出版社 : 文藝春秋
ノワール×コメディの怪作! 裏社会の大物を祖父に持つ俺は、ヤンチャが過ぎた代償に、奇妙なマンションに管理人助手として送り込まれる。そこは武器でも毒物でも持ち込み自由、死体が出たら管理人が処分するという、入居者全員極悪人の最凶マンションだった! CIAクズレ、毒物マニアのばあさん、二重人格の美女、爆弾マニアの外国人など多士済々の入居所たち。ゴリラのような管理人・白旗にこき使われ、爆弾の処理やヤクザの襲撃を何とか乗り切る俺だが、やがて、マンションのなかがにわかにきな臭くなる。きっかけは、住人である二人の殺し屋美女。その二人を巡り、謎の管理人・白旗の意外な過去も明らかになる……。命がけで業務をこなす俺に、明日はあるのか!? 解説・薩田博之 極悪専用 六〇三号室 日曜日は戦争 つかのもの…… 闇の術師 最凶のお嬢様 黒変 二〇一号室 元日の来訪者 緊急避難通路 解説・薩田博之
亡くなった父親の遺品を整理中、作家の本谷は意外なものを発見する。1963年、日本初のメジャーリーガーが誕生する以前、マイナーリーグのサクラメント・ゴールドハンターズで野球をする若き日の父が写った一枚の写真。厳格で仕事一筋、自分と相容れなかった父の過去を知るべく、本谷はアメリカへー。
女が映し出す男の無様、そして、真価ー。太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようかー。時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。選考会時に圧倒的支持で直木賞受賞。
初老の“私”は、嵐の夜に出会った女から降霊会に招かれる。そこで再会した今は亡き人々。その中にはある理由から記憶の片隅に押しやっていた幼い友達がいたー。更に私は翌日も再訪するよう誘われる。会わねばならぬ人々のために。戦後という時代に取り残された者たちへの鎮魂歌として著者が贈る極上の怪異譚。
デビュー作「宇喜多の捨て嫁」が直木賞候補となり文学賞5冠を獲得した驚異の新人の第二作が本作!八百比丘尼伝説をベースに舞台は幕末の京都。坂本竜馬、新撰組が登場するが、実は吸血鬼やゾンビ、ドッペルゲンガー。史実を忠実に辿りながらも、誰も想像しなかった展開、かつ構成がとられた作品。
「森を懲戒解雇にするぞ」-。大手合成繊維企業で中堅の有望株と目される森雄造は、川井常務の経営方針を批判して怒りを買う。次期社長を巡る派閥抗争の巻き添えも食い、不当に貶められて馘首の憂き目に。出世の階梯が突如暗転した森は、会社を相手にたったひとりの闘いを挑む。信念を貫いたサラリーマンの勇気溢れる物語。
ルポライターが殺された。彼の恋人は轢き逃げに遭う。そして横浜で発見された女性の白骨体。3つの事件を解く鍵は、殺されたルポライターの寝台急行「天の川」乗車ルポにあるはず。列車に乗った十津川警部は、ある齟齬を見出す…。かつて上野ー秋田間を結び、今はなき寝台急行に懐旧の思いを込めた新装版。
「墓荒らしに協力はできない。これは犯罪だ」-マジシャンのベリーは興行先で妊婦のこうこに墓を掘り起こす手伝いを求められて激しく抵抗。しかし墓穴から連れ出された老婆・ありさは日ごとに若返ってゆくのだった。時がさかしまに流れる街で、ペリーとこうこの関係は一体どうなってしまうのか?奇想天外で落涙必至の物語。
航空機メーカー四星工業の技術者・沢本由佳は、社の主力機TF-1の改修開発を提案する。それはかつて、社の先達たちが目指し、挫折した計画でもあった。実現には、防衛省との折衝や巨額の防衛予算の獲得など、課題が山積。社内の不正やライバル企業からの妨害も発覚する中、新型機は無事に、大空へと飛びたつことができるのか!?
美大に入学したての友親は、知り合った先輩の若菜と親交を深めるうちに、自らの中にある問題に向き合うことになる。一方、若菜も心に傷と秘密を抱えていて…。友親の前に現れた少女・恭子は何か知っているのか。かつての悲恋、家族との軋轢、才能への渇望と絶望ー若者の痛みとその再生を描く青春小説。
男も女も老いも若きも、様々な「情」を胸に抱き、それに振り回され生きていくー武士の、同輩への友情と許婚への断ち切れぬ愛情との葛藤を描く「落ち梅記」。亭主への、また父の娘に対する「情」の交錯がドラマに複雑さを与える表題作。同場所のシンデレラ物語が迎える残酷な結末「なんの花か薫る」。「情」の万華鏡とも言うべき一冊。
別れた恋人と食べるアツアツの葱やき、結婚する気のない男との一泊旅行で買った駅弁、恋の悩みを打ち明ける女友だちとつつく焼肉、浮気夫のために作るビフテキ…男女の仲に欠かせない「おいしい料理」と「恋」は表裏一体。すれ違いつつも寄り添おうとする男と女たちの、せつなくてかわいくて、ちょっとビターな9つの恋の物語。
入院した祖母を元気づけるため、32歳になった杉山未來は祖母の生地である台湾の古都、台南を訪れる。優しくてなぜか懐かしい国。そこで未來は戦前の日本人の涙と無念を知り、台湾人を襲った悲劇に驚く。そしてようやくたどり着いた祖母の生家は、地獄の家へと変わり果てていた。「わたしは誰も愛さないなんて生き方はしたくない!」そのとき未來が下した人生の決断とはー。
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか? 臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞の三冠に輝いた衝撃作『ダブル・ファンタジー』待望の続編! 脚本家・高遠奈津。創作の鬼に導かれるように夫・省吾との穏やかな暮らしを捨て、いくつかの恋を経て、今は恋人・大林一也と暮らしている。しかし彼もまた、奈津の心と躯を寂しくさせる男でしかなかった。元恋人の志澤一狼太や岩井良介との再びの逢瀬を皮切りに、性の深淵へ次々に分け入ってゆく彼女が、自由と孤独のその果てに見いだしたものは……。 男女の愛憎を描き尽くし、やがて生と死の岸へとたどり着く、作家・村山由佳の到達点!
スティーヴン・キング強力推薦。 少年時代の美しい思い出と、そこに隠された忌まわしい秘密。 最終ページに待ち受けるおそるべき真相。 世界36か国で刊行決定、叙情とたくらみに満ちた新鋭の傑作サスペンス。 あの日。僕たちが見つけた死体。そのはじまりは何だったのか。僕たちにもわからない。みんなで遊園地に出かけ、あの悲惨な事故を目撃したときか。白墨のように真っ白なハローラン先生が町にやってきたときか。それとも僕たちがチョークで描いた人形の絵で秘密のやりとりをはじめたときかーー あの夏。僕には四人の友達がいた。太り気味のギャヴ、不良を兄に持つミッキー、シングルマザーの息子ホッポ、そして牧師の娘ニッキー。不良たちに襲撃されることも、僕がニッキーへの恋に胸を焦がすこともあったが、この日々が終わるなんて考えたこともなかった。でも町では悲劇に至る不和が広がりはじめていたのだ。僕の母の診療所への反対運動をニッキーの父が煽り、ミッキーの兄に悲劇が降りかかり、少女の妊娠騒ぎが起こり、大人たちのあいだにも僕たちのあいだにもヒビが入りはじめた。そして、あの事件が起きた。あの子が殺された。森で。バラバラになって。見つけたのは僕たちだった。頭部はいまも見つかっていない。 そして現在。白墨人形の絵とともに、あの事件が甦る。あの人が死んだことで、事件は解決したはずなのに。僕はかつての友人たちとともに、あの夏の秘密を探りはじめる…… 光に満ちた少年の物語と、痛ましい犯罪悲劇とが交錯し、最終ページに待ち受ける最後の一撃。