出版社 : 新日本出版社
図書館の清掃員として働く山村春人は、自分をコソコソとつけ回す何者かの気配を感じ、正体をつきとめようとする。正体は、150年前の隠れキリシタンの少女・スミだった。学校に居場所のない夏川大樹とスミは友情を深めていたが、別れの日が近づいていた……。赤旗連載時から話題になった連載小説待望の書籍化!
ホロコーストから生還後、ソ連の文化事業局に勤めていたマーシャは、ユダヤ反ファシスト委員会議長の事故死に疑念を抱いたため「不健全な関心」として、突然解雇される。相次ぐユダヤ人のシベリア送り、学長職を追われる父。「私は生き残った。それなのになぜ黙っているのか」。書かずにはいられなかった貴重な記録。
プロジェクターなどの映像機器を手がける第一志望の会社に内定した植草雅弘。喜びもつかの間、入社後、飲み会の幹事を強要され、セクハラ被害により適応障害になる。復職が認められず、ワラにもすがる思いでユニオンに加入するがーー。男性のセクハラ被害、現代労働争議の新しい地平を開く実話をもとにした待望の問題作。
フランス支配下のアルジェリアでつつましく生きてきたジャコブと家族。ある日、ナチスから「祖国」を解放する戦いに、意味もわからぬまま動員された。兵士になると人間の身体や心はどうなるか? その家族は? 心の動きを瑞々しく映しだす独特の文体で、人間と戦争のリアルを描いて大反響を呼んだ現代フランス文学の傑作!
なにかにつけて泣く感動屋の「泣き虫先生」と、6階建て高さはあろうかという風呂屋のエントツに登ってしまった少年を助けるため、ひとり猛スピードで駆け上がった「チビカン」の大人2人。地域で剛速球エースの誉れも高い卓也と、転校生でバッテリーを組む力少年の2人。この4人が始めた、ヘッセの小説〈車輪の下〉読書会が生み出したものは?
不器用で勉強もできない自分に劣等感をもつ中学生の辻聖一。親友の孝二やその母との交流の中で、在日韓国・朝鮮人への差別を知り、時代や社会のことを教えられる。高校生になり、体育祭の仮装行列をめぐり騒動が起きる……。1960年代前半の大阪生野区を舞台に、何のために生きるかを求め、成長する青年を描く長編。
リトアニアへのドイツ侵攻後、すぐに始まったユダヤ人への差別と迫害。グラジーナは、ユダヤ人の友人から「ゲットー」で生まれた赤ん坊を託されることに。「匿えば絞首刑」という恐怖におびえながら、グラジーナは、消される運命にある小さな命をどうしても見殺しにできないーー。職場の同僚が救いの手をさしのべるが……。