出版社 : 河出書房新社
最後の地球人と地球の支配者イルカの邂逅「イルカは笑う」、倒産した日本国が遺した大いなる希望「ガラスの地球を救え!」、ゾンビ対料理人「屍者の定食」、失われた奇跡の歌声が響く「歌姫のくちびる」…感動・恐怖・笑い・脱力、ときに壮大、ときに身近な12の名短編。日本人よ、これが田中啓文だ!
『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をテーマとして、7人の作家が紡いだ、傑作ミステリー。殺人、強盗、ホラー、パロディ、ユーモア…謎解きと言葉遊びに彩られた迷宮館へようこそ。
自分の才能に無限の可能性を見出しながらも、本当の自分を理解されないもどかしさに苦悶する。家庭環境のため、深い孤独を心に抱きながら水泳に没頭する主人公・川瀬は、あるきっかけから友人の誕生日のパーティに呼ばれる。そこで出会った北原佳津子に惹かれていくのだが…恋愛・友情・出会い・別れ、苦悩、古びない“青春”がそこにある。1965年、東京オリンピックの翌年。吉祥寺を舞台にどこまでも純粋な物語が幕を開けるー
冬の寒空の下、北ドイツの農場主レスマンは、薄い服を身にまとって逃げてきた若い女を匿い、追っ手の男たちを銃で追い払う。一方、チェルノブイリ原発の立入禁止区域“ゾーン”で暮らす女性ヴァレンティナは、行方不明の娘カテリーナのために自らの思い出をノートに綴りはじめる。そして、ウクライナ警察の警部レオニードは、姿を消した若い女たちを追ってはるばるドイツに旅立つ。1930年代の大祖国戦争から、社会主義大革命、第二次大戦中の忌まわしい出来事、チェルノブイリの輝かしい日々…。戦争と原発の暗い記憶を抱えて生きる人々を描く文芸ミステリ。
震災後、恋人とうまく付き合えなくなったみゆき。仮設住宅で父と二人で暮らす彼女は、役所勤めのかたわら、東京でデリヘルを始める。話題の映画監督の初小説。
都内の大学を卒業し、特に夢もなく起業でもしようと漠然と考えていた瑛介は、バリバリの広告マンだった父が突然会社を休み始めたことをきっかけに、唯一家族との記憶の残る小笠原諸島への移住を提案。やがて父母とともに小笠原に渡った瑛介は、ツアーガイドの涼太や同い年の里彩たちと出会い、ある夢を見つけていくー。
すべてがうまくいかないとき料理にまさるものはない。ローズは105歳のいまも現役で厨房に立つスーパーおばあちゃん。8歳のとき、アルメニア人大虐殺で家族を皆殺しにされて以来、殺戮の20世紀を、美貌と料理の才を武器に生き抜いてきたーフランスで大ベストセラー!
キャロル永遠の名作、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を味わうための、アリス研究四〇年の著者による完全ガイド。シーンごとのわかりやすい解説と、テニエルの美しい挿絵で、アリスの魅力をあますところなく解き明かす。オリジナル「ワンダーランドマップ」と年譜「ルイスキャロルとその時代」を収録した、アリス入門の決定版。
不可解な異動で、新宿署組対課勤務となった雪平にかかってきた一本の電話。危険ドラッグ常習者によって外務省職員が轢き逃げされたその事件には、あまりにも多くの謎が残されていた。新宿署の杜撰な捜査。杳として行方が知れないもうひとりの被害者。奇妙な行動をとる新任署長。韓国から来た男。やがて、真相に迫る雪平とかけがえのない仲間に悲劇が襲いかかるー仲間への思いを胸に海を渡った雪平を待つ哀切な真相とは?歳を重ね、左腕が麻痺し、もはや「捜査一課検挙率No.1」ではなくなった一人の刑事・雪平夏見が、シリーズ最大の闇に挑む!
葬送儀礼に魅せられた美人助手・鬼木場あまねと、柳田國男オタクの民俗学教授・福間が繰り広げる「葬送学」ミステリ。各地の葬儀を巡るあまねが、ある日の葬儀で殺人事件に遭遇する…。
伏木商店街は一見、どこの街にもあるような駅前の商店街。でも、おいしい洋食屋や、腕のいい靴屋にまじって、特別仕上げで運気アップのクリーニング屋(「クリーニングの柴田」)や、持ち主がいなくなった“時”を預かる時計屋(「間下時計舗」)、思い出が蘇るメンチボールを揚げる肉屋(「塚田精肉店」)もあるし、倦怠期の夫婦が仲直りするオツな映画館もある(「シネマエウレカ」)。看板犬ならぬ、看板怪獣だっている(「三ツ谷煙草店」)。迷いこんだら抜けられない、魅惑の商店街にようこそー。星新一を継ぐショートショートの名手が贈る31の物語。
太平洋戦争末期、海軍報道班員として南洋にやってきた画家松久三十郎は、アラフラ海を枕に活躍する補給船員の山吉船長、カムロー、どん助と出会う。彼らと、軍人、兵隊との交情。そして、故国へ帰り、慰問の便りの縁で若い女性と会う。やがて、再び戦地へ。報道班員を経験した十蘭だから書けた、最高の“戦争小説”が初めて文庫に。
百鬼夜行の都は今、盗賊が跋扈し、陰陽師が名を高めていた。京に上った若侍、大伴の次郎信親は叔母の忘れ形見、萩姫を恋慕う。だが萩姫は一夜を契った男、安麻呂が忘れられない。笛師の娘、楓は次郎を一途に思う。錯綜する男女の思惑。命を懸けた恋の行方は…今昔物語に材をとった王朝ロマンの名作。
一人の女子大生が毒を飲んだ。自殺か、他殺か、あるいは事故なのか。事件に関わった当時高校生の三人の若者は、その後の長い人生を毒に少しずつ冒されるように壊されていくー凍えるような孤独と温かな優しさを同時に秘めたイーユン・リーの新作長編。