出版社 : 早川書房
アーサー王はベイドン山の戦いでサクソン人に大勝し、見事ブリテン統一の野望を果たした。グウェンフウィファルの力添えもあって、その記念すべき戦を機に、アーサー王はしだいにキリスト教に傾倒していった。だが、〈湖の貴婦人〉ヴィヴィアンは、これを快く思わなかった。神聖なドルイド教の儀式でアヴァロンの王たることを誓った者が、キリスト教を重んじるとは、まさに裏切り行為というもの。そこでヴィヴィアンは、アーサー王と対決するためにマーリンと共に宮廷へと赴いた。ところが、そこでは思いもよらぬ運命が彼女を待ち受けていた…。
不治の病いの治療法を求めて、13世紀間という長い冷凍睡眠から目醒めた男が直面したのは驚異的な住宅難。地球のあらゆる地域をおおいつくした人類は、タイム・マシンを使って、ひとつの土地を時間単位で住みわけるまでになっていたが…。表題作「時間不動産」をはじめ、ヴィデオ・テープのダビングのように、あらゆる物質を、録物デッキでダビングして複製品をつくりだしてしまう「ダ・ビ・ン・グ」、煙草を喫わない人間が差別される世界の、煙草が喫えない男の悲劇「嫌煙権」など、SF短篇の魅力をあますところなく伝える書き下ろし短篇集。
1762年春、ワトスン司令官から命を受けたアダム・ホーム艦長は、部下のボンベイ・マリーン隊員を召集してマドラスへ向かった。その途上、海賊船に襲撃され苦闘の末にこれを撃破。ホーンらはようやくマドラスへ辿り着くが、そこで総督から困難な任務を申し渡される。東インド会社の買付代理人が、会社の金と貿易船を奪って失踪した。どうやらその男は、清国の広東で何事か企んでいるらしい。それを探り出せというのだ。フリゲート艦ヒューマ号に乗り、ホーンらは波高き海原へ出帆したが…!中国を舞台に展開する白熱の海洋冒険シリーズ第3弾。
風薫る初夏のパリ。今ここで核軍縮を目ざす東西五大国サミットが開かれようとしていた。続々と到着する各国代表団、そして報道陣。その中に四人の男女の姿があった。ケネディ暗殺は東側の陰謀と確信する元花形記者ドイル。無能の烙印を押されたアーンショウ前大統領。スキャンダルで国を追われたダンサー、メドラ。機密漏洩の疑いで職を解かれた元軍縮専門家ブレナン。地位も名誉も失った彼らは、再起を賭けてパリに集まったのだ。だが、そこで待ち受けていたのは、世界平和を脅かす恐るべき陰謀だった!圧倒的迫力で描く超大型国際謀略小説。
ソビエトの外交官ロストフは、ブレナンの潔白を証明できる人物だった。元記者ドイルの協力を得て、ロストフに接近を謀るブレナンは、偶然ジョー・ピートと名乗るアメリカ青年に出会う。ピートは、かつてソビエト政府当局と問題を起こしたことがあった。その彼がなぜ、パリにいるのか?国交断絶状態にあるはずのソビエトと中国が接近中との情報を得たブレナンは、メドラの友人を介してピートの正体を暴こうとするが…。当代屈指のストーリーテラーが、サミットをめぐる多彩な人間模様と、その陰で秘かに進行する戦慄の計画を描く画期的大作。
KGBに命を狙われたブレナンは、陰謀の存在を確信した。ソビエトと中国のタカ派が手を結び、軍縮交渉を反古にしようと狙っているのだ。アーンショウ前大統領の証言をもそれを裏付けた。だが、彼らはこのサミットで何を企てているのか?折しもサミットは大詰めを迎え、ヴェルサイユ宮殿では華麗な宴が開かれようとしていたー。
どんな事件が起きても不思議はない険悪な空気が町に充満していた。新任の新聞記者クィラランは畑違いの美術担当にまわされ、新進画家や批評家を取材してまわった。ところが、そこに渦巻いているのは、嫉妬、中傷、よからぬ噂話ばかり…。女流画家を妻に持つ町の画商がオフィスで刺殺され、画廊の絵が刃物で切られたのは、そんなときだった。家庭内のいざこざとも思えたが、次の殺人が起こるに及んで…。新聞記者クィラランが頭を抱えた難事件を解決に導く、不思議なシャム猫ココの推理とは?世の猫好き垂涎のシャム猫ココ・シリーズの処女作。
夕闇のせまるオックスフォード。なかなか来ないウッドストック行きのバスにしびれを切らして、二人の娘がヒッチハイクを始めた。「明日の朝には笑い話になるわ」と言いながら。-その晩、ウッドストツクの酒場の中庭で、ヒッチハイクをした娘の一人が死体となって発見された。もう一人の娘はどこに消えたのか、なぜ乗名り出ないのか?次々と生じる謎にとりくむテレズ・バレイ警察のモース主任警部の推理が導き出した解答とは…。魅力的な謎、天才肌の探偵、論理のアクロバットが華麗な謎解きの世界を構築する、現代本格ミステリの最高傑作。
グランド・ナショナル開催日に馬券売場で見つかった紙幣は、5年前銀行強盗に盗まれたものだった。犯人がただ一頭の馬にしか賭けていないのを知り、警察は主催者に八百長レースを要求した。賭けた馬が勝てば、犯人は必ず払戻しに現れ逮捕にいたるはずだからだ、だが、こんな大レースで八百長などということが許されるものか…犯人、警察、騎手と馬それぞれに意外な結末をサスペンスフルに描くディック・フランシスの表題作をはじめ、デイモン・ラニアン、エラリイ・クイーンなどによる、多彩な競馬ミステリを一冊にまとめた初のアンソロジー。
3カ月前、あの有能で世間知らずな学者ペロラットとともに、トレヴァイズはターミナスを発った。考古学者であるペロラットは遥かな昔に見失われた地球のありかをつきとめたいという情熱に駆られており、トレヴァレズは自分自身の真の目的-第二ファウンデーションの発見-を隠すためにかれを利用したのだ。二人は地球を発見することはできなかった。だがそのかわりに、ゲイアを見いだしたのである。やがて第一、第二両ファウンデーションとゲイアとの間で行なわれた壮絶な闘い…。『ファウンデーション』に始まる〈銀河帝国興亡史〉とロボット・シリーズとを融合させるべく、巨匠アシモフが壮大なスケールで描きあげた待望の最新長篇!
トマス・マクスウェルはニューヨーク在住の作家だが、著名作家のペンネームだろうという説が強い。評判となった処女作『キス・ミー・ワンス』につづいて発表した本書は、ボストンの上流社会とニューヨークを舞台に、友情と復讐と裏切りと禁じられた愛を描いた期待作である。
家庭さえも仮の宿にすぎず、もはや安らぎの場所はどこにもない。きびしい現実のなかで幸福を求める、アメリカの女たちのさまざまな心を鮮やかに描く、短編小説20編。
その道に入って30年のベテラン私立探偵サマルスンは、殺された時、二件の仕事を請け負っていた。一つは、弁護士マシュー・ホープの下請けで行なっていた浮気の調査。サマルスンは、浮気の証拠はつかんだが相手に感づかれたかもしれないと、ホープに話していた。もう一つは困難な仕事だった。実業家ラーキンは、舞踏会でガラスのハイヒールをはいた美女に目をつけ、ベッドに連れ込んだものの、本性を現した女に高価な金時計を持ち逃げされていた。サマルスンが頼まれたのは、その“シンデレラ”探しだった。老探偵の死は、果して二件の調査に関係があるのか?責任を感じたマシューは自ら事件を調べ始めた。だが、その頃、“シンデレラ”をめぐって次々に血醒い殺人事件が起っていようとは、彼には知る由もなかった!マイアミの陽光の下で展開する二重三重の追跡劇-巨匠がエンターテインメントの粋を見せるシリーズ注目作。
出所したばかりの息子リッキーの行状に頭を悩ますパウダー警部補だったが、仕事は待ってくれない-。父シドニーが消えた失踪人課に訴えにきたロバート少年の話を聞き、その家に出向いたパウダーは、異状に気づいた。謎に包まれた男シドニーの失踪の裏には、いったいどんな秘密が隠されているのか?一方、車椅子にのった女刑事フリートウッドは、コンピューター技術メンセリから実に妙な話を聞いた。自らも車椅子で暮す彼がコンピューターで行なった調査によれば、インディアナ州の身障者が次々に殺されている可能性があるらしい。パウダーは、周囲からの圧力もはねのけ、奇怪な話の真偽を確かめようと動き始めたが…。現代ハードボイルドの雄が、警察小説の分野に独自の地歩を確立した話題のシリーズ第3弾。
バートラム・セシル・フェザーストーン・スミス=チャムリイーこれが、チャーリー・スチュアート少年の家庭教師のフル・ネームだ。しかし、自称オックスフォード出身の英国紳士であるかれは、実は、テディ・ベアそっくりのホーカ人にすぎない。天衣無縫、融通自在になんにでもなりきってしまうホーカ人のおかげで、チャーリー少年はちょっとした物見遊山の旅はとんでもないものに変わってしまった!惑星ニュー・レムリアを舞台にチャーリー少年とバートラムが巻き起こす、てんやわんやの大騒動をユーモアたっぷりに描く、ファン待望のシリーズ第3弾!
緊急通信を受け、〈エンタープライズ〉号はブラックボックス星雲にある観測ステーションへ向かった。人工冬眠中の科学者たちが、有害な放射線で致命的な損傷を受けたというのだ。〈エンタープライズ〉号搭載の転送事故修復装置が救命に役立つかもしれない。だがステーションでは、〈エンタープライズ〉号の乗員が予想だにしない、奇怪な出来事が進行していた。
邪神トラクの高僧から〈珠〉を奪回する旅の途次、ガリオンはもはや自分が単なる農園の少年ではないことに気づいた。意想外にも彼もまた、ベルガラスやポルガラと同じ摩術師だったのだ!かてて加えて、あろうことかリヴァ王の血を引く唯一の者でさえあった。艱難辛苦の闘いの果て、ようやく〈珠〉を取り戻した今や、ガリオンは〈予言〉どおりにリヴァの王となり、セ・ネドラ王女を妃に迎えようとしていた。だが、真の物語に終わりはなく、また真の平安も許されはしない。〈予言〉はガリオンとその一行に新たな試練の旅を強いるのだった…。
地下シャトルで十分の裏街。根城にしている墓場の扉を開ける。扉に名前は出していない。幽霊は幽霊だ。名前はいらない。…板張りひと部屋の墓場。ミキサーのコンソールに腰を落ち着け、ちょっとした小品にフィニッシュの色香を加える。自分の固定機に入れて再生し、仕上がりを確認する。早い秋、高原の風。少しマイナーで、やけに軽いビート。OKだ。これでむこう2カ月の酒瓶は保証される。-マインドソフト・デザイナーのハードボイルドにみちた悲劇を描き、〈SFコンテスト〉入選後、話題を巻き起こした処女作「邪眼」を含む作品集。