出版社 : 早川書房
星界を征服し、あまたの植民星を築いた人類に、災厄がふりかかった。度重なるワープ航法が空間を歪ませ、時空から秩序が失われた結果、大半の植民星が孤立化を余儀なくされたのだ。地球文明と切り離された人々は、やがてみずからの出自も忘れていく…。そうした星の一つ惑星エキドナにひとりの旅人が訪れた。中世さながらの状態にとどまっているエキドナの住民にとって、惑星イガラから訪れた旅人フィオナが語る星の世界の物語は、想像を絶するものだった。そのおりもおり、エキドナに史上最大規模の戦乱が発生した。新鋭が描くSF叙事詩。
フィオナの目的は、自分たちの進んだ科学知識をエキドナにわけ与えて、文明を段階的に進化させ、人類の再統合のいしずえを築くことにあった。だが多くの都市国家に吹き荒れる戦乱と、複雑な階級制度の生み出す権謀術数の渦にまきこまれ、“進化の使者”としての使命達成は困難をきわめた。その反面で彼女は、名誉と誇りを重んじるこの星の文化に心を惹かれていく。そして、心から理解しあえる相手とめぐりあった彼女を、思わぬ陥穽が待ちかまえていた…。大型新人ウィリアムズが、進歩を求めてやまぬ人類の姿を描く雄渾のSFスペクトル巨篇。
大昔の電力施設の廃墟を行くジャンジャンの足の下で何かが、乾いた音をたてて潰れた。それは、有機/無機混合系生物ー通常、“人間”と呼ばれる、ジャンジャンの種族のプラスティックのしゃれこうべだった。だが、ジャンジャンがこの場所に足を踏み入れた目的は、伝説の有機系生物の存在の証拠を求めてなのだった…人類滅亡後に地球の支配者となった種族を描く表題作をはじめ、タイムカプセルに詰め込んだ自社製品の効用を見るため、タイムマシンで未来へ行く男の話「タイムカプセル」など、1988年星雲賞受賞作家が描く傑作SF短篇集。
カルロスの死体から生じた“闇”が再び世界を覆い始めていた。一方、トカゲ・ライダーズの魔手を逃れ、別れ別れになったワニ、クサフリ、マリエらは各々妖女とのあぶない行為や大自然の猛威、謎の美丈夫との恋などを経験しつつ、いつしか無限の深さをもつ大渓谷へ向かう。騎兵隊に追われる尻尾怖いらも加わり、期せずして主要登場人物一同が目指すそこには、惑星を発見した探査船が眠っているという。ついに、この奇妙な惑星の謎が明かされるのか。果たして闇の侵攻を阻止できるのか。愛すべき能天気野郎のシリーズ完結篇。その首尾やいかに?
生物兵器の開発では世界の最先端を行くイギリスのモードン研究所。その実験室に何者かが侵入し、所員を殺害した上、恐るべきウイルス、サタン・バグを奪い去った。このウイルスは微量で全世界を破滅させることができる。これを防ぐワクチンは発見されていない。前警備部長のキャヴェルは内部の犯行と見て、調査を開始。だが不敵な犯人は、研究所を閉鎖しなければ、奪った生物兵器をロンドンで撤くと通告してきた。果たしてキャヴェルは残された時間で犯人の正体を暴き、惨事を阻止できるか?冒険小説の王者が忍び寄る生物兵器の恐怖を描く。
妻の49回目の誕生日に、わたしは妻を殺した。結婚してからひと月とたっていなかった。当年とって28歳のわたしが、20も年上の独身女と結婚したのは、もちろん金が目あてだ。だが、せっかく遺産を手に入れても、自分が捕まってしまっては元も子もない。綿密な計画のもとに、殺人を実行したのだ。そして、すべては順調に進んでいたのだが…。妻殺しをたくらんだ結婚詐欺師の唯一の誤算とは?上記シリア・フレムリンの「最後の土曜日」はじめ、ピーター・ラヴゼイ、パトリシア・ハイスミスら、現代イギリス人気作家10人の傑作書き下つし短篇を収録。
警備会社経営のため、ハザードは全財産を手にテキサスを訪れた。それがトラブルの始まりだった。到着早々別居中の妻の死体を発見したばかりか、殺人容疑までかけられてしまったのだ。これは何者かの罠か?単身事件の謎を追う彼の前に、やがて町のボスの影が浮かび上がるが…灼熱の町を舞台に、暴力を嫌うタフガイの捨身の闘いを描く力作ハードボイルド。
アメリカ海軍の最新鋭ミサイルがテスト中にフロリダ沖で行方不明になったらしい。マイアミ・ヘラルド紙の女性記者キャロル・ドースンは特ダネをスクープするため、証拠を得るべくフロリダで行動を開始する。船をチャーターしたキャロルは見当をつけた場所に船のクルーとともに潜り海底を探すが、そこで見つけたものは沈没船の財宝の一部と思われる金色に輝く不思議な形をした物体だった。だが、彼女たちが持ち帰った物体は沈没船の財宝でもなければ、金でさえもなかった。はたして金色の物体の正体とは?そしてカモフラージュされた珊瑚礁に隠された秘密とは?巨匠クラークがNASAのエンジニアであるジェントリー・リーと組み、今までとは違う新たな境地を拓いた最新長篇。
辺境の森に、忽然と姿を現わした一人の男。鋼鉄の筋肉と燃える眼をもつその男は、しかし、豹頭人身の異形の超戦士であった。自らの過去を知らぬその男グインと人々との出会いが、闘争と激動の運命を展開してゆくことになるとはそのときまだ誰も考えてはいなかった-。現代のロマンの語り手栗本薫が、壮大な構想のもとに繰り広げる大河ロマン。シリーズ開幕を告げる辺境篇が愛蔵版としてここに登場。
深海には恐怖が潜んでいる。暗闇、水圧、奇怪な生き物。だが、それらより遥かに恐ろしいものが、三百年のあいだ海底で眠り続けていた…航空機墜落現場調査班メンバーである心理学者ノーマンは、南太平洋上の米海軍海洋調査艦へ、急遽召集を受けた。三百メートルの海底で正体不明の宇宙船が発見され、しかもサンゴの付着状態から判断して、沈んでから少なくとも三百年の歳月が経過しているという。ノーマンたち科学者チームは、米海軍軍人チームのサポートを受けて、海底居住区で生活しながら宇宙船を調べることになった。この船はいったいどこから来たのか?誰が乗っていたのか?さまざまな謎と格闘するうちに、彼らは宇宙船内で不思議な球体を発見した。ストーリイ・テラー、マイクル・クライトンが放つ、『アンドロメダ病原体』をしのぐ最新サスペンス巨篇。
セーヌ河を見おろすように建っているパリ警視庁の一室では、司法警察刑事部の刑事たちがのんびりとおしゃべりをしていた。メーデーのデモ行進に備えて待機していたのだが、のどかな零囲気をこわすかのようにタンプル通りで殺人事件が発生との報が入った。その頃、内務省では警察の幹部たちが集まり、多発する組織暴力やテロリズムに対抗するため、根本的な対策を練っていた。まず、警察の伝統的な弱点である組織内部の反目を解消し、協力体制を作りあげようと、各部門における人事の交流が打ちだされた。そこで司法警察刑事部にも国土監視局からダニエルという女捜査官が出向、嫌がるバルザックがコンビを組むことになった…。異色チームの活躍をとおして、フランスの警察活動の日常をヴィヴィッドに描く。1988年度パリ警視庁賞に輝くフレンチ・ミステリーのニューウェイヴ。
西暦2024年。世界人口は80億を越え、全世界は食糧不足と国際緊張にあえいでいた。コンピューターによれば人類滅亡の可能性は90パーセント以上。この危機を乗り越えるには、火星に植民するしかない。そこでアメリカは総力をあげて《マン・プラス》計画に挑んだ。苛酷な火星環境に適応させるため、人間をサイボーグ化しようというのだ。サイボーグ第1号は実験中に死亡し、すべては第2号であるロジャー・トラウェイの双肩にかかっていた。だがそのロジャーにも危険信号が…。ポールがサイボーグをテーマに人間と機械の新たな関係を描く力作SF。ネビュラ賞受賞作。
コブラとは、体内にコンピュータとサーボ・モーターを内蔵し、手足にレーザー・ガンやアークスロワーを組みこんだ全身まさに武器庫の超戦士だ。コンピュータと連動する視覚システムでレーザー・ガンの自動照準も可能。サーボ・モーターで高いビルもひとっとび、象ほどもある野獣も一撃で倒してしまう。この驚異的な能力がなければ、人類に突如襲いかかってきたトロフト星人に対抗できないのだ…。恐るべき異星種族と戦うコブラ部隊の活躍を描く戦争アクションSF。
世間知らずのかよわい娘マーラは、常に生命の危機にさらされる権力闘争への道を歩みだした。最終目的は、父と兄を奸計によって死に追いやったミンワナビ家打討。とりあえず強力な後立てを得るため、マーラはアナサティ家の三男ブントカピと契を結んだ。だがこの男、横暴で気が短く、しかも名家の長となったことで酒と女の日々を送るしまつ。やがてブントカピとの間に嫡子を得たマーラは、この能無し夫の殺害を企むが…。好評〈リフトウォー・サーガ〉の世界を舞台設定に、無垢な少女が屈強な男たちを相手に成長していく過程を描いた話題作。
不肖の息子とはよくいったもので、ダウアーは天才発明家だった父の築いた評判を落とすことしか能のない時計職人だった。この出来の悪い男の店に、ある日、黒い肌の怪人物が出現。父の作った得体の知れぬ科学機械を修繕してほしいという。しかし前金として銀貨を置いていったが、これがまた男の容貌にひけを取らぬほど奇妙な代物。あまつさえ、この仕事を引き受けたことから、ダウアーの身辺の奇怪な事件が起こり始めた!霧と煤煙にけぶるヴィクトリア朝の英国を舞台に奇人・怪人・狂人、果ては海底人までが暴れまわるスチームパンクの傑作。
海だらけの惑星ドルロイのキャナリーシティの市長から、高級セックス用ロボット・アクメロイド殺しの犯人捜しの依頼を受け、現地にやってきたユリとケイのダーティペア。そこには、惑星改造の仕事を請負ったクラッシャーたちも惑星二代目総督の招きによって滞在していた。一方、総督の強引なやり方に反発する市民たちの間には不穏な雰囲気が漂っているーそんなこんなで何が起きても不思議じゃない状態のところへダーティペアが突入してしまったからたまらない。その行く先々に破壊と騒動の渦を巻き起こす。
1797年春、スピットヘッド錨地とノア錨地で水兵の反乱が勃発、旗艦艦長となったボライソーも、反乱の余波に巻き込まれた。やがてそれが鎮まると、ボライソーは艦隊と共にファルマスを出帆、ジブラルタルで英国政府の高官を指揮艦に迎え入れた。そこで任務が下されたー北アフリカ沿岸の要衝ジャフォーを占拠せよ!頑迷な提督の下で、ボライソーらは地中海に足場を築く重大な作戦に、決死の覚悟で挑む。だが、行く手には凶悪な海賊、そして強大な西仏連合艦隊との血みどろの死闘が待ち受けていた!圧倒的な迫力で描く入魂のシリーズ第10巻。