出版社 : 文藝春秋
なぜ信長の遺骸はいつまでたっても見つからないのか。光秀はなぜ戦勝祈願の連歌を詠んだのか。秀吉の「中国大返し」はなぜ可能だったのか。丹波を訪れた太田牛一は、謎の美女、多志に導かれ阿弥陀寺、本能寺、丹波を結ぶ“闇物語”のとば口へと足を踏み入れる。驚天動地の歴史ミステリーいよいよクライマックスへ。
都会から高知にやってきた大学生・篤史は、従兄弟から強引に本場・よさこい祭りに誘われる。衣装、振り付け、地方車、鳴子。六年ぶりに復活する町内会チームは、どこよりも熱い。南国高知、真夏の風は、空から海へと吹き抜ける。一途な思いを秘めて、踊る青春群像。
JALの女子バスケチーム、ラビッツは選手が客室乗務員なのだが、かつてはアテネ五輪代表選手も輩出した名門チームだった。二部リーグ落ちした選手たちに活を与えるべく監督が発掘した異色新人の正体とは。コートを舞台に繰り広げられるもう一つの「スチュワーデス物語」。五輪出場までの軌跡を描く「翔べ!ラビッツ2004」も収録。
喫茶店に掛けてあった絵を盗み出す予備校生たち、アルバイトで西瓜を売る高校生、蝶の標本をコレクションする散髪屋ー。若さ故の熱気と闇に突き動かされながら、生きることの理由を求め続ける青年たち。永遠に変らぬ青春の美しさ、悲しさ、残酷さを、みごとな物語と透徹したまなざしで描く傑作短篇集。
大阪のしがない短大助教授・桑潟のもとに、ある童話作家の遺稿が持ち込まれた。出版されるや瞬く間にベストセラーとなるが、関わった編集者たちは次々殺される。遺稿の謎を追う北川アキは「アトランチィスのコイン」と呼ばれる超物質の存在に行き着く…。ミステリをこよなく愛する芥川賞作家渾身の大作。
“景観荘”ホテルはコロラド山中にあり、美しいたたずまいをもつリゾート・ホテル。だが冬季には零下25度の酷寒と積雪に閉ざされ、外界から完全に隔離される。そのホテルに作家とその妻、5歳の息子が一冬の管理人として住み込んだ。S・キューブリックによる映画化作品でも有名な「幽霊屋敷」ものの金字塔が、いま幕を開ける。
すずめばちは何を予告する使者だったのか?鏡の中に青火で燃えるREDRUMの文字の意味は?絶え間なく襲い来る怪異の中で狂気の淵へ向かう父親と、もうひとつの世界へ行き来する少年。恐怖と憎しみが惨劇へとのぼりつめ、そのあとに訪れるものとはー。現代最高の物語作家、キングの精髄この一作にあり。
万延元年(1860)、江戸の天然理心流の道場・試衛館で日々近藤勇や土方歳三らとともに剣術修行に明け暮れる十七歳の沖田総司は、幕府の浪士組に参加し上洛する。新撰組隊士となった総司は、芹沢鴨暗殺、池田屋事件と幕末の京の街を疾走する。信じるもののために燃焼し尽くした総司の生涯を描く新撰組三部作完結篇。
リストラされた父親が失踪。14歳の次男は陸上部をやめ、17歳の長女は優等生をやめ、27歳の長男は家計のために肉体労働。42歳の母は昼から酒浸り。73歳の祖父はボケが進行…。残された5人、それぞれの思いと、次第に浮かび上がる須藤家の秘密。家族の崩壊と再生を明るく熱くポップに描いた最高傑作。
恋する気持ちは、咲いては散り、そして再び咲き誇る桜の花のよう。父親より年上の男性と結婚した17歳の少女、亡くなった妹との約束を果たすため幾度となく行きずりの関係に身を任せる女性、兄の妻に密かに想いを寄せる青年…さまざまな恋模様の中に、生きることの至福と切なさを描く6つの連作短編。
早苗は成績重視・結果主義の剣道強豪高へ、香織は個人主義から部に忠義を尽くし始める。ふたりの武士道の時代(研究中)が幕を開けたー。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、正面打ち二本目。
高校受験に失敗し引きこもりとなった友樹は、精神科医の東山と出会い立ち直ろうとしていたが、友人の起こした事件に巻き込まれ犯罪者の烙印を押されてしまう。一方、友樹を救えなかった東山も無力感に苛まれていた。新たなプロジェクトへの参加を決意した東山とパティシエ修業を始めた友樹。過去と決別すべく立ち上がった二人の運命は?衝撃の医療ミステリー。
高校の同級生だった女性から手紙が届き、四十年ぶりに再会して登った浅間山での一日。青春の輝きに満ちていた彼女だったが…。文芸時評で絶賛された表題作をはじめ、稜線を渡る風が身の内を吹きぬける、山歩き短篇集。