出版社 : 文藝春秋
江戸吉原には、娘を花魁へと染めかえる裏稼業があった。その名も「上ゲ屋」「保チ屋」「目付」。うぶな時分に閨房の技を仕込み、年季半ばで活を入れ直し、常に女心を探り、間夫を絶つ。これら男衆と磨きぬかれた妓達が織りなす人生絵図を陰翳豊かに描く、連作七編。秘められし真心が静かに胸をうつ、傑作時代小説。
『謎解きはディナーのあとで』が本屋大賞を受賞した東川篤哉さん。お待ちかねの新シリーズは、なんと本格ミステリーと魔法の融合!? 39歳独身の美人刑事《八王子市警の椿姫》こと椿木綾乃警部と、椿木警部に罵られることを至上の喜びとするその部下、小山田聡介。 八王子市警の名コンビが勇んで出向く事件現場には、いつもなぜか、竹箒を持った謎の三つ編み美少女がいてーー。 本格ミステリーのトリックと、抱腹絶倒の掛け合いが最高の化学反応を起こすユーモアミステリー。 毒舌美少女マリィ、結婚願望を捨てきれない椿木警部と、どMな部下小山田刑事と、三者三様の強烈なキャラクターにも注目です。 「魔法使いと逆さまの部屋」「魔法使いと失くしたボタン」「魔法使いと二つの署名」「魔法使いと代打男のアリバイ」の中編4作を収録。
名作『推定無罪』から二十年。あの危機をくぐり抜けた検事サビッチは、判事の座に昇りつめていた。だが彼の妻が変死を遂げ、二十年前に法廷で苦汁をなめた検事が、ふたたびサビッチを殺人の罪で法廷に立たせる! 弁護側と訴追側が火花を散らす法廷で裁かれるのは人間の愛と欲、痛みと悲しみの生んだた悲劇ーーサビッチは有罪か無罪か。『推定無罪』と対をなす新たなる傑作リーガル・サスペンス。驚愕の真相はまたも切ない。
『北京の春の白い服』-1999年、中国初のファッション誌創刊に向けて派遣され北京で奔走する夏美。『時間の向こうの一週間』-2012年の上海、赴任したばかりで多忙な夫の代わりに家探しを引き受けた亜矢子。『天燈幸福』-「台湾に三人おじさんがいるのよ」という亡き母の言葉を手がかりに旅に出た美雨。時間も、距離も越えて、新しい扉をひらく彼女たちの物語。
岩倉具視暗殺未遂事件の処理に暗躍した警察官、会津の民のために奔走した元京都見廻組の男、国会開設を檄文で訴える岡山の隠れた俊才ー日本近代の産声にかき消された叫びと祈り。中央政府の大義に屈せず、彼らはそのときたしかに生きた。
一九三九年十一月二日、ワシントンDCのジョージタウン大学脇にあるグローバーアーチボルド・パークの森の中で、娼婦の死体が発見された。被害者は両手をブナの木の枝から吊るされ、性器の周辺がえぐられたため股間から膣と子宮が垂れ下がっていた。時をおかず第二の殺人事件も発生し、被害者には最初の殺人と同様の暴虐が加えられていた。凄惨な猟奇殺人に世間も騒然とする中、恐竜の謎について独自の理論を展開される「重力論文」を執筆したジョージタウン大学の大学院生が逮捕され、あのアル・カポネも送られたサンフランシスコ沖に浮かぶ孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。やがて、ある事件をきっかけに犯人は刑務所を脱獄し、島の地下にある奇妙な場所で暮らし始めるが……。先端科学の知見と作家の奔放な想像力で、現代ミステリーの最前線を走る著者の渾身の一作がついにベールを脱ぐ!
IWGPファーストシーズン、完結編! 四人組の暴行魔を探してほしいーーちぎれたネックレスを下げた美女の依頼で、マコトはあるホームレス自立支援組を調べ始めるが……。
「これこそが日本だ!」戦争で何もかも失った蒲生太郎。かつての戦友の誘いに応じて秋田にやってきたら、そこは息苦しい人生観がくるりと変わる、まさに別世界だった。温厚な金木医師、マタギ免許皆伝のイワオ、色っぽい敏子。そして悪戯ばかりの悪ガキども。艶やかなユーモアたっぷりに描く、ふるさと賛歌。
一流企業に勤める夫が50歳を目前に失踪した。妻の睦子は自分に落ち度があつたのかと戸惑い、懊悩し、それでも仕事を探して働きに出る。だがそこで直面したのは、社会の厳しさだった。一方、夫の瞭平はホームレスとなっていたー。夫の失踪をきっかけに夫婦それぞれの人生を見つめなおす、再生の物語。
温厚な父が秘めていた40年前の不思議な恋、江戸から消えた女房が見せる奇妙な夢、少年時代の後悔を振りきれない男の帰郷…。切ない恋愛から艶めく時代小説まで自在に描きだす、著者の才が冴えわたる6篇。恐怖や迷いに立ち止まってしまった大人たちの、切なくて、ちよっと妖しい世界を詰め合わせました。自作解説付き。
本所深川で隠密廻り同心が斬殺された。この同心は、町奉行所も容易に手を出せない無法の地・八右衛門島の探索をしていたという。一向に動こうとしない南町奉行に不審を抱いた秋山久蔵は、真相を追って八右衛門島にひとり潜り込むが、久蔵の前に現れたのはこの地に似つかわしくない謎の女だった。人気シリーズ新装版第5弾。
帝銀事件を描く暗黒のアンチ・ミステリ 一九四八年冬の大量毒殺事件を生んだ占領下東京の黒い霧を、ノワールの旗手が鬼気迫る筆で暴きだす。狂気渦巻く漆黒の現代文学、誕生
芝神明宮にほど近い「風待ち小路」にある絵草紙屋・粂屋のあるじ笠兵衛は四十八になるが、人気役者・岩井半四郎に似た二枚目で、商いにも色事にもまだまだ意欲を持っている。妾のお孝を、五年前に亡くなった女房の後添えにしようかと思案していた。一方、大人しくていまひとつ覇気が見えない跡取り息子・瞬次郎には物足りなさを感じているのだった。そんなある日、半襟屋のおちせが店を訪れ、瞬次郎と恋仲になっていくが…。粂屋父子とおちせを中心に、風待ち小路で暮らす人々のドラマが語られる。近くに新興の商店街ができ、商売に陰りの見える街の活性化のために店主世代と若旦那世代がそれぞれに素人芝居の計画を立てるが、その顛末は? また、瞬次郎とお互いに惹かれあいながらも躊躇いを見せる子連れのおちせが抱える意外な秘密とは? 男と女、父と子、母と子ーー様々な人間模様を情感豊かに描し、物語も起伏に富んだ連作時代小説の傑作です。
権勢並びない太閤秀吉に対しても「拙者は芸道に生きる者、いつの世までも名の残る者でござる」と高い誇りを持ち続けた男・千利休。天正期の大坂城を舞台に、秀吉と利休の確執を初めとして、淀殿と北政所、秀吉の側室たち、利休の娘のお吟、石田三成や小西行長ら武将たちの繰り広げる苛烈な人間模様を描く。
目が覚めたら魔法のしっぽが生えていたイジメられっ子、父を亡くし若い継母とふたり年を越す高校生…。児童文学から恋愛小説、SF、時代小説まで、ジャンルを超えて活躍する著者ならではの、色とりどりの6篇が入った“玩具箱”。明日への希望きらめく瑞々しい気持ちをギュッと詰め込みました。文庫オリジナルの自著解説を収録。
美術探偵・神永美有が活躍する人気シリーズ第二弾 日本近代美術の黎明期にオルガナイザーとして君臨した岡倉天心が自ら描いたという仏像画は果たして本物なのか? 表題作など五篇