出版社 : 文藝春秋
駆け出し芸人・綾小路きみまろは、雇われ支配人の多田や用心棒ヤクザの高橋に励まされてステージに立つ毎日。酔っ払い相手の漫談から、いつか売れる日を夢見るが…。70年代に花開いたキャバレーを舞台に綴る、笑いと哀愁とノスタルジー溢れる長編小説。
「あなたは誰?」 息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。 ふたりには忘れることのできない“事件”があったーー。 現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。 『世界から猫が消えたなら』『億男』『四月になれば彼女は』の著者、待望の最新刊! 【内容紹介】 大晦日、実家に帰ると母がいなかった。 息子の泉は、夜の公園でブランコに乗った母・百合子を見つける。 それは母が息子を忘れていく日々の始まりだった。 認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母を介護しながら、泉は母との思い出を蘇らせていく。 ふたりで生きてきた親子には、どうしても忘れることができない出来事があった。 母の記憶が失われていくなかで、泉は思い出す。 あのとき「一度、母を失った」ことを。 泉は封印されていた過去に、手をのばすーー。 現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。 すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。
大ヒット和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」第一部完結! 松本清張賞史上最年少受賞のデビュー作『烏に単は似合わない』から一巻ごとに 読者を魅了して成長してきたシリーズの第一部完結の第6巻。 八咫烏の一族が支配する異世界・山内を舞台に繰り広げられる、お后選び・権力争い・外敵の進入。大地震に襲われた山内で、100年前に閉ざされていた禁門がついに開かれた。 崩壊の予感が満ちる中、一族を統べる日嗣の御子・若宮は、失った記憶を取り戻すことができるのか。そして、人喰い猿との最終決戦に臨む参謀・雪哉のとった作戦とはーー。 一巻から周到に張り巡らされてきた伏線がすべて回収され、この世界の大いなる謎が驚愕とともに明かされるクライマックス。 大人気キャラの受難、神秘の謎とどんでん返しに驚愕した後に、 未知の感動が味わえる堂々完結の一冊。 巻末には、先輩の大作家・夢枕漠さんとの熱い対談を収録! 講談社コミック「烏に単は似合わない」第二巻も同時発売。 第一章 開門 第二章 断罪 第三章 治癒 第四章 迷走 第五章 完遂 終章 こぼれ種
結婚して三年ほどの三十歳の主婦、初美。編集者の夫とは仲が良く、優しい彼に不満はないが、夜の営みが間遠に。欲求不満で同級生の男と浮気をしそうになったり、義弟に妄想、浪人生を誘惑、果ては乳房を触診する女医にまで発情する始末。夫婦はエロさから遠ざかる? 幸せとセックスレスの両立は難しい? “セックスレス”という名のモンスターに挑む主婦は、禁断の果実をかじってしまうのか!? 解説 小橋めぐみ(女優)
クリープハイプ尾崎世界観、慟哭の初小説! 「尾崎祐介」が「尾崎世界観」になるまで。 書下ろしのスピンオフ短篇「字慰(じい)」を文庫版で初収録。 「俺は俺を殴ってやろうと思ったけれど、どう殴っていいのかがわからない。」 スーパーでアルバイトをしながらいつかのスポットライトを夢見る売れないバンドマン。恋をした相手はピンサロ嬢。どうでもいいセックスや些細な暴力。逆走の果てに見つけたものはーー。 人気ロックバンド「クリープハイプ」のフロントマン尾崎世界観、渾身の初小説。 「祐介」の世界からスピンオフした「字慰」は、著者最新の書き下ろし作品です。 解説は『コンビニ人間』が世界的高評価の芥川賞作家、村田沙耶香さん。 たったひとりのあなたを救う物語。
標高8000メートル峰が屹立するヒマラヤで、“魔の山”と畏怖されるナンガ・パルバット。立原祐二は、前人未到の冬季登頂に失敗、友人の倉本を失った。5年後、立原は、兄の雪辱に燃える倉本晴彦と共に、再び“魔の山”と対峙する。ロシアのパーティの不穏な動き、牙を剥く過酷な天候…。頂に立つのは誰か。
美しい利尻富士で、一人の会社員が不審死した。警察庁刑事局長の兄・陽一郎から内々に調査を頼まれた浅見光彦は利尻島を訪れ、ある女性から託されたメッセージを足がかりに調査を進めるがー。兄弟の思いは、“国”を動かすことができるのか。「日本人の覚悟」に迫る浅見の姿が熱い!内田康夫の代表作、渾身のミステリー!
武田の遺臣として、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛。武田家滅亡から、大坂の陣までー仕えた家が次々と滅びることから、「厄神」と忌み嫌われた男と、彼に関わった度し難い男たち。時代に迎合することなく、己の夢と覚悟を貫いた依田信蕃や久世但馬守など、気鋭の著者が描く、くせものたちの物語。
高校進学を諦め、舞妓になった彩葉、漁師の生き方に憧れる留子、ヤンキー仲間に一目おかれるマリエ、家業の神職を継ぎたい千夏、売れないご当地アイドルみゆき。次から次へと押し寄せる人生の選択肢に彼女たちが選んだ道とはー。まぶしくてちょっと甘酸っぱい5人の少女が紡ぎだす地方発青春エンタテインメント。
女子高生の唐坂和葉は17歳。隣のクラスの沢くんへの告白の返事は「まあいいよ」。いつもヘッドフォンをつけていて「ハブられている」クラスメイトの初岡と、沢の会話を聞きながら、いろいろ考える。いじめのこと、恋愛のこと、家族のこと。十代のめまぐるしく変化する日常と感情と思考を、圧倒的な文体で語る新感覚の小説。
夏を迎えた江戸深川。浪人、坂崎磐音の用心棒稼業は相も変わらぬ貧乏暇なし。同じ長屋に住む婀娜っぽい女を行き掛かりで助けたことで、思わぬ“女難”を招き、一騒動に。そんな折、今津屋の内儀お艶が倒れた。病気平癒を祈るため、相州・雨降山大山寺詣でに発った今津屋一行を襲う不逞の輩。危機に相対し、磐音の剣が唸る!
苦労が続いたおこんの慰労をという今津屋の心遣いで、 幸吉たちも伴って 海晏寺まで紅葉狩りに出かけた磐音一行。 美しい景色に心を奪われたその席で、 狼藉をはたらく直参旗本に出くわす。 おこんに目をつけた旗本たちは、 江戸市中に戻った後にも、難癖をつけてくる。 騒動がおさまったと思ったら、 また後日、狐火見物に出かけた折にも、 おこんの身に危険が迫り……。 おこんを必死に探す磐音。おこんは無事に戻るのか!? 2019年5月17日の映画「居眠り磐音」公開を記念して、初版に限り、 主演の松坂桃李さんのスペシャルインタビューを収録した リーフレットを封入しています。
どうぞ、王子さまの魔法にかかってくださいーー シルヴァスタイン作の絵本『ぼくを探しに』の翻訳などで知られる作家・倉橋由美子の名訳が光る、世界に愛される物語。 『星の王子さま』の著者・サン=テグジュペリによる愛らしいイラストは、カラーで掲載。ルビも増量し、読みやすい体裁でお子さまにもオススメです。美しい特別装丁版となっていますので、贈りものにもぜひどうぞ。作家の小川糸さんは、本書の解説で「もしも無人島に一冊だけ本を持っていくとしたら、私は迷わず『星の王子さま』をリュックに入れようと決めている」と綴られています。読む度に味わい深く、新しい気づきをもたらしてくれる名作です。 「ねえ、お願い……羊の絵を描いて」不時着した砂漠で私に声をかけていたのは、別の星からやってきた王子さまだった。王子さまとやりとりを重ねるうちに、私の胸に去来したものとはーー。1943年の刊行以来、世界中を魅了し続けている名作。 解説・古屋美登里、小川糸 誉れ高い美しい名訳をぜひ味わってみてください。
明治維新から数えて百五十年を超え、歴史に対する認識が次々に見直される中、上野の西郷隆盛像を破壊せよ、という脅迫状が届いた。犯行グループは「歴史を正す者」と名乗る集団。警備中に、東武鉄道への爆破予告も。十津川は「特急リバティ会津」に乗り、会津若松へ。さらに犯人から、東京都などに対し、二十億円の要求が届く。これは会津人から、明治新政府の流れを継ぐ“政府”に対する復讐なのか?
総理がらみの疑惑の渦中にある代議士の孫が誘拐された! 犯人の要求は前代未聞ーー「罪の自白」。 政界に激震が広がる中、代議士と家族の戦いが始まる! 「総理の友人に便宜を払うため、国交省や県に圧力をかけたのではないか」 衆議院議員の宇田清治郎は、こんな疑惑を糾弾され、連日、メディアに追われていた。その最中、三歳になる孫娘が誘拐された。 「記者会見を開いて、おまえの罪を自白しろ。今まで政治家として犯してきたすべての罪を、だ」 犯人が提示したタイムリミットは翌日の午後五時。 動機は宇田清治郎への怨恨か。それとも、総理の罪を暴くことにあるのか。 警察は、思い当たる過去の罪を事前に打ち明けてくれ、と宇田を説得する。 保身のための駆け引きに長けた「官邸サイド」と対峙するのは、宇田家・次男の晄司。 宇田一族、総理官邸、警察組織ーー。 三者の思惑が入り乱れる中、刻々とタイムリミットが迫る。 晄司たち家族の戦いが始まる! 政治家一族の身内が誘拐されるという、現実的に起こりうる危機を、圧倒的な迫力で描き出すサスペンス大作!
江戸が東京になって、日露戦争、関東大震災、東京大空襲、そして平成の終わりまで、たったひとりで生き抜いた男がいた。 男は1861年3月13日、横浜で生まれた。 とても成長の遅い子どもで、3歳になるまでまともに歩けず、ゆっくりと時間をかけて成長してからは、人並みに結婚もした。 何度も死に損なったけれど、それなりに人生を楽しんで、あらゆるものを見てきた。 五千円札の女と懇意になったり、朝鮮人狩りから少女を救ったり、ヤミ市の少年たちに自活の道を施したり、不死化細胞の研究に協力させられたり、数奇な運命とともに生きた。 この男、159年にも及ぶ人生最後の望みとは? 30歳の女性看護師に何を託すのか。 さあ、夢見るようなタイムスリップが始まる! 文壇の鬼才が世に問う、圧倒的なイマジネーションと構築力による衝撃の書。