。〈狂気の愛〉というテーマはフーコーの〈狂気の理性〉と通底する。絶対的な愛が現実に打ち克つ愛の栄光を止揚する。