出版社 : 汲古書院
【本書の特色】 ◎原文の雰囲気を可能な限り自然な日本語に移すことを目指した。 ◎底本は、完全な本文を残す最古本「容與堂本」(中国国家図書館所蔵)を使用。「容與堂本」本文に問題がある場合は、注釈において指摘し、他本の本文を採用した。 ◎本文は原則新字を使用。注釈であげる書名は繁体字(正字)、引用は伝統詩文については繁体字、『水滸伝』本文を含む白話文学については、原文の用字をできるかぎり正確に再現した。 ◎「容與堂本」・「金聖歎本」に附された批評は、中国・日本文学に与えた影響を鑑み全文を翻訳。 ◎主要版本間の異同を原則として全て示し、異同が生じた原因についても可能な限り考察を加えている。 詳注全訳水滸伝 第六巻 第三十四回 鎮三山 大いに青州道を閙がし 霹靂火 夜瓦礫場を走る 第三十五回 石将軍 村店に書を寄せ 小李広 梁山に雁を射る 第三十六回 梁山泊に呉用 戴宗を挙げ 掲陽嶺に宋江 李俊に逢う 題三十七回 没遮攔 及時雨を追趕し 船火児 夜潯陽江を閙がす 第三十八回 及時雨 神行太保に会い 黒旋風 浪裏白跳と闘う 第三十九回 潯陽楼に宋江 反詩を吟じ 梁山泊に戴宗 假信を伝う 第四十回 梁山泊の好漢 法場を劫し 白龍廟に英雄 小聚義す
巻一 王浪仙 僧如勝 左都監 許提刑 夏氏骰子 治挑生法 挑氣法 南豐知縣 金陵邸 巻二 鄒家犬 張敦夢醫 管樞密 小孤廟 富池廟 濟南王生 海鹽道人 二鼈哦詩 張通判 孫士道 潮州孕婦 張注夢 劉道昌 李家遇仙丹 劉三娘 興國獄卒 丘氏豕禍 宣城死婦 白沙驛鬼 李元禮 巻三 武師亮 王通判僕妻 雲林山 孫光祿 江致平 嵩山竹林寺 陸仲擧 洛中怪獸 翁起予 胡大夫 窗櫺小婦 韶州東驛 海門鹽場 揚州醉人 海門主簿 南豐主簿 謝花六 巻四 孫五哥 司命府丞 劉士彦 蒋濟馬 皁衣髽婦 沅州秀才 徳清樹妖 郭簽判女 鎭江酒庫 胡教授母 戴世榮 京西田中蛇 建昌井中魚 王立火鹿鴨 巻五 三士問相 陳通判女 四眼狗 師逸來生債 張一償債 呉輝妻妾 句容人 荊山莊甕 員家犬 威懷廟神 靈泉鬼魋 魚病豆瘡 石臼湖螭龍 陳才輔 張琴童 巻六 和州毛人 王文卿相 奢侈報 陳元輿 高氏飢蟲 翁吉師 陳墓杉木 永寧莊牛 犬齧緑袍人 葉徳孚 茅山道人 泉州楊客 僧化犬賦 張翁殺蠶 巻七 戴樓門宅 林氏壻婢 王厚蘿蔔 天台玉蟾蜍 濟州逆馬 南京龜蛇 秉國大夫 朱勝私印 大渾王 張氏獄 湯史二相 荊山客邸 夏二娘 華陰小廳子 武昌州宅 大庾疑訟 巻八 華陽洞門 雷撃王四 南豐雷媼 泥中人跡 宜黄人相船 頬瘤巨虱 胡道士 趙監廟 亂漢道人 和旨樓 呉僧伽 何丞相 鼎州汲婦 瑞雲雀 巻九 太原意娘 許道壽 滕明之 西池游 舒懋育鰍鱓 陳媳婦 河東鄭屠 張顏承節 龍澤陳永年 錢塘潮 陝西劉生 要二逆報 巻一〇 トウ城巫 徐樓臺 符助教 水陽陸醫 秦楚材 建康頭陀 洞元先生 天門授事 大洪山跛虎 張臺卿詞 新建獄 潮州象 劉左武 『夷堅志』のテキストについて(田渕欣也) 索引
第五巻 第五回配本(2024年1月刊) 第二十七回 母夜叉 孟州道に人肉を売り 武都頭 十字坡に張青と遭う 第二十八回 松武 威もて安平寨を鎮め 施恩 義もて快活林を奪う 第二十九回 施恩 重ねて孟州道に覇たり 武松 酔いて蔣門神を打つ 第三十回 施恩 三たび死囚牢に入り 武松 大いに飛雲浦を鬧(さわ)がす 第三十一回 張都監 血は鴛鴦楼に濺ぎ 武行者 夜蜈蚣嶺を走る 第三十二回 武行者 酔うて孔亮を打ち 錦毛虎 義もて宋江を釈す 第三十三回 宋江 夜小鰲山を看(み) 花榮 大いに清風寨を鬧(さわ)がす
【「あとがき」より】(抜粋) 本書の関心は、漢詩文が我が国の文化におよぼした影響であり、あるいは逆に我が国の逸話を表現するときには中華の何になぞらえられたかである。第一部はその典型的な例として楠正成を詠んだ漢詩を取り上げ、また「正気歌」という作品が江戸漢詩にあたえた影響を明らかにした。 第二部では、まず第二章で取り上げた室鳩巣に関連して、同時代の越中や紀州、播州明石など日本の各地で花開いた日本漢文学について検討をくわえた。さらに琉球の文化に漢詩文のあたえた影響についても明らかにした。 第三部では藤原道長・蒙古襲来・戦国武将などにまつわる我が国の逸話を、江戸漢詩がいかに中華風にえがいたかを中心に論じた。 第四部は、初めに第三部を受ける形で、西洋の逸話を詠んだ漢詩文を紹介した。さらに、江戸漢詩に関係する現代文学や、漢詩文の影響を受けた近代文学について論じた。
【本書の特色】 ◎原文の雰囲気を可能な限り自然な日本語に移すことを目指した。 ◎底本は、完全な本文を残す最古本「容與堂本」(中国国家図書館所蔵)を使用。「容與堂本」本文に問題がある場合は、注釈において指摘し、他本の本文を採用した。 ◎本文は原則新字を使用。注釈であげる書名は繁体字(正字)、引用は伝統詩文については繁体字、『水滸伝』本文を含む白話文学については、原文の用字をできるかぎり正確に再現した。 ◎「容與堂本」・「金聖歎本」に附された批評は、中国・日本文学に与えた影響を鑑み全文を翻訳。 ◎主要版本間の異同を原則として全て示し、異同が生じた原因についても可能な限り考察を加えている。 第四巻 第四回配本(2023年6月刊) 第二十一回 虔(とりもち)婆(ばばあ) 酔いて唐牛児を打ち 宋江 怒りて閻婆惜を殺す 第二十二回 閻婆 大いに鄆城県を鬧(さわ)がせ 朱㒰 義もて宋公明を釈(ゆる)す 第二十三回 横海郡に柴進 賓をとどめ 景陽岡に武松 虎を打つ 第二十四回 王婆 賄(まいない)を貪りて風情(いろこい)を説き 鄆哥 不忿(いか)りて茶肆を鬧(さわ)がす 第二十五回 王婆 計もて西門慶を啜(そそのか)し 淫婦 薬もて武大郎を鴆(ちん)す 第二十六回 鄆哥 大いに授官庁を鬧(さわ)がせ 武松 闘いて西門慶を殺す
大沼枕山(文化15年〈1818〉?明治24年〈1891〉)は幕末・明治初期の江戸・東京において活躍 した漢詩人である。枕山は、漢詩人であった大沼竹渓のもとに生まれ、菊池五山ら、江戸の大家のも とで頭角を現し、処女詩集『房山集』を刊行して以降、幕末維新期の漢詩壇を牽引した。 枕山は、とくに小説家の永井荷風との関係から特別な関心を集めてきた詩人である。荷風の外祖父 は儒学者の鷲津毅堂であるが、この毅堂の祖父鷲津松隠と、枕山の父竹渓とは、同じ鷲津幽林を父と する兄弟であった。遠戚でもある枕山に対して、荷風は強い共感を示し、大正13年(1924)に枕山 の半生を描いた「下谷のはなし」を雑誌『女性』に連載、後にこれを増補改稿し、『下谷叢話』(春陽 堂、大正15年〈1926〉)や『改訂 下谷叢話』(冨山房、昭和14〈1939〉年)などの作品を発表し た。荷風に取り上げられたことにより、枕山は、漢文学研究者からだけではなく、近代文学研究者か らも注目される存在となり、様々な考察が重ねられてきた。 この枕山には、研究対象として、もう一つ興味深い特徴がある。それは、彼の生涯をたどるための 資料がきわめて多いという点である。著名な文人であった枕山の手になる稿本や書幅、書翰は各所に 残るが、とくに、枕山の娘嘉年とその夫鶴林、彼らの娘婿である楠荘三郎をはじめとする枕山の遺族 によって、大量の資料の整理と保存が行なわれてきた。近年、枕山の玄孫である大沼千早氏より、こ うした大沼家に伝えられてきた資料のうち、枕山・鶴林宛の書翰などが国立国会図書館に、また、枕 山・鶴林・楠荘三郎の三代にわたる書籍、稿本、書幅、印などが二松学舎大学に寄贈された。これに より、枕山と彼の子孫については、その動向が、より詳細に分かるようになった。 本書は、大沼枕山の漢詩や永井荷風の『下谷叢話』、さらには大沼家の状況や彼らを取り巻く文化 や社会の動きについて考察した論考十篇と、二松学舎大学に寄贈された資料の目録によって構成され ている。枕山の漢詩はどのように評価し得るのか、新たな資料は、枕山や大沼家の理解に何をもたら すのか、近年の大正期の文学研究を踏まえた場合、『下谷叢話』はどのように読み解くことができるの か、本書は、これらの問題に対して新たな知見を示し、従来の枕山研究や、漢文と近代との関係をめ ぐる認識に、更新をもたらそうとするものである。
第三巻 第三回配本(2022年7月刊行) 第十四回 赤髪鬼 酔いて霊官殿に臥し 晁天王 義を東渓村に認む 第十五回 呉学究 三阮を説きて撞籌(なかまいり)させ 公孫勝 七星に応じて聚義す 第十六回 楊志 金銀担を押送し 呉用 智もて生辰綱を取る 第十七回 花和尚 単(ひと)り二龍山を打ち 青面獣 双(ふた)りながらに宝珠寺を奪う 第十八回 美髯公 智もて挿翅虎を穏(なだ)め 宋公明 私(ひそ)かに晁天王を放つ 第十九回 林冲 水寨に大いに併火(なかまわれ)し 晁蓋 梁山に小(やや)泊を奪う 第二十回 梁山泊に義士 晁蓋を尊び 鄆城県に月夜 劉唐を走らす
第二巻 第二回配本(2022年4月刊) 第七回 花和尚 倒(さかさ)に垂楊柳を抜き 豹子頭 誤りて白虎堂に入る 第八回 林教頭 滄州の道に刺配され 魯智深 大いに野猪林を鬧(さわ)がす 第九回 柴進 門に天下の客を招き 林冲 棒もて洪教頭を打つ 第十回 林教頭 風雪山神廟 陸虞候 火もて草料場を焼く 第十一回 朱貴 水亭に号箭を施し 林冲 雪夜梁山に上る 第十二回 梁山泊に林冲落草し 汴京城に楊志刀を売る 第十三回 急先鋒 東郭に功を争い 青面獣 北京に武を闘わす
序 章 第一部 『水滸傳』 第一章 『水滸傳』諸本考 一、『水滸傳』本文校勘作業の意義 二、金聖歎本の底本 三、容與堂本・無窮會藏本・遺香堂本・百二十回本の關係 四、嘉靖本 五、嘉靖本と容與堂本・無窮會藏本・百二十回本 六、容與堂系諸本ーー三つの「容與堂本」と四知館本ーー 七、『水滸傳』テキストの展開 第二章 『水滸傳』石渠閣補刻本本文の研究 一、石渠閣補刻本に關わる從來の議論 二、石渠閣補刻本の性格 三、石渠閣補刻本の補刻部分 四、石渠閣補刻本の本文 五、石渠閣補刻本と他の版本の關係 六、石渠閣補刻本(京都大學文學研究科圖書館藏本)の價値 第三章 『水滸傳』本文の研究ーー文學的側面についてーー 一、『水滸傳』本文の繼承關係 二、本文の變化から何を明らかにしようとするのか 三、『水滸傳』本文の變遷(一)韻文の問題 四、『水滸傳』本文の變遷(二)文面の問題 第四章 『水滸傳』本文の研究ーー「表記」についてーー 一、白話文とは 二、「表記」の問題とは 三、表記の模索(一)--新たな文字ーー 四、表記の模索(二)--適切な表記へーー 五、表記の模索(三)--文法的機能に卽應した書き分けーー (1)liについて (2)「的」と「得」について 六、結び 第五章 金聖歎本『水滸傳』考 一、金聖歎本について 二、金聖歎は何を行ったのか 三、金聖歎による本文改變1--どのような部分を改變したのかーー 四、金聖歎による本文改變2--改變内容ーー 第二部 『金瓶梅』 第六章 『金瓶梅』成立考 一、『金瓶梅』の特異性 二、『金瓶梅』は何を描こうとしているのか 三、『金瓶梅』創作の目的 四、『金瓶梅』に登場する人々 五、『金瓶梅』と「北虜南倭」 六、『金瓶梅』の作者 終 章 あとがき 索引