出版社 : 早川書房
女はバークの手を借りたがっていた。彼女の名はボンディー。職業はヌードダンサーだ。しかし、ダンサーとはいっても、彼女が踊るのは酒場のステージではない。場所は高級アパートメントの一室。そこには、ハイテク装置を駆使した専用ステージが配置されている。観客はただひとり、向かいのビルの窓から彼女のプレイを覗き見る、変態野郎だけだ。ボンディーの依頼は、その変態野郎に一泡吹かせてやることだった。男はボンディーのプレイをひとり愉しんでいるのではなく、友人と一緒に眺めながら、嘲笑っていたというのだ。やつに復讐してやりたいの-それがボンディーの願いだった。バークはファミリイとともにボンディーの背景を調べはじめる。やがて彼女の背後に、オレンジ色の目の女ボディーガードを従えた、謎の弁護士カイトの存在が浮かび上がる。ボンディーはカイトがバークに放った餌に過ぎなかったのだ。やがてカイトは、莫大な金を積み、バークにある「調査」を依頼するが…現代社会に巣喰う唾棄すべき悪をアウトロー探偵バークが断つ、シリーズ堂々の第九弾。
『酔いどれの誇り』のミロ・ミロドラゴヴィッチと、『さらば甘き口づけ』のC・W・シュグルーという二大探偵の競演がついに実現した。親の遺産を持ち逃げされたミロと、謎の刺客に襲われ九死に一生を得たシュグルーの二人は、それぞれの思惑を胸に一路メキシコ国境を目指すが、その過程で一人の謎の女の存在に突き当たる。
帝国暦955年、幻炎作戦によって圧倒的勝利をおさめた「アーヴによる人類帝国」は、残存する「人類統合体」の艦隊を制圧すべく、新たに艦隊を再編し、狩人作戦を開始した。いっぽう、狩人第四艦隊に所属する「バースロイル」艦長ラフィールは、艦隊司令長官ビボース提督によってまたも領主代行を命じられ、ジントとともに惑星ロブナス2へと向かった。だがまさかその惑星が…新時代のスペース・オペラ待望の第2巻登場。
かつて一世を風靡したオペラの花形歌手でありながら、今は酒に溺れ場末の酒場で歌うルイーザ。高名な外科医の祖父と優秀な弁護士の姉を持ち、そのコンプレックスゆえに家を飛び出したティーンエイジャーのマーラ。医療の理想と現実の狭間で苦悩する精神科の青年医師ヘクター。そして、駐車場脇の塀から聖母マリアが血の涙を流しているという妄想に取り憑かれたホームレスのマデリン-生まれも育ちもまったく違う四人の孤独な男女が街角で出会う時、シカゴの街を大きな感動で包みこむ奇跡が起こる…。V・I・ウォーショースキー・シリーズで人気のサラ・パレツキーが混迷の世紀末に贈る、愛と奇跡と感動のストーリー。
タイラーは別れた妻から、誘拐された息子ブライアンを取り戻してほしいと頼まれた。だが、息子は生まれて一年とたたないうちに死んだはず。かつて二人がいた狂信的な殺人者集団「ワイル・グループ」が使っていたドラッグのせいで、妻は錯乱状態なのか、それとも…?調査を始めたタイラーは、やがて精神共有作用をもつドラッグにより悪夢と現実の狭間へと踏みこんでいく…。
やっかいなことになった。よりによってダイディータウンのクローン娼婦から、失踪した恋人さがしを依頼されるとは!どんな快楽にも応じる美男美女のクローンが集う街ーそれがダイディータウンだ。いくら美女でも真民がクローンと恋におちるわけがない。とはいえ、女がさしだしたのは本物の金貨だ。で、おれは引き受けた、地球を揺るがすほどの大事件に巻きこまれるとも知らずに…鬼才が放つ傑作SFハードボイルド。
次々と急患が運びこまれるペイシェンス地域病院の救急治療科。そこに勤める女医アビーにとって、毎日が目のまわるほどの忙しさと緊張の連続だった。アビーがこのカリフォルニアの田舎町にきたのは、恋人のジョシュが巨大企業コルスターの工場に再就職したためだ。しかしコルスターに勤務するようになってから、ジョシュは原因不明の頭痛や倦怠感を訴え、ふさぎこむようになった…『沈黙の病棟』につづく医学サスペンス。
ジョシュの病状が悪化していく一方で、救急治療科にも似た症状を訴える患者が運ばれてくるようになった。コルスターの工場が有害物質を廃棄しているのではないかと疑ったアビーは、同僚の医師と調査を開始。しかしコルスターに生活のすべてを依存する町の住民は、さまざまな手段で悪辣な妨害をしかけてきた!ロビン・クックに比肩するベストセラー作家が緊迫感あふれる医療描写と戦慄の結末で読者をうならせる話題作。
香港のある銀行で起きた奇怪な事件に黄線街分署のファイファー主任警部らは頭を抱えた。なんと九人の行員全員が死体で発見されたのだ。死因は毒入りシャンパンを飲んだためと判明。盗まれた物はない。乾杯しながら集団自殺したとでもいうのか?他殺だとしても強盗でないなら、一体誰が何のために?二転三転の展開、爆笑エピソード満載の奇天烈ミステリ。
鋭い嗅覚をもつ、34頭のブラッドハウンドーそれがジョー・ベスの家族だ。彼女は犬たちを追跡犬として訓練し、警察と契約して行方不明者の捜索や麻薬捜査に携わっている。次々と舞いこむ仕事の依頼に追われるなか、亡き父親の遺言の件で弁護士のウェイドがジョー・ベスを訪ねてきた。彼女の父の死後、遺言がずっと執行されないことに疑問を抱いたという。彼女はウェイドと共に不可解な遺言状に絡む謎を密かに探り始めるが…。
もう40年以上まえの話になる。わたしがまだ12歳だった1948年の夏、モンタナ州の小さな町で、一人のインディアン女性が死んだ。彼女の名前はマリー。わたしは、彼女を愛していた…。12歳のデイヴィッドは、どちらかといえば内向的な少年だった。一年じゅう風のやまないモンタナの草原や川を、一人で歩きまわるのが好きだった。ある日のこと、デイヴィッドの家で家政婦として働くマリーが、高熱を出して寝込んでしまう。それが「事件」の発端だった。町の保安官をしているデイヴィッドの父は、自分の兄で医者のフランクを呼ぼうとするが、マリーはそれをかたくなに拒む。フランクは診療にかこつけて、インディアン女性に性的ないたずらを繰り返しているというのだ。動揺したデイヴィッドの父は、保安官として兄の行状を調べはじめるが、そんな矢先、マリーが突然の死を遂げてしまう…。少年の心に深い傷を残した事件を、静謐で透明感あふれる文体と瑞々しい感性で描き出し、読む者の胸に深い感動を刻む、珠玉のアメリカ文学。
謎の怪物フローリーモンスに導かれ、転送機に飛びこんだローダンたちは、いよいよガンヨの帰還を待ち望むガンヤス人世界へと到達した。だが、一行を迎えたのは武装した11人の老人たちだった!かれら、ガンヨ再臨を望んでいるはずのガンヤス指導者は、おのれの権力を護るため、こともあろうにガンヨを亡きものにせんと黒い陰謀をめぐらしていたのだった。期せずして故郷の招かれざる客となったオヴァロンの運命は…。
ニューヨーク市監察院の死体置場から、射殺されたギャングの死体が盗まれた。何者かが検屍解剖を阻止しようとしているらしい。その行方を追う監察医のジャックとローリーは、ギャングが死の数週間前にアフリカで密かに肝臓移植の手術を受けていたことを知り、現地へ飛ぶ。そこで二人が見たものは、最先端バイオテクノロジーが引き起こした想像を絶する光景だった!医学サスペンスの王者が壮大なスケールで放つ傑作巨篇。
夫のジェフに生物学上の息子が?ジェフの息子と主張するその少年は、わたしの人生を大きく変えてしまった。しかも彼は、刑事のジェフに殺人事件の再調査を頼みにきたのだ。妻を殺した後、自殺を遂げた育ての父親の無実を証明してくれという。少年は本当にジェフの息子なのか。不安を抱きながら、わたしは夫とともに真相究明に乗りだすが…新たな展開で贈る、おてんばなアマチュア探偵ジェニー・ケイン・シリーズ第八作。
元テレビ・リポーターのトッド・ミルズは、学生時代の恋人ジャニスと共に奇怪な事件に巻き込まれた。彼女が預かっていた赤ん坊が二人の目の前で、何者かに連れ去られたのだ。彼女はその赤ん坊を息子から密かに預かっていた。トッドは追跡を始めるが、やがて彼の過去の意外な真実が浮かび上がってくる…サスペンス溢れるアメリカ探偵作家クラブ賞候補作。
常ならぬ悪夢にさいなまれた夜、ローズマリーは身ごもった。その時から、彼女の平穏な日々は奇怪な様相を呈しはじめる-巨匠が悪魔崇拝をテーマに、都会に住む現代人の孤独と狂気を描いたモダンホラーの金字塔。
西暦2109年、太陽に接近しつつある未知の小惑星が発見された。その後の観測の結果、怖るべき事実が判明、この天体は八カ月後に地球と衝突するというのだ!そうなれば爆発の被害はもとより、粉塵による太陽光の遮断と硝酸雨のため、地球は今後数十年間居住不能な死の星と化してしまう。この危機に際し、最新鋭の宇宙船「ゴライアス」は特殊任務を命じられ小惑星へと向かったが…巨匠が満を持して放つ迫真の宇宙SF。
オレゴン州の片田舎ウィタカーで公選弁護人を務めるピーター・ヘイルは、数週間前まで父が経営するポートランドの大手法律事務所で働き、経済的にも父の援助で何不自由ない生活を送っていた。ところが、自らの無知と過信が招いたミスで大切な訴訟に惨敗。怒った父から、勘当同然でウィタカー行きを命ぜられたのだった。そんなある日、地元の女子大生が惨殺され、殺人容疑で知的傷害を持つ青年ゲイリーが起訴された。世間の注目を集めるこの裁判を勝利に導けば、莫大な報酬を手にすると同時に、父に自分の実力を認めさせることができる。不純な動機からゲイリーの弁護を引き受けたピーターだったが、天衣無縫な被告の人となりに接するうちに、次第に弁護士としての自覚と誇りに目覚めていく。だが、検察側の態勢は磐石。ピーターは不利な証拠の数々を突き崩すことができるのか!?人間ドラマの魅力とけれんたっぷりのミステリ趣向。“読者を眠らせない作家”マーゴリンがその真骨頂を発揮した疾風怒濤のサスペンス。