出版社 : 河出書房新社
ごめんわたしふつうがわからないの…恋人の鯖江君と別れたわたしは、預言者のおばさんと出会う。彼女が空に投げた音符が奏でるのは「未来の曲」。しかし、その暗く濁ったメロディは、戦争の始まりを告げる「国民保護サイレン」だった…。震災以後の、ふつうがなくなってしまった世界で、あのころより見えるものがあるー不穏に揺らぎながら、美しく輝く七つの“生”に寄り添う傑作短篇集。
美しい金髪女子中学生の誘拐事件、誕生前から仲違いしてきた双子の兄弟、赤ん坊を見守るネコの魔力、腕利きの美容整形医がはまる悪夢のような現実…。ミステリ/ホラー/ファンタジーの垣根を超えて心の暗闇と現実の歪みを描き、近年ノーベル文学賞の候補と目されるアメリカ女性作家の自選中短篇傑作集。
文化大革命の嵐が吹き荒れるなか、血気盛んな人民解放軍の若者・高愛軍は、故郷の貧村・程崗鎮に復員し、美しき人妻・夏紅梅とともに革命を志す。中国古来の価値観が残る村は、対日抗戦の殊勲者たる名家の人々が支配していたが、現状に不満を抱く若者たちを煽動して革命委員会を樹立し、村幹部を追放し実権を掌握していく。アメリカ帝国主義、ソ連修正主義に囲まれ、世界的な反中国の逆流のなか、マルクス、レーニン、スターリン、毛沢東ら、革命の聖人たちを奉じ、愛情の力で邁進する二人。やがて二人は愛軍が掘った「愛のトンネル」を通って夜な夜な逢瀬を重ねることとなる。近年ノーベル文学賞の候補と目される最重要作家による、セックスと革命、血と涙と笑いが交錯するドタバタ狂想讃歌!!
ベテラン刑事・野村は少女誘拐事案の捜査を任された。その手口から、当初は営利目的の稚拙な犯行と思われたが、犯人の意外な手口に捜査は難航。それでも、逮捕寸前まで追いつめたのだが、そこで犯人の足跡が忽然と消失。野村の脳裏に、ある事件との因縁が駆け巡るー。愚かな犯罪は、更なる巨悪の序章に過ぎないのか?最後に笑うヤツはいったい…!?
月の地下交通トンネル、火星の与圧ドーム、水星の射出軌条、木星の浮遊工場…太陽系の開発現場で前例のない事故が起こるとき、最悪の危機を回避するために知恵と勇気で立ち向かう現場の技術者たち。驚愕のラストが待つ、宇宙土木シリーズ全七編。表題作で第45回星雲賞日本短編部門を受賞。
「英語ができると後でいいことがある」幼い頃から繰り返し母親に、テレビに、先生に、広告によって刷り込まれた言葉。そう、英語は彼女を違う世界に連れて行ってくれる「魔法」のはずだった…わたしたちはこんなにも奇妙な世界に住んでいる!社会に溢れた「幻想」に溺れる私たちに一縷の希望を照らす話題作、待望の文庫化!
作家の津野田が入院した病室に幽霊が出るという。役人の横領・心中事件でかつぎ込まれた女性のそれだという。そこから汚職事件の謎が浮かび上がり、石毛警部は捜査の足を東北・北海道にまで伸ばす。地道な捜査、豊富なトリック。事件の背後の“闇”に田名網警部らは辿り着けるのか。楠田匡介の本格ミステリの最高傑作、初の文庫化!
ケンブリッジ周辺で次々と発生する奇怪な事件に巻き込まれたリチャードは、旧友の私立探偵ダーク・ジェントリーに助けを求める。「あらゆる謎を万物の関連性から解きほぐす」と豪語するうさんくさすぎる探偵が調査に向かった先は!?『銀河ヒッチハイク・ガイド』のダグラス・アダムスが生んだ傑作、抱腹絶倒の奇想ミステリー。
74歳、ひとり暮らしの桃子さん。夫に死なれ、子どもとは疎遠。新たな「老いの境地」を描いた感動作!圧倒的自由!賑やかな孤独!63歳・史上最年長受賞、渾身のデビュー作!第54回文藝賞受賞作。
葬送儀礼の研究に人生を捧げる美人大学院生・鬼木場あまね。一方、彼女の指導教員である民族学教授・福満は、行き詰まった研究の代わりに、結婚に活路を見出そうと婚活に励んでいた。ある日、あまねの秘密を知った福満は、彼女を結婚相手として急に意識するように。そんな中、二人はある殺人事件の葬儀に参加することになり…。
「もしかしたら有り得たかもしれないもう一つの人生、そのことを考えなかった日は一日もありませんでしたー」一九七〇年、大阪万博を舞台に叶わなかった恋とその後の二〇数年。恋の痛みと人生の重みを描く、究極のラブストーリー。涙を誘った大ベストセラー。
映画界のスター・北岡早馬と再婚し、幸せの絶頂にいた伊津子だったが、北岡家の面々は数ヶ月前謎の死を遂げた先妻・貴緒のことが忘れられず、屋敷にも彼女の存在がいまだに色濃く残っていた。そんなある夜、伊津子を歓迎する宴の最中に悲劇が起こる。そして新たな死体が…。傑作ミステリ遂に復刊!