出版社 : 早川書房
死の衛星を破壊する準備がととのった3434年7月、ローダンのもとに凶報がとどいた。皇帝ダブリファがついに太陽系の所在をかぎつけたのである。ATGフィールドの効果を相殺する新兵器を開発したダブリファは、いままさに5万5千の大艦隊をもって襲いかかろうとしている。死の衛星による太陽のノヴァ化プロセスも激化をはじめた。未曾有の危機に挾み撃ちにされた太陽系を、ローダンはいかにして救うことができるのか。
体の中の野獣が今にも腹の皮を突き破り、心臓をちぎろうとする。狂っている内なる自分を感じながら、「そいつ」は冷静にライフルの照準を騎手の脇腹に合わせた…競馬場を切り裂くその轟音とともに、都会で挫折し村に逃れてきた元ロックシンガーの鮎子は、果てしない恐怖の旅へと連れ去られる。ハヤカワ・ミステリ・コンテスト受賞の気鋭作家がカントリーを舞台に異常な連続殺人を描く入魂のノン・ストップ・サスペンス。
何者かに誘拐された、いとしのペルシャ猫を探しだしてほしいーそんな奇妙な依頼が、よりによって、大の猫ぎらいのわたしのもとに舞いこんでこようとは…。だが、やむなく調査を開始したわたしを待ち受けていたのは、愛すべき隣人たちをも巻きこむ、残忍で非道な殺人事件だった。L・サンダーズが新境地を拓き、全米ベストセラー・リストを驀進し続ける「秘密調査員マクナリー・シリーズ」が、文庫オリジナルで登場。
国税庁からの通告が、イージーの平穏な日々に終止符を打った。彼の隠し財産を至急申告しないと逮捕するというのだ。窮地に立たされた彼は、FBIにおとり捜査の協力を約束する。彼は著名な活動家の行動を探るが、やがて恐るべき陰謀の渦中に…赤狩り旋風が吹き荒れるロスの街で、黒人探偵イージーが労働運動絡みの殺人事件の真相を追う。
金持ちが集まるリゾート地、オレンジ郡ゴールド・コースト。元警官でアル中のウィニーがテスに会ったのは、酒ゆえの事故を起こし、判事にさんざん絞られてようやく保護観察になった夜のことだった。性懲りもなく足をむけた酒場のカウンターにすわっていた、美しい上品な女。事故の記事を読んで、ウィニーに興味をもったのだと彼女は言い、明るく微笑んだ。テスは、金持ちの夫と離婚し、次の結婚相手を捜している有閑マダムの一人だったが、こんないい女がなぜおれなんかを、と思う間もなく、ウィニーは恋におちていた。だが、めくるめく情事のあいまに、彼は不思議なデジャ・ヴュを何度も経験する。テスとは初めて会ったはずなのに…。
ぼくにとってミステリは愛であり信仰の対象だった。シルヴィアにとっての詩人エミリー・ディキンスンのように…18歳のぼくが43歳の人妻シルヴィアと出会ったのは、砂漠の真ん中だった。ぼくは新興宗教の教祖である母親から逃げだし、シルヴィアはディキンスンの生家を見るため、夫と息子を家に残してドライブの途中だった。気意投合したぼくたちは、ニュー・メキシコ、テキサス、シカゴへと旅をつづけ、ぼくはシルヴィアのエキセントリックな魅力のとりこになっていく。しかし、ある日突然、彼女はぼくを置いて夫のもとへ帰ってしまった。ディキンスンの詩集と別れのキスだけを残して。いったいなぜ、彼女はディキンスンへの情熱を失ったのか?ぼくは謎めいたシルヴィアの真の姿を追い求め、独りで旅をつづけるが…1970年代のアメリカを舞台に、作家志望のミステリ・ファンの少年と詩を愛する人妻が織りなす、不思議でほのかにエロティックな関係。ミステリ、恋愛小説、ロード・ノヴェルなどさまざまな要素が自由奔放にとけあう、新しいかたちの青春小説。
ここは何か変だわー知人に招かれ,黒人専用の高級リゾートを訪れた家政婦のブランチは、到着早早、不穏な空気を感じとった。はたしてその直前、皆に嫌われていた女性が不審な事故死を遂げていた事実が判明する。数日後、今度は滞在客の男性が謎の自殺を…タフな黒人家政婦ブランチが、鋭い観察眼で特権階級の黒人たちの実像を暴きだす。アンソニー賞、アガサ賞、マカヴィティ賞を受賞した『怯える屋敷』に続く第二弾。
落馬事故によって片腕となった元チャンピオン・ジョッキイ、シッド・ハレー。現在は競馬界専門の調査員となっていたが、放牧中の馬の脚を切断するという残忍な犯罪が連続して発生、かわいがっていたポニイを襲われた白血病の少女から、犯人を捜してほしいと依類される。だが、容疑者とした浮かび上がったのは、ハレー自身が犯人とは信じたくない人物だった。エリス・クイント-騎手時代のよきライヴァルで、私生活でもハレーの親友だった男。引退後は、テレビ・タレントとして国民的な人気を博し、誰からも愛される好男子だった。もちろんクイントは犯行を否定し、世間も彼が犯人とは信じなかった。かえって、恵まれているクイントを妬むあまり間違った告発をしたと、ハレーはマスコミからごうごうたる非難を浴びる。ところが、この執拗なマスコミの攻撃には、じつは裏があることが次第にあきらかになってくる…。『大穴』『利腕』につづき、不屈のヒーロー、シッド・ハレーが三度目の登場を飾る、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
そのテラナーはいっさいの記憶を失ったまま、衛星タイタンの秘密ステーションに幽閉されていた。テラナーのほかにそこにいる生物は、メルコシュと名乗るオプロン人のミュータントだけ。しかもメルコシュは、隙あらばテラナーを殺そうと狙っていたのだ!たがいに牽制しあいながらも、ふたりは共通の目的である自由を求めてステーションを脱出した。だが、地表に出たテラナーたちの前に、謎の巨大宇宙船が出現した…。
降旗少尉以下、3名の首都圏情報防衛軍団兵士が遂行する作戦名は“マタタビ”作戦。首相の行方不明になった愛猫を捜し出せ、というものだ。ただしその猫は、脳にひじょうに貴重な情報が入力された、人類の存亡を決する猫なのだ。3名はなんとか目標の猫を発見したものの、コンタクトしようとして、失敗。しかも、本部との通信は不能となってしまった。現在地不明のここは、すでに死後の世界なのか?俊英が描くSF長篇。
パリの街角にある小さなレストラン『ル・プチ・マルグリィ』が今宵かぎりで閉店する。三十年近くにわたって美味しい料理を作り、温かく客をもてなしてきたオーナー・シェフ夫妻は、二十代の息子とその友人たちを招き、お別れの晩餐会を開く。アペリティフからデザートまで、素敵な料理のフルコースと楽しいおしゃべりが進むなか、皆に愛された店の歴史が、夫妻の秘密が、若い世代の様々な恋や人間模様が浮かび上がる…。
本書は、『シンプルな情熱』発表の翌年93年に上梓された最新作。パリ近郊の新興都市セルジーに住む著者は、84年のルノードー賞受賞作『場所』の翌年から『ある女』と『シンプルな情熱』の執筆期間をはさんで92年までの八年間、「戸外」の日常的な場所で見かけた人びとの情景を日記のごとく書きとめていた。そのスケッチ風の短い断章からなる本作品は、独自の視点と感性で現代フランスの断面を見事に浮かび上がらせている。
わたしはなんとしても作家になりたい!創作意欲に燃える家事ロボット-キャル-が、様々な機能を付け足し、執筆内容もしだいに上達して、やがては主人の作家を凌駕する作品を書き上げたとき…作家志望のロボットの奮闘を、ブラックな笑いにつつんで見事に描きあげたロボット・シリーズの名作「キャル」。「リア王」のコンピュ・ドラマ化に成功し世界的な名声を得た演出家ウイラードのところに、ひとりの作家が訪れた。自分の作品をコンピュ・ドラマ化してほしいという。しかもひきかえに、十万グロボ・ドル相当のゴールド-黄金を支払おうというのだ!映像化を拒否するような内容の原作を、コンピュータを使っていかに立体映像化するか…息詰まるコンピュ・ドラマ作成現場を描きヒューゴー賞を受賞した「ゴールド-黄金-」。そのほか、作家志望の若者たちにSF小説作法を伝授する「SF作家になるためのヒント」、著者みずからがロボット・シリーズについて解説する「ロボット年代記」など、愉快でためになるエッセーの数々をあわせて収録した、アシモフ最後のヴァラエティ溢れるSF作品集。
シリコンバレーの大企業でロボット開発に携わるジャージーは、ひょんなことからサイバースペースで一匹の蟻を目撃した。どうやら会社が研究中の人工生命プログラムが、彼のマシンに迷いこんだらしい。だが自力で進化し増殖するこの蟻が、試作品のロボットを乗っ取って世界を覆う光ファイバー網に侵入してしまったために、思いもよらぬ騒動が…!高度な機械知性の誕生をポップな感覚で描き出す近未来コンピュータSF。
エディンバラの新聞社に勤務するはみだし者の記者キャメロンは、特ダネを告げる謎の男の電話に振りまわされていた。折りしも、悪辣な権力者たちが次々と惨殺される事件が発生。被害者は、キャメロンが記事で悪行を非難した人物ばかりだった。彼は殺人の容疑で逮捕され、やがて驚くべき真相が…全英ベストセラー第一位を記録した噂の作家の鮮烈なミステリ。
泥棒稼業の隠れ蓑のつもので始めた古本屋がすっかり軌道に乗り、今では本屋の主人としてまっとうな暮らしを送っているバーニイ。気づいてみればもうかれこれ一年近くも夜のお勤めとはご無沙汰だ。ところが、店の新しい大家が法外な家賃をふっかけてきたものだから、バーニイは家賃の値上げ分を捻出するためにやむにやまれず泥棒稼業に逆戻りすることになった。首尾よくウェスト・サイドのとある高級アパートメントに忍び込んだまではよかったが、浴室で素っ裸の男の死体を発見。そのうえ、まったく身に覚えのない高価な野球カード・コレクションを盗んだ疑いまでかけられてしまったのだからたまらない。かくなるうえは野球カードを取り戻して身の潔白を証明するしかない!ある時は鮮やかな手並みの泥棒紳士。またある時は華麗な推理の名探偵-マンハッタンの小粋な快盗バーニイ・ローデンバーが十年ぶりに帰ってきた、最高の話題作。