出版社 : 東京図書出版
古本屋で拾った謎の紙きれをヒントに、藪田は「自分を成長させる方法」を発見した。自分を成長させるには、ターニングポイントを先取りすることだと判断し、財前と積極的に付き合っていく。しかし、性格の合わない蕪木に何かと彼女の学級の問題を相談される。本来なら断るところだが、何事も乗り越えなければ、成長はないと、藪田はターニングポイントを信じて前向きに取り組んでいく。考え方を変え、行動を変え、習慣を変え、余裕を作った藪田だが、選んだ山に思わぬ落とし穴が…。
不登校の遥香は、リビングの本棚の片隅で一冊の汚れた本を見つけた……『アンネの日記』。 そして、それが不思議なできごとの始まりだった。 遥香が閉じこもる狭い部屋に、アンネ・フランクたちが突然現れる。そして強引に住み着いていく。 アンネたちはここで奇跡を待つのだと言う。当惑し混乱し反発する遥香。だが、やがて遥香とアンネとのあいだに深い友情が芽生えていく。遥香の心が動き出す……。 心揺さぶるファンタジー小説。
あれから…結婚、出産。少しずつ成長していく美奈と俊夫。日々の暮らし、夫婦の心情、友情を描く。女目線と男目線でストーリーは展開。平凡な暮らしだが、小さな心のすれ違い、葛藤、喜びは誰でも経験する。そして、また大人になっていく。明るい明日へ向かって。
「金色の鯉」 血と運命──。 昭和に起こった事件を小説化!! 闇夜の中を走る夜汽車のように、何ものかに手招きをされるように、自分の意思とは裏腹に蟻地獄の中へと吸い込まれて行く。 千鶴はスター俳優宮田の愛人だった。惚れた男吉井との間にできた子供を、宮田の子だと偽り、金を搾りとる。宮田は精神に異常をきたしながらも大スターの座につくが、力尽きて自らの命を絶つ。次々に事件が起き、千鶴は逃亡する。最後に行きついたのは吉井の生まれ故郷、北陸の地だった。事故死していた吉井の母親、脳溢血で倒れ廃人同様となった元ジャズ歌手京子の介護をしながら、千鶴は幸せに暮らす。知る由も無かったが、京子は、父親郷田輝生の元妻だった。ある日偶然千鶴の太腿の刺青を見た京子は興奮した。それは郷田の背中にあった「金色の鯉」の刺青であった。 「昭和の温もり N大闘争に翻弄された男たちの生き様」 〈二作収録〉 金色の鯉 昭和の温もり
矢沢陽介の人生は、49年間さまざまな縁に導かれてきた。彼の平穏な日常を変えたのが、従弟・加藤聡の失踪であった。聡は旧友を訪ね滋賀県大津市に立ち寄り、琵琶湖花火大会の当日に行方不明となる。矢沢は、聡の父である叔父の加藤に代わり、聡の捜索を始めることになる。
17歳で見習いに入った東野は、料理界の頂点に君臨する野望を持つようになる。その夢を支えたのは4人の女達だった。昭和の高度成長期を経て、平成・令和と料理に情熱を貫き通した一人の料理人の生き様を描いた私小説。
日本で初めて作業療法士によって書かれた本格的抒情小説。激動のミャンマーを舞台に地域と病院でリハビリに奮闘する日本人作業療法士の一途な愛の行方。混迷極まるミャンマー。その地で身を捧げ、至高の愛に生きた日本人青年とミャンマー人女性の美しくも、切ない物語。
安曇野のきびしい自然環境の中で生きる若者たちと、双体の道祖神の始まりの物語。信濃(長野県)には男女の神様が寄り添う双体の道祖神像が約3000基あります。その像は男女が並んで互いに肩に手をやり、他の手もお互いに握り合っている微笑ましい姿をしていて、道の脇などに祀られています。
白隠と並び称される誠拙周樗。不世出の名僧と母との心の葛藤を描いた感動作。禅僧として最高位に上り詰めた誠拙周樗は七歳のとき小僧に出された。最愛の母に捨てられたものと思っていた彼は、母の死後、それが苦渋の選択であったことを知った。母の辛い気持ちを顧みることが無かった吾身を深く恥じて後悔。そして懺悔の旅に出た。
この報告は、人の悩める心を丹念に調査し書き記した実録である。それは現代という鏡に映し出された風雲急を告げる社会情勢の下、心に積もり重なったやり切れない寂寥を抱えて身動きが取れない多勢に代わって、坑道を下りて行き、生と死の境界附近を前進後退し足元を歩測し、我が身の処し方にもがき苦しみ懸命に生きようとする姿を活写した物語である。