出版社 : 朝日新聞出版
見知らぬ男に嫁ぐ17歳の冬の朝、母となりながらも出口の見えない夫との地獄、家を去り河川敷での創作にすべてを委ねた繚乱の日々、妻子ある男への消し尽くせない情念の炎、夫の死、愛を勝ち得た58歳の新妻の旅立ちー。激しさと優しさが織りなす新子川柳の世界のすべてを晒す、渾身の半生記。
夜も更けた大都会のあちこちに男と女の見果てぬ夢が咲き乱れ、やがて最期を迎えたクレオパトラの嘆きのように空しさだけがわだかまる。そして、稀代の色事師カサノバのため息にも似た底知れぬ幻滅の嵐が心の中に吹き荒れるー豪奢なひとときと蠱惑的なまざさしが交錯する愛のつづれ織り51篇。
十九世紀末、日本の琉球処分に反発、清国に支援を求めて海を渡った男たちがいた。福州琉球館を舞台に、憂国の思いに燃える彼らを待っていたのは…。歴史の波に翻弄されながらも、時代に立ち向かう琉球人の群像。
幕末、15のときに江戸は芝大門・惣兵衛親分の若い衆になって10年、渡世の義理をつとめてきたツブテの歌吉は、乗った船が難波して大海を漂っているところをアメリカの船に救助された。再び、渡世の義理を果たすべく、大西部をさすらいつつ絶世の美女を探しまわる挙銃無宿・歌吉の破天荒な冒険譚。
けがれなき悲しい存在ー。飽食の象徴、残パンを食べて育ち、やがて飽食の世界に連れ戻される豚たち。都市の近郊で畜産業を営む祖父とともに豚と暮らしてきたロック青年の六平と、変貌する街を見ながら「景色が壊れていく」と呟く家出少女・うさぎ…。ふたりの無垢な魂の彷徨を描く青春小説。
大正14年12月21日、鶴見に建設予定の火力発電所の下請分担をめぐり、清水組と間組との関係が悪化。急を聞いた大阪はじめ各地の稼業人が次々と上京、ついに千人を超える男たちが激突した日本最大の喧嘩となる…。関係者の証言、資料をもとに克明に再現したノンフィクション・ノベル。
モーゼル銃数梃と猟銃数十梃がいっせいに火をふいた。砂まじりの烈風が吹きつけてくるような散弾のあらしにまじって、ヒューン、ヒュッ、と挙銃弾。白鉢巻や白襷の男たちの怒号が飛びかい、白刃が交差し、血飛沫が舞う…。千人を超える血気の男たちがくりひろげる乱闘、死闘の顛末は…。
スペイン内戦で外人部隊に身を投じた日本人義勇兵ギジェルモ・サトウ。その足跡を追う特報部記者龍門二郎に仕組まれた戦慄の罠とペンダントの謎…非情の運命に翻弄される男と女の愛の相剋を描いて感動を呼ぶ冒険ミステリの巨編。
パリのスキャンダル!アヴァンギャルドの法王ソレルスは、ついにあらゆる壁を突破した。ビッグバンから女の秘密まで、いまや彼の言葉には、ありとあらゆるものを表現する魔力があたえられた。ソレルスの新小説の前には、すべてのポストモダン小説は青ざめ、現代哲学は色を失なう。フランスで話題のベストセラー小説。