出版社 : 東京書籍
五木寛之の二大恋愛小説がここに甦る。 『燃える秋』 五木文学最高の恋愛小説と呼ばれる『燃える秋』。祇園祭の京都から灼熱のペルシャへ。男たちの愛のささやきに揺れるヒロイン亜希は、自らの生き方をもとめて灼熱のペルシャを彷徨う。市場の片隅で出会う老女と幼女が、亜希の人生を紡いでいく。ペルシャ絨毯が織り成す、愛の幻と旅立ちの物語。 映画化もされた空前の大ヒット作。 映画音楽は、作詞:五木寛之、作曲:武満徹。本書では貴重な楽譜も掲載。 対談解説は、幻冬舎社長の見城徹。なぜ、見城徹なのか。幻冬舎の名付け親はたしかに五木寛之だが、それは理由ではない。いやむしろ、『燃える秋』の解説は見城徹以外には考えられなかった。なぜなら、見城徹こそが、角川書店時代に「野性時代」誌において『燃える秋』を生み出したからであった。 見城徹の熱狂と、五木寛之の優しさが出会うことによって『燃える秋』は誕生した。 そのいきさつは、是非、本書の対談解説で味わっていただきたい。 『冬のひまわり』 同時収録の『冬のひまわり』。これも五木文学における代表的な恋愛小説だ。夏の鈴鹿サーキット「8時間耐久レース」。レーサーたちは、ただひたすらにゴールを目指し続け、その先に海が見えることを知らない。観客席のスタンドの外れには、海が見える唯一の場所がある。ヒロイン麻子は、16歳の時にふとしたことで、この海の見える場所で青年と出会う。忘れられない初恋、胸の感触。以来、二人は何年も何年も、鈴鹿サーキットの度に、レーサーではなく、海を見に逢瀬を重ねていく。サーキットの轟音の中の静かな波の音。恋愛小説屈指の名場面であり、この場所には記念碑が立てられたという。 やがて20年の歳月をえて、麻子は決断を迫られる。 鈴鹿サーキットが織り成す、愛の幻と旅立ちの物語。 『冬のひまわり』という象徴的なタイトルは何を意味するのか。それは最後の1行を読むことではじめてわかる。
五木寛之テーマ別作品集、第4弾! 近代化のひずみが生んだ恐怖と悲哀。ヒッピーと大麻、人間を襲う黒い鳩の群れ、子守唄に隠された悲劇など、この世はミステリアス! 巻末には、桐野夏生との対談解説を収録。 【収録作品】 『天使の墓場』(1967年) 隠蔽された飛行機事故の恐るべき真相とは! 『悪い夏 悪い旅』(1970年) ヒッピーと大麻をめぐる冒険譚 『赤い桜の森』(1969年) 真っ赤な花咲く群落に潜む怨念と恐怖 『鳩を撃つ』(1971年) 狂暴化した鳩が異常発生して市民を襲う 『陽ノ影村の一族』(1976年) 「てんてるぼうず」に隠された一族の哀しみ
五木寛之のテーマ別作品集、第3弾! 第3巻目は、【異国ロマンス集】として、ソ連の国境地帯カレリアの哀しみ、ソフィアの村に残されたロシアイコン(聖像画)など、戦争と革命、民族の哀愁を伝える歴史ロマン小説6篇を収録。 巻末には、四方田犬彦との対談解説を掲載。 【収録作品】 『霧のカレリア』(1967年) かつてフィンランドとソ連の国境地帯であったカレリア。領土を奪われた民族の哀しみと誇り。 『ソフィアの秋』(1968年) ブルガリアの首都ソフィアの村に残されたロシアイコン(聖像画)をめぐるロマンと幻想。 『夏の恐れ』(1967年) ノルウェー娘のジュリーはムンクの〈叫び〉に死の戦慄を覚える。ドイツに抵抗した家族の悲哀。 『赤い広場の女』(1967年) 美貌のウクライナ娘は、なぜ未来を捨てたのか。ドイツの占領がもたらした6歳の少女の悲劇。 『白夜のオルフェ』(1966年) 米軍基地の黒人下士官の血を引く少年と、誇り高きスウェーデン娘との純愛がもたらした結末は? 『ローマ午前零時』(1969年) 五月革命の混乱の中、私はCM祭での入賞を狙っていた。しかし私には、メーデー事件の過去があった。
五木寛之、初のテーマ別作品集、待望の第2弾! 第2巻目は、【音楽小説名作集】として、衝撃のデビュー作『さらばモスクワ愚連隊』の他、ジャズやファドなどをテーマとした、時代を越えた名作の数々を収録。 巻末には、マイク・モラスキーとの対談解説を掲載。 【収録作品】 『さらばモスクワ愚連隊』(1966.6) モスクワの裏通りを舞台に不良少年たちが奏でる奇跡のジャズ演奏。境涯をこえた音楽の本質に迫った鮮烈なデビュー作。 小説現代新人賞受賞作 『海を見ていたジョニー』(1967.4) 音楽は人間だ。ジャズ的とは人間的なことだ。黒人兵ジョニーの戦慄のピアノ演奏。 『老兵たちの合唱』(1968.1) ニューオリンズの黒人ジャズバンドによる日本公演。平均年齢68歳の奇跡の演奏。 『われはうたへど』(1969.8) 日陰の道を歩む老作詞家。依怙地な男には戦意高揚歌を作っていた過去があった。 『帝国陸軍喇叭集』(1970.1) 途方に暮れる音楽ディレクター。とある店で目撃した陸軍喇叭に命運をかける。 『暗いはしけ』(1971.10) ポルトガル リスボン。ファドの歌い手との運命的な出会いと別れの衝撃的結末。 【対談解説】(50頁) 五木寛之 vs. マイク・モラスキー 戦後のジャズ文化を中心に五木作品と異質性について語り合う。 マイク・モラスキー 早稲田大学国際教養学部教授、66歳、専攻は日本文化研究、ジャズ研究
時代が今、五木寛之に追いついた!現代のロシア問題、日韓問題に迫る驚くべき陰謀の結末は?著者初のテーマ別作品集、刊行開始!
新しい日本を世界に示した日本万国博を発案、実現。石油問題に警鐘を鳴らし、「団塊の世代」を命名した。予測/歴史小説家、評論家、経済企画庁長官として、著者の卓越した思考と行動は、常に時代を牽引してきた。団塊の世代の2028年までを描く『団塊の秋』と、多彩な半生とその時代を語り尽くした自伝。『堺屋太一著作集』全18巻、堂々完結!
組織が死に至る原因は三つある。機能体の共同体化、環境への過剰反応、成功体験への埋没。『組織の盛衰』は、今日の組織の病巣を鋭く照射し、健全化への道筋を解く。『日本を創った12人』は、聖徳太子から松下幸之助まで、現代日本の原型を創った人物を通して、日本の針路を示す、「堺屋日本史」の精髄。
「これから社会は大きく変わる」という人は多いが、「こう変わる」という人は少ない。しかし、著者が社会を解く流儀は常に明確だ。『知価革命』はポスト工業社会の核となる「知価」を明示し、『日本とは何か』は風土と歴史から日本の原理を解明した。各国で翻訳されて大反響を呼んだ2作品を収録。知の開拓者・堺屋太一に目を開かれる快感を!
明治の日本は74年目、昭和16年に太平洋戦争に突入。20世紀末、著者は戦後74年目、平成30年の日本の姿を探った。データ分析から導き出されたのは、「何もしなかった日本」。作中では、現状突破のために政治家と官僚たちが奮闘、「天下分け目の改革合戦」が始まる。現実の日本はどうか!?選択の、その先を示唆する予測小説の快作。
アジア北方の草原に生まれたテムジン(チンギス・ハン)。族長の父を亡くし、一族は滅亡の淵にまで追いやられる。中世的身分社会の冷酷さに懊悩するテムジンを救ったのは、冒険心と己の才能によって生き抜く多国籍の人々だった。「人間に差別なし、地上に国境なし」。獲得した思想を信念とし、テムジンは遊牧民の皇帝に就く。
中華の大国を破り、中東のホラズム帝国を制して、ついにユーラシアに覇を唱えたチンギス・ハン。なぜただの征服者でなく、世界の創造者に飛躍できたのか。脱・部族階級社会と絶対王制を支えた策を解き明かす。「天尽き地果てるとも、わが志は止まぬ。時移り、人代わるとも、この想を継げ」の最期の言葉に至る道。
幕府開府から約100年を経た元禄時代。華やかな貨幣経済が、社会を変えようとしていた。武士や農民は疲弊し、大商人が勃興する。赤穂では、藩財政の再建のため塩業改革に乗り出すが、これが三州吉良の塩と競合し、「事件」の導火線となる。経済の視座によって「峠の時代」を描き出す歴史巨篇。
勅使饗応役・浅野内匠頭vs.指南役・吉良上野介。確執はついに、殿中での刃傷事件に及んだ。主家断絶の激震に、大石内蔵助は討入りを決断する。その本懐を遂げた時、仇討ちの46人を「義士」と讃え、不参加の者を「不義士」と糾弾する世論の非情。幕府、浪士、吉良家、そして世論が織りなす「堺屋版忠臣蔵」。
秀吉の弟であり、最も古くからの家臣でもあり、家臣として最大の領地と最高の階位を得た男。だが、豊臣秀長は、なぜか語られずに来た。巨大化する豊臣家臣団をまとめ、厳格な情報管理体制を敷き、その上、鋭い財政感覚と蓄財能力を持った「補佐役」。秀吉という光を支える影に徹した一生を描く名作。
太閤秀吉亡き後、家康は当然、天下を狙う。しかし秀吉は、幼君・秀頼を守るため「組織と法規」を設けていた。それを楯に取り、三成は家康と敵対する。生き残りを賭ける諸将を取り込み、一介の役人・三成は、いかにして天下分け目の「関ヶ原」を創造し得たのか。圧倒的に斬新な歴史ドラマを今、堪能したい。
太閤秀吉死去から関ヶ原の合戦まで765日。この間、徳川家康の天下を阻み続けた男、石田三成。一役人に過ぎない三成が、大実力者・家康とわたり合い、国を二分する勢力を成すことができたのはなぜか。綿密な史料分析を礎として、凄烈な戦国の世を鮮やかに描き出す。巨編、完結。