出版社 : 河出書房新社
結婚は免疫システムによるマッチング、日々の運動量の報告義務、犯罪の物的証拠は体内に埋め込まれたチップやDNA…国家による究極の健康監視システム“メトーデ”に、罪を着せられて自殺した弟の遺志を継いで挑む!近未来サイエンス・ディストピア小説。
20世紀初頭の南アフリカ。異人種間の結婚や性交が禁じられていた時代。白人と褐色の肌の人々が生きる隔絶された空間で事態は推移する。石と太陽で造られた屋敷の仄暗い廊下では、昼も夜も時計が時を刻む。孤独で不美人な未婚の娘マグダ、農場を支配する厳格な父、使用人ヘンドリックと美しく幼い花嫁、不在の兄。肩の上に一気に手斧が振りあげられ、ライフル銃の薬莢が足元で音を立てる。やがて屋敷の秩序は失われ、暴力と欲望が結びつく…。ノーベル賞作家が、検閲の網をかいくぐり、植民地社会の歴史と制度への批判をこめて織りあげた幻視的長篇。新訳決定版!!!
「夢のなかで責任がはじまる」という一作の短編により鮮烈な登場を果たすや、ウラジーミル・ナボコフ、T.S.エリオットらにその鋭い才能を絶賛され、20世紀アメリカ文学史上に一条の軌跡を残した伝説的作家デルモア・シュワルツ。サリンジャー、チーヴァー、フィッツジェラルドの系譜に連なる、若者たちの焦りと輝きをクールな筆致で捉えた「新世代の代弁者」、待望の本邦初作品集。
13歳のアニエスは作家として華々しくデビューするが、本当の作者は親友のファビエンヌ。小説を書くという二人の「遊び」は、周囲を巻き込み思わぬ方向にー。2023年度PEN/フォークナー賞受賞作。
「友おじさん、どうして人は色とかお金とかに目がくらむの?」「人はいつだって、今の人生をとにかく変えたいと思ってるからだよ。」目に見えないものが見える中学生のキヨカと、近所に住む友おじさんの、ささやかだけれど大切な連帯。暮らしの哲学が詰まった最新長編!
妻の球子は俺を庇って骨折ばかりする。俺も球子を守りたくて夫婦で“守りバトル”に没頭する。ある日、勤め先に俺が会社の金を横領していると電話が入りー。-「ほどける骨折り球子」。無名モデルのキヌは、映画の撮影で粗雑な扱いを受ける中で、女の幽霊が見えるようになり…。「見えない存在」にされてきたふたりが革命を起こす!-「存在よ!」。“奇想天外、だけど愛おしい。不均衡な関係性に縛られた心を解き放つ傑作!
愛おしいのに、疎ましい。かけがえのない「他人」のあの子。死んだはずの親友が四年ぶりに現れて、もつれはじめる友情ー。大型新人、鮮烈なデビュー作!「わたしというものは、いなかったらばそっちのほうがよかったな」死んだはずの親友・朝日からかかってきた一本の電話。時子はずっと会いたかった彼女との再会を喜ぶが、「住所ない」と話す朝日を自宅に招くと、いつしか家に住み着いてー。第171回芥川賞候補作。
僕らは進む。この闇の、向こう側へー。豪華完全版。青春サスペンスの傑作小説+初掲載スピンオフ+人気声優による朗読の最高峰。
今、すべてが生まれ変わりつつあった。若者の目覚め、主婦におとずれた啓示、少女の運命、出口を求める老婆ー。日本翻訳大賞受賞『星の時』の著者でありウルフ、カフカ、ジョイスらと並ぶ20世紀の巨匠、死後約40年を経て世界に衝撃を与えた短篇群。
コロナ禍の観光都市・京都に冥官“小野篁”が出現。ラーメン、フルーツサンド、京都水族館に金閣寺と、ご当地グルメに観光名所を堪能する道中、“紫式部”“二島由紀夫”て合流。巨大オオサンショウウオに先導されて着いた劇場では、閻魔大王像がマスクを求めて暴走、七千台のタクシーが蝟集、獄卒の牛頭シェパードと馬頭コリーがコーラスを熱唱し、地獄の修学旅行列車が爆走。そして閻魔の業鏡には、人類史開闢以来の死屍累々の罪業が映し出されていた…。
スポーツ記者の直生は、栄神タイガースの抑えのエース宮城峻太朗に絶大な信頼を置かれている。ある日、直生は宮城がメジャーへ挑戦することを知らされる。その挑戦を喜ぶと同時に、少しだけ羨ましく思う直生。いつか自分も独立して海外で取材がしたい…彼には二人の娘がいるのだが、次女の奏が自閉スペクトラム症で、子育てを妻の栞に任せっきりだった。そんな中、奏が怪我をして入院することに。緊張の糸が切れたように崩れ落ちる栞を前に、直生は何一つ声をかけることができない。深まる溝、先の見えない未来。後悔の中、彼は思う。そもそも自分は、なぜ、この仕事を選んだのか…すると、中学時代に出会った先輩・佐々倉美琴の姿が脳裏に浮かんできた。いま、小さな再生の物語が幕を開ける。
彼らはなぜ人を殺すのか。人の心を蝕むのは、悪意か、愛か。渋谷爆弾テロ事件から3年。「哀しいな」「え?私、幸せですよ?」「知ってるよ。俺は、それが哀しいんだ」ベストセラー『And so this is Xmas』、『Change the World』そして…三部作、堂々の完結。
マコはお絵描きが大好きな小学四年生。ある日、土手沿いに、屋根の上に巨大な足形の鉄のオブジェをのせた風変わりな家を見つける。森のような庭には、あちこちに不思議な彫刻が見え隠れし、美しい葡萄の彫刻の門には、看板がかかっていてーそこは、美術教室だった。話題の画家、蟹江杏がおくる初小説!
友達なし、恋人なし、お金もなし。コロナ禍で家から出られない一人暮らしの大学生・瀬戸杏奈。ある晩、彼女に伝説のハリウッドスターから電話がかかってきてー!?ふたりの女性の孤独が時を超えてマジカルに交錯する、運命突破系青春小説!
19世紀末アメリカ。死を求める魔女は、処刑用電気椅子を用いたショーに臨む。(「ニューヨークの魔女」)。子育て体験キットを育てることになった同性カップルの(非)日常。(「私のつまと、私のはは」)。その夏の日、女性は電信柱と激しい恋に落ちた。(「電信柱より」)。大戦のさなかに出会ったふたりの少女をつないだものは嘘だったー。(「嘘つき姫」)。新鋭・坂崎かおるが紡ぐ、珠玉の9篇。