出版社 : 文藝春秋
このことは誰も知らないー四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動。特別エッセイ「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」も巻末収録。
観音さまが見下ろす街で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づく。オール讀物推理小説新人賞受賞のデビュー作を含む「日常の謎」を解く連作短編集。
天狗の千里眼がえぐりだす現代人の業と病理!平田篤胤のもとに再び現れた“天狗小僧”こと嘉津間。時空を超えて旅をする嘉津間が見た魔境とは、現在の私たちの世界!?愛と僧しみ、希望と妄執が渦巻く魔境へ、やがて篤胤も旅立っていく。
台湾政府高官が死ぬ間際に贈ってきた一冊の本。そこには、覇権国家・中国が企む、台湾武力介入計画を示す暗号が隠されていた。元自衛隊員にして、台湾で秘密工作員として活動している東大介はその暗号を読み解き、パートナーのアメリカ人工作員とともに中国の野望を打ち砕く活動を始めた。壮大なスケールで描く迫真の台湾侵攻劇。
選手、球団、マスコミ…。すべてを操る全能の代理人、善場圭一登場。金の亡者と忌み嫌われ「ゼニバ」と蔑まれる代理人、善場。だが選手の盾となって悪役に徹する姿勢で絶大な信頼を集めている。古い慣習に縛られた球界に新風を吹き込む彼は改革者か破壊者なのか。
第二次大戦中、杜絶した日独両国の連絡路を求め数回にわたって大西洋に潜入した日本潜水艦の苦闘を描く。 文藝春秋読者賞を受賞 太平洋戦争が勃発して間もない昭和17年4月22日未明、一隻の大型潜水艦がひそかにマレー半島のペナンを出港した。3万キロも彼方のドイツをめざして……。 大戦中、杜絶した日独両国を結ぶ連絡路を求めて、連合国の封鎖下にあった大西洋に、数次にわたって潜入した日本潜水艦の決死の苦闘を描いた力作長篇! 【解説・半藤一利】
大学3年生の水越千晴は学内の仲間と「シューカツプロジェクトチーム」を結成。目標は最難関マスコミ全員合格!クールなリーダー、美貌の準ミスキャンパス、理論派メガネ男子、体育会柔道部、テニスサークル副部長、ぽっちゃり型の女性誌編集志望と個性豊かなメンバーの、闘いと挫折と恋の行方。直球の青春小説。
大正四年、鬼龍院政五郎は故郷・土佐高知の町に男稼業の看板を掲げ、相撲や飛行機の興行をうったり労働争議に介入したりの華やかな活躍を見せる。鬼政をとりまく「男」を売る社会のしがらみ、そして娘花子・養女松恵を中心とした女たちの愛憎入り乱れた人生模様を、女流作家独自の艶冶の筆にのせた傑作長篇。
晴れて番方若同心となった不破龍之進は、伊三次や朋輩達とともに江戸の町を奔走する。市中を騒がす奇矯な侍集団、不正を噂される隠密同心、失踪した大名家の姫君等々、自らの正義に殉じた人々の残像が、ひとつまたひとつと、龍之進の胸に刻まれてゆく。一方、お文はお座敷帰りに奇妙な辻占いと出会うが…。
妹・鐘の誕生、そして父の文学賞受賞と、賑やかになった山野内家。荒野も、受賞パーティーや友人とクラブに出かけ、新たな世界を知る。だが、秋のある日、義母・蓉子が、妹を連れて家出してしまう。そして、荒野は守られていた子供の自分から決別することを心に誓うー。少女の成長物語『荒野』、いよいよ最終巻。
神保町で、強盗放火殺人事件が発生。容疑者にスポーツ用品店店長の渋谷が浮上する。だが、任意捜査の最中に渋谷は自殺。翌日には真犯人を名乗る女性弁護士・篠崎優が出頭する。混乱する特捜本部に、かつての上司・福原の命令で、育児のため一線から外れた刑事総務課の大友鉄が加わるが…。「アナザーフェイス」シリーズ第二弾。
わがままで強面だが人望厚い営業チーフ、いつも作業着姿の昭和風二枚目施工監理部員、掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。彼ら“魔のトライアングル”三人組と内装会社の同僚達が、莫迦で無茶で情熱一杯に働く姿を描いた、胸を熱くさせる傑作ワーキングストーリー。文庫書き下ろし短篇「シューカツデイズ」を収録。
江戸幕府以来の特権町人「町年寄」樽屋の新当主は、二十三歳の熱血漢・三四郎。時の将軍・吉宗から「百眼をよろしく頼む」を謎の言葉をかけられたがー庶民の事情をすくい上げて事件の予兆を捉え智恵と人情で問題を解決する。時には権力に逆らいながらも江戸の町の安泰を図る三四郎の活躍を描く書き下ろし時代小説、第一弾。
女にもてない「私」がようやくめぐりあい、相思相愛になった女。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は緊張をはらんだものになっていく。金をめぐる女との掛け合いが絶妙な表題作に、女が溺愛するぬいぐるみが悲惨な結末をむかえる「焼却炉行き赤ん坊」を併録。新しい私小説の誕生。
ロンドンの街の底を歩み、法律事務所のために裏仕事を請け負う男エドワード・グラプソン。英才と謳われ、名門イートン校入学を果たした男が、なぜ暗闇の街路で刃を握り締めるに至ったのか。その数奇なる半生が、いま語られはじめる。第二十五代タンザー男爵ジュリアス・デュポート。エドワードの実の父親は、この男爵かもしれない。母の遺品からそのことを知ったエドワードは、己の素性を隠し、裏稼業で知った手管を駆使して、父子関係の証拠を探しはじめた。だがやがて、男爵の寵愛を受ける若き詩人フィーバス・ドーントが姿をあらわす。ドーントこそが、かつてエドワードをイートン校放校に陥れた仇敵であった…。