出版社 : 朝日新聞出版
慶長五年(一六〇〇)夏ー。徳川家康と石田三成の対立は決定的となり、一触即発の様相を呈していた。反徳川の急先鋒である上杉景勝を討つべく家康は会津に向かう。利にさとい伊達政宗は伊達家の将来を家康に賭け、秀吉に愛娘・駒姫を処刑された最上義光も東軍へ与する。上杉家の重臣・直江兼続は、豊臣秀吉の恩顧に報いるべく、三成に呼応して西軍の旗を掲げる。やがて、“東北の関ケ原”とも呼ぶべき大合戦の時が近づいていた…。伊達政宗、直江兼続、最上義光という奥羽を代表する三人の武将の視点で、関ケ原合戦とほぼ同時におきていた奥羽の争乱をダイナミックに描く書き下ろし長篇歴史小説。
幸せな日常を断ち切られ、親に棄てられた女子高生たち。ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。かけがえのない魂を傷めながらも、三人の少女は酷薄な大人たちの世界をしなやかに踏み越えていく。最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を物語に結実させた著者の新たな代表作。
中国が尖閣諸島を不法占拠した。国内では軍事力に訴える声が高まり、対話路線の阿川内閣は総辞職、新たに柘植友里恵が総理大臣となる。彼女は積極外交を訴え、米国との「極秘文書」を公開しようとする。だが、ホワイトハウス、日本の政治家、スパイたちの思惑が絡み合い…。
杉下右京は東大法学部時代に知り合った動物写真家・パトリシアに招かれて、アラスカを訪れる。雄大な風景に惹かれる右京だったが、人食い熊による事件が頻発していることを知る。やがて熊も射殺され、誰もが一件落着かと思ったが、右京は不審な点に気づいて…。
新米巡査・柿田亮は、自分が警察官に向いているのか悩みつつも、異動先の機動隊で激しい訓練を受けていた。そんな柿田に、ハイジャックなど凶悪事件を解決する特殊急襲部隊『SAT』入隊の声がかかる。若い警察官の成長を書く、著者の警察小説新境地!
15年前の殺人を特命係に暴かれて逮捕された“閣下”こと北条晴臣。5億円の保釈金を払い、優雅に暮らす彼は、誕生パーティーに右京と薫を招待した。その場で美女との結婚を発表し、上機嫌の北条だったが、翌日、屋敷内で胸に剣の刺さった秘書が発見され…。右京が閣下の裏の意図を暴く!
大学生・池田の自宅アパートの郵便受けに投げ込まれた600万円の札束。それを警察に届け出た日を境に、彼の周りでは、次々と不測の事態が発生する。右京と薫は現金の出所を探すが、その金を巡る殺人事件まで発生し…。頭脳明晰な右京と冷静沈着な犯人との戦いが始まる!
放課後の教室でナオトが落とした一冊のノートを拾ったのは、同級生の天才映画監督・ハル。彼女はそこに書かれたマンガのネームを見て、言った。これをわたしに撮らせてほしい。創作者としてぶつかり合いつつ、ナオトは徐々にハルに惹かれていく。しかしー涙とサプライズのせつない青春小説。
恋の悩みを抱えたまま、被災地の寺に入った新米僧侶の懊悩と逡巡。ブッダの弟子になった気弱で明るい青年は、仲間と共にフクシマでどう生きるのか。福島県に住む僧侶作家が7年を経て放つ書き下ろし長篇。
彼/彼女らの人生は重なり、つながる。隠された“因果律”の鍵を握るのは、一体誰なのかー章を追うごとに出来事の“意味”が反転しながら結ばれていく。数十年にわたる歳月をミステリーに結晶化した長編小説。
限られた時の中で、彼らは互いを思い遣り、慈しみ、精一杯自分たちの命を生きたーもうこの世に存在しない祖父と、ぼくはかつて不思議な旅をした。そこで語られた少年と少女の切ない純愛の物語。なぜふたりは引き離されなければいけなかったんだろう?
病の宣告、就職内定後の不安、子どもの反発…様々な悩みを抱え、彼らは北海道へひとり旅をする。その旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。そして本当の結末とは。あなたの「今」を動かす、力強い物語。
南北戦争がはじまって、インディアナの農場で暮らす主婦コンスタンスは男のふりをして戦争に参加する。訥々とした女語りの雄弁さ、死と痛みに浸された世界、色彩たっぷりの自然描写、静かで容赦ない声。ポール・オースターが絶賛した長篇を柴田元幸の見事な訳でおくる。
突然の爆発による壊滅から、奇跡の復興を遂げた超近代化都市“聖華街”。そこに設立された聖華女学園には、仮面を使って巨大な人型兵器を操る少女たちが集められていた。その一人、沢村未来は、己の内に宿った黒い力に抗いつつ、仲間と共に運命に挑んでいく…。「聖刻」新シリーズ第1弾!
立てこもり犯が連れてくるよう要求した女性は、既に3週間前に自殺していたことが判明。籠城事件を起こした犯人の本当の狙いを探りあてた右京が、亘とともに巨悪に挑む「声なき者」、初老男性の凄惨な監禁現場を映し世間を騒がせている投稿動画は虚構なのか犯罪なのか、特命係が鋭く切りこむ「ラストワーク」など5篇を収録。連続ドラマ第15シーズンの第13話〜第18話。
「明治の五大監獄」を造ったおれのじいさん、山下啓次郎。そこから始まるルーツ探しは、幕末明治の薩摩魂しゃばどび大騒ぎ。ローヤも造れば国も造る、時空を超えた大ジャムセッション、轟くは三十一億五千三百六十万秒の霹靂!-文壇をも席捲した超絶小説。幕末明治のヒーロー全員集結!西郷が叩き、大久保が弾き、川路が吹きまくる怒涛のセッション、明治国家はこうして生まれた。超ド級展開、伝説的傑作小説が奇跡の復活。
指定暴力団員の家宅捜索で発見された有毒な絶滅危惧生物。女刑事の星野美咲と、生物学者兼獣医の相棒・鷹木晴人が販売ルートを追う中、事件関係者が相次いで不審な死を遂げる。二人は、遺留品のハンカチに残った未知の血液に着目するが…。書き下ろしシリーズ第二弾!書き下ろし。
小さな動物や虫と話ができる幼稚園児の拓人の目に映る、カラフルでみずみずしい世界。ためらいなく恋人との時間を優先させる父と、思い煩いながら待ちつづける母のもと、しっかり者の姉に守られながら、拓人は大人たちの穏やかでない日常を冒険する。
産業廃棄物処理場で発見された死体は、組織犯罪対策五課長・角田の中学時代の同級生だった。角田の意を汲み、特命係がその親友の死の真相に迫る「あとぴん〜角田課長の告白」、唯一の目撃者である警視庁副総監の愛娘への聴取を禁じられ、解決の糸口が見えない殺人事件を解きほぐしていく「アンタッチャブル」など6篇を収録。(連続ドラマ第15シーズンの第7話〜第12話を収録)