出版社 : 早川書房
演劇好きなスーザンはボストン近郊の港町ポート・シティにある著名な地方劇団の理事をしていた。その劇団の責任者で美術監督のクリストフォラスが得体のしれぬ人影に後をつけまわされているらしいのを案じたスーザンは、スペンサーに尾行者の正体を突き止めてほしいと頼み込む。ほかならぬ恋人からの依頼にスペンサーはさっそく現地へ赴くが、町を牛耳る警察署長デスペインや、中国人ギャングたちに締め出されそうになる。そして、スーザンに誘われ一緒に観劇していた最中に、主演男優クレイグ・サンプスンが舞台上で射殺されてしまった。スペンサーは犯人をつきとめるために、劇団の関係者に聞き込みを始める。理事の一人であるリッキイ・ウーに質問すると、彼女は過敏に反応して敵意をむきだしにする。彼女は町のチャイナタウンの顔役ロニイ・ウーの妻で、スペンサーは事件の調査を強引にすすめるためにも、相棒ホークと凄腕のもと悪党ヴィニイ・モリスの協力を求めるのだった…。複雑なプロットと新たな展開でボリューム・アップした、私立探偵スペンサー・シリーズ第21作。
爆発は右前輪の真下で起きた。爆風は運転席を直撃し、彼女をばらばらに吹き飛ばした。助手席のドッグは声をかぎりに悲鳴をあげ、やがて気を失った…。十年前にIRAの爆弾テロで恋人を失い、自らも顔に醜い火傷を負ったドッグ・シセロ警部にとって、今回の誘拐事件は過去の苦い記憶を呼びさますものだった。ロムチャーチで幼児が行方不明となり、捜査の過程でIRAが連れ去ったとの見方が有力となったのだ。子供の父親オリヴァーはIRAのメンバーで組織の資金を持ち逃げした矢先に不審な死を遂げていた。どうやらIRAはオリヴァーの死を偽装工作と考え、子供を囮に彼をおびきだそうとしているらしい。美しい未亡人のジェーンとともに必死の捜索を続けるドッグ。しだいに彼女に心ひかれていった彼は、子供の救出のため仇敵IRAを相手に捨身の勝負に出るが…。冒険サスペンスの名手が、男の孤独な闘いを描く最新作。
紀元一世紀のブリテン島。ローマ軍の侵攻によりケルト諸部族は次々と平定され、いまや島はローマ化の一途をたどろうとしていた。そんななかで、ケルト穏健派の大ドルイド僧の孫娘エイランは、ローマ人の青年士官ガイウスと出会い、恋に落ちた。しかし、対立する民族の血をひくゆえにふたりは結ばれず、エイランは巫女になる道を選ぶが…。滅びんとするケルト人の運命を描き、〈アヴァロンの霧〉の前史をなす三部。
アメリカ南部の都市チャールストンで、戦慄すべき連続殺人事件が発生した。一見何のつながりもない九人の老若男女が殺し合いを繰り広げたのだ。捜査を担当するジェントリー保安官と被害者の娘ナタリーは、訪れた精神科医のソールから驚くべき事実を打ち明けられる。事件には、人の心を自由に操る能力者、マインド・ヴァンパイアが深く関与しているというのだ。ブラム・ストーカー賞をはじめ数々の賞に輝くホラー超大作。
チャールストンの連続殺人は、三人のヴァンパイア同士の反目が原因だった。そのうちの一人、ボーデンはナチの大佐時代、強制収容所で囚人たちを使い、人間チェスに興じたことがあった。その駒として命を落としかけたソールは、大佐追跡に執念を燃やしていたのだ。だが大佐たちを追うものはほかにもいた。世界の要人を操る大富豪バーラントに率いられた別のヴァンパイア集団が、彼らを亡きものにしようと狙っていたのだ。英国幻想文学賞受賞作。
ヴァンパイアが人の心を操るメカニズムを解明したソールとナタリー。彼らは、毎年バーラント一味が彼の島でパーティを開き、人狩りゲームを楽しんでいることをつきとめる。今年はそこに大佐も現われるという。精神コントロールへの対抗策を秘めたソールは、人狩りの獲物になりすまして島に潜入、大佐との対決を試みる。だが大佐の前に引き出された彼を待ち受けていたのは、悪夢の人間チェスだった。超大作ホラー全三巻。ローカス賞受賞。
シングルマザーの再就職にしちゃ悪くないわ。面接の際の奇妙な雰囲気に戸惑いながらも、アンは採用されたことを喜んだ。ところが出社第一日目、社長が殺され、アンにその容疑が。独自に調査を始めると、健康マニアの副社長、オーラ信者の総務係など社員は怪しい人間ばかり。やがて、社長の極秘ディスクを手に事件の謎を追うアンの命が狙われた。急成長するコンピュータソフト会社を舞台に素人探偵アンの推理が冴える。
風刺劇を演じる道化役の男が何者かになぐり殺された。リープホーン警部補直属の部下になったチー巡査は、失踪した少年の行方を追って、たまたまこの事件の現場に居合わせることになった。捜査を始めたリープホーンとチーは、最近起きたもうひとつの殺人事件との間に、わずかな接点を見出すが…。
仕事よりも女遊びに熱心な探偵マクナリーは、百万ドル切手盗難事件の調査に乗出すが…。陽光がまぶしい南フロリダのリゾート地を舞台に、ストーリーテリングの神様が放つ、新シリーズ第一弾。
1926年の冬、黒人たちのシティ。男が女を撃ち殺した。女は18歳の愛人だった。葬儀の日、柩の中の女の顔に、男の妻がナイフで切りかかった。ジャズの即興のように過去、現在、未来を自由に往来しながら、謎の語り手によって明かされる事件の周辺。深遠や愛の物語に木霊する情熱、詩情、そして官能-センセーションを巻き起こした話題作。
異星人にさらわれたと少女は主張する「キラキラと輝くもの」、超能力少女の哀しい恋物語を描き、第25回星雲賞を受賞した「くるぐる使い」、少女に憑いた悪霊とオール・ジャンル・エクソシストが闘う「憑かれたな」、ひとり自分の世界に閉じこもった少年が、毎日、鉛筆の先を尖らせてくらす「春陽綺談」、いじめられっ子が一世一代の人生の大逆転を図る「のの子の復讐ジグジグ」-青春の残酷と、非日常の彼方に見える現代のリアルを描く5短篇を収録する。
3432年、銀河中枢リング部に位置する惑星アンコロートにイワン・イワノヴィッチ・ゴラチンが派遣された。謎のスーパー・ミュータント、リバルド・コレッロの陰謀が進行中との報告がもたらされたのだ。敵の動きを探る双頭のミュータントの前に、やがて正体不明の球型船が出現、コンタクトを求めてくる。だが、呼びかけに応じたゴラチンを迎えたのは、敵戦闘部隊の圧倒的な砲火だった。ゴラチンは必死の反撃を試みるが。
広い宇宙に不運な男は数あれど、メイ船長は特別だった。短気な性格が災いしてか、儲け仕事はすべてフイ。相棒の副操縦士にも裏切られ、辺鄙な惑星にとり残される始末。このまま泣き寝入りしてたまるか!とばかりに酒場で出会った若者デュークを副操縦士に雇い入れ、一攫千金狙って再出発したはいいものの、これがさらなるトラブルニつながろうとは…!?ユーモアSF活劇〈エンジェルズ・ラック〉三部作、堂々の開幕。
探偵稼業を選んだからには、気負わず事件にあたるのが解決への早道だ。それにしても、新年早々、どうしてラマに咬まれなきゃならないんだ。盗まれた羊を探すためだけに、動物園へ来たというのに。犯人は動物園に隣接する森に羊を隠したのか。わたしは森の奥へ踏みこむが、そこには予想もしない麻薬事件が待ち受けていた!ウェスト・コーストの風にジョークを乗せ、自然体で生きる私立探偵ヴィクター・ダニエル初登場。
20世紀末、地球は未知の異星種族の手になる惑星破壊機械の襲来を受けて炎上、壊滅した。べつの異星種族に救出された数千人の人々は、太陽の軌道上の宇宙船に収容されて“銀河法典”の教育を受ける。この法典によれば、破壊機械を送り出してほかの惑星を壊滅させた文明は、みずからもまた滅ぼされなければならないという。地球壊滅から八年後、生存者のなかから選ばれたマーティンら八十五人の子供たちが復讐の旅に出た。
“銀河法典”の定めに従って復讐の旅に出た子供たち。母なる地球の仇敵をもとめる旅を続けること五年、ついに探索チームが破壊機械の発進元と見られる星団を発見した。いよいよ復讐のときだー子供たちは勇躍戦闘機を駆って問題の星団をめざすが、はたしてそこで、本当に地球を壊滅させた文明を発見し滅ぼすことができるのか。俊英ベアが奔放な想像力を駆使して壮大に描くSFスペクタクル。『天空の劫火』続篇登場。
おのれの出自を求める旅の途上でナズュレットがヴェロンニャ国王の命を救ってから五年。彼は、アーリンと名乗り男装して行動を共にしていた幼なじみの男爵令嬢と結ばれ、人里離れた庵でひっそりと暮らしていた。そんなある日、五人の刺客が庵を襲った。ナズュレットを貴族の落胤と知って、その存在を邪魔に思った者が送りこんだらしい。ナズュレットとアーリンは刺客の送り手と対決すべく旅立ったが…。三部作第二弾。
湾岸戦争の戦塵もまだおさまらぬころ、特殊部隊員を乗せた輸送機がサウジを飛び立った。彼らの任務はイラクの研究所を急襲し、恐るべき生物兵器を破壊することだった。ウェスターマン大佐率いる輸送機はイラクに進入、闇をついて砂漠の道路に着陸する。だが、特殊部隊が研究所に突入してみると、生物兵器の容器二つが持ち去られていた。しかも撤収のため飛び立った輸送機を思わぬ事態が襲う。見せ場連続の傑作冒険小説。