出版社 : 早川書房
嵐により陸の孤島となった会員制クラブ。そこに居合わせた私立探偵。密室殺人。古今東西のミステリからの引用……。すべては本格ミステリの舞台として完璧かと思われた。しかしーー。読者を待ち受けるものは困惑か狂喜か。これはミステリなのか、それとも……
娘の結婚式に出席するため、スウェーデン北部に向かうミカエル。しかし、町の有力者の結婚相手には好ましくない噂が付きまとっていた。そして、田舎町に潜んでいた陰謀が凄惨な暴力となって噴出したとき、彼とリスベットは再会を果たす。人気シリーズ再始動!
天然資源に満ちた自然豊かなスウェーデン北部。建設予定の風力発電所の利権を我がものにしようと画策するマルキュス・ブランコは、ガスカス町長ヘンリィ・サロの秘密をつかんで脅迫する。ミカエルもまた、義理の息子となるサロにどこか後ろ暗い面があると感じていた。彼はさりげなく調査を始める。リスベットは、13歳の姪スヴァラと徐々に距離を縮めていく。しかし、スヴァラは何者かに狙われているようだった。失踪した母親が組織犯罪に関係していたことが理由なのだろうか?リスベットは母親を探し出すと決意するが…。そして、ペニラとサロの結婚式の日、町で蠢いていた陰謀が凄惨な暴力となって噴出するー。人気シリーズ再始動!ページを繰る手が止まらないスリルに満ちた展開。あの二人が帰ってきた!
皇帝暗殺まで残り七日。宿敵・梁興甫との交戦によって分断された皇太子一行は、陸路と水路に分かれて北京を目指す。追手の猛攻はさらに激しくなり、次々と倒れていく仲間たち。逃亡先で皇太子は敵対している白蓮教徒の男とであい、衝撃の真実を告げられる……
1942年、ドイツ占領下フランス。小さな田舎町モンタルジにも、ユダヤ人一斉検挙の波が押し寄せていた。同じ町に住むコルマン三姉妹とカミンスキ三姉妹が本当の姉妹のように仲を深めたのは、両親を検挙された後だった。その友情は、何年も続いていく“時の宮殿”のように思われた。この先に強制収容所が待っているとは、彼女たちには想像できなかったからー。写真、おままごと道具、生き残った者たちの証言。残された物や記憶から、現代を生きる著者が、姉妹たちの人生の物語を描き出す。第2回日本の学生が選ぶゴンクール賞を受賞し、普遍性に富む歴史小説として高い評価を得た傑作長篇。
1980年、ミシシッピ州。サルベージダイバーのボビーは深海に沈んだ飛行機に潜るが、それ以降、周囲に不穏な影が見え隠れしはじめる。亡き妹への思いを心の奥底に抱えたまま、彼は広大で無情な世界をさまようが……。アメリカ文学の巨匠が描く喪失と受容の物語
1972年。二十歳の数学者アリシアは、自ら望んで精神科病棟へ入院した。医師に問われるままに彼女は語りはじめるーー数学と死に魅せられた自身の人生、原爆の開発チームにいた父、早世した母、そして最愛の兄ボビー。静かな対話から、孤高の魂の痛みが浮かび上がる
2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに提案されたことだった。
ヴィクトリア朝バース。病を抱えながらも小さな切り絵店を営むアグネスに、不穏な影が迫る。彼女に肖像画を依頼した客が次々と謎の死を遂げているのだ。真相解明のためアグネスが縋ったのは、11歳の霊媒師パールだった。降霊会を繰り返す彼女を待つ運命とはーー
子どもは、兵士として、玩具として、搾取され続けたーー7歳のカラマの住むリベリアの村をゲリラが襲った。少女兵士に拉致されて仲間になり、生きるために今度は自分が他の村を襲う。そこで天使の歌声をもつ少年と出逢い、カラマは残酷な"搾取"に直面し……
十五世紀の中国、明の時代。北京から南京に遣わされた皇太子は爆発による襲撃に襲われる。さらに北京にいる皇帝も命を狙われていることを知った皇太子は、幾度と襲い掛かってくる刺客から逃れつつ、南京から北京へ向かう幾千里にもわたる決死行が始まるーー!
ぼくはローマから高速鉄道“フレッチャロッサ(赤い矢)”に乗ってモデナへと向かっている。多額の借金を返済すべく、イタリア人物理学者の回顧録のゴーストライターをしていたけれど、失踪してしまった彼をさがし出すために。車中でぼくは思い出すー画家として失敗し、まぐれ当たりで作家になった日々、第二作が全く書けない苦痛、カリフォルニアでの幻覚剤療法。そして、物理学者の回顧録はこう始まるー“時間は起点と終点のある一本線ではない。さまざまな先端を持つ一本の矢なのだ”。自身も最初の詩集で高評価を受けた作家が、自信喪失の作家の苦悩をユーモアを交えながら描き出す、デビュー長篇にして傑作。
ジョーが221bに帰ると、同居人の半電脳探偵シャーリーが珍しく慌てている。なんとジョーは8カ月前に結婚して221bを出ていたというのだ。だが、ジョーには結婚の記憶がなかった。まもなく、ジョーと同じように記憶にない求婚をしたという依頼人が現れて……!
スペイン、カタルーニャ州の田舎町テラ・アルタ。町いちばんの富豪であるアデル美術印刷の社長夫妻が、惨殺された。夫妻は見るも無残な状態で血だまりの中に横たわっており、激しい拷問の末に殺されていた。獄中でユゴーの『レ・ミゼラブル』と出会い、犯罪から足を洗い警察官となったメルチョールが事件の捜査に当たるが、彼は想像だにしない地獄へと引きずり込まれていくことになる…。正義と悪とは何かという根源的な問いを突き付ける、英国推理作家協会賞最優秀翻訳小説賞受賞のスペイン・ミステリの傑作。
地球の環境問題が深刻なのに、個人的な不妊治療で悩む僕。逃げるように参加した気候変動会議で会った物理学者とは、世界の終末に逃げるならタスマニアだと話した。そして僕は、何かに駆られて広島と長崎ヘ取材に来た。『コロナの時代の僕ら』の著者、新作小説
非情な運命を乗り越えてきた転生令嬢カレン。新皇帝ライナルトとの挙式を控えたある日、異形の少女によばれて辿り着いたのは、それまで過ごした世界とは似て非なる場所。転生人としてのカレンが存在しなかったifの平行世界だったー大切な人たちのいる元の世界へ戻るため、カレンの新たな冒険が始まる!書籍特典として書き下ろし短篇×2本収録。
“魔女”が死んだ。都市から離れた村で、外界と隔絶していた魔女。鉄格子のある家にこもり、誰も本当の名を知らない。村人から恐れられつつ、秘かに頼られてもいた。困窮する女たちの悩みを聞き、様々な薬をあたえ、堕胎の手助けをしていたのだ。莫大な遺産があるという噂もあった。魔女は殺された。暴力が吹き荒れるこの村の誰かに。魔女の家の前にいた男たちを目撃したジェセニア、その徒弟で麻薬常習者のルイスミとその悪友ブランド、売春宿を営むチャベラとその夫ムンラ、継父の性虐待から逃れてきた少女ノルマ…。村の人びとの言葉が導く、あまりに悲痛な真実とはー。荒々しくも詩的な言葉で暴力の根源に迫り、世界の文学界に強烈な衝撃をあたえたメキシコの新鋭の傑作。ブッカー国際賞最終候補、全米図書賞翻訳文学部門候補、文学ジャーナリスト賞(メキシコ)受賞、アンナ・ゼーガース賞(ドイツ)受賞、国際文学賞(ドイツ)受賞。
あたしは、世界の本当の姿を知りたい。 1936年、旧弊な日本を抜け出し、仏印ハノイで地理学を学ぶことになった鞠。三人の男との出会いが、彼女に植民地や戦争の非情な現実を突きつける。運命に翻弄されながらも強くあろうとする鞠の人生の行き着く先は──。 第13回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。