出版社 : 河出書房新社
結婚式を控えて、従兄の賢治と久しぶりに再会した直子。しかし彼は、かつて快楽のすべてを教わった、直子の初めての男でもあったー。挙式までの五日間、理性と身体に刻まれた記憶の狭間で、ふたたび過去へと戻っていくふたり。出口の見えない、いとこ同士の行きつく先は?恋愛小説の名手・白石一文が描く、極限の愛。
友人、猫やカラス、家、夢、記憶、文章の欠片…日常の中、唐突に訪れる小説の断片たちー。「日々のあるとき、小説はふーっと私の胸を通り抜けてゆく」ページを開くと、目の前に小説が溢れ出す!これは、断片か長篇か?保坂和志によって奏でられる小説の即興演奏。あなたは世界に、そして生に秘密はあるか。
アインシュタイン、フォン・ノイマン、ゲーデル、ハイゼンベルク、シュレーディンガー…実在するノーベル賞級科学者たちが織りなすタピスリー。ヒトラー暗殺計画、不確定性原理、ナチスの核開発、ゲーム理論、聖杯伝説など、政治と科学と愛と欲望が入り乱れる。ラテンアメリカ新世代の旗手による最高傑作、ついに刊行!!
ねえ、四号室の山本さんって、何者なの…アパート、演芸場、深夜の山奥、ドーナッツショップ、学校、警察病院、喫茶店、裏路地、K駅にある村…いつかあなたは「それ」に出会う。モダン・ホラーの鬼才が描く、9つの恐怖ー
沈没する船、不吉な山老人、海の大蛇、空飛ぶクジラ、巨大な化け猫、燃え上がる建物。聖女リータに捧げられた幻の奉納画とはー虚実が分かちがたく絡み合った物語世界を、ペンと絵筆によってあらわしたブッツァーティ最後の傑作。
世界は言葉の拘束衣を着ている、詩はその綻びか。 活字ではなく浮世に生きる詩と詩人を描いて新鮮。 ーー谷川俊太郎 ほんとうの意味でかわいい人しか出てこない、 ほんとうの意味できれいな物語です。 ーー吉本ばなな
お前は運命を信じるか? --組織によって選ばれた「社会的要人」の弱みを人工的に作る女、ユリカ。ある日、彼女は出会ってしまった、最悪の男に。世界中で翻訳・絶賛されたベストセラー『掏摸(スリ)』の兄妹編!
片手のない、孤児の少年「そばかす」は、木材会社の支配人に見込まれ、リンバロストの森で番人として働きはじめた。厳しい仕事にも耐え、鳥たちを愛でるそばかすは、人々の心を溶かしていく。そんなある日、森に富豪の娘エンゼルがやってきた…。翻訳者・村岡花子が特別に大事にした少年小説の傑作。
ポルトガル・サラザール独裁政権下で姿を消した、謎の女イザベル。『インド夜想曲』『遠い水平線』の著者が遺した最後のミステリ 姿を消したひとりの女性の軌跡を辿りながら、語り部の現実と幻想の糸で織りなされる彩り豊かな曼荼羅の中を、私たちは旅をする。--ヤマザキマリ(漫画家)
新興宗教団体「宇宙神瞠会」が極秘裏にすすめている“ハルマゲドン”計画。ある日、大学進学のために上京していた妹の未来を訪ねた設楽は、妹が知らぬ間に教団信者になっていたと知り愕然とする。必死の説得も届かず、教団にのめり込む未来。妹を人質にとられた設楽と海月は、最悪の無差別テロを阻止し、未来を救うことができるのか!?
自殺未遂をしたと噂される、小中学校時代の女友達。興味本位で病室を訪れた私は、彼女が自宅のバルコニーから飛び降りた驚きの真相を聞く…表題作のほか、「おとな」「トイレの懺悔室」「人生ゲーム」を収めた、綿矢りさによる世にも奇妙な物語。
日本近代が、国民国家を確立させるために、制外の民としてのイメージを担わされた賎民たち。文学は、側面から、その作業に抵抗し、「国民」の実像を追う。そのことがまた、彼ら彼女らの、支配を潔しとしない無頼の人生をいきいきと描きだし、ロマンをかきたてる。田山花袋、岡本綺堂、小栗風葉、椋鳩十ら十名の、傑作読み物集。
深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由はー東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。
意地の悪さが痛快な、イギリスのブラックユーモアの女王が贈る、奇妙な家族の物語。映画監督のトムは、撮影中の大事故で瀕死の重傷を負った。九死に一生を得て現場に復帰するも、ままならぬことばかり。タイトルは二転三転、製作陣からは横槍が。得意なはずの女優たちの扱いにも手こずる始末。そんななか、トムの次女が失踪した。まったくかわいげのない娘ではあるが心配だ。金目当ての誘拐か、有名人の父親に反抗しての蒸発か。行方がつかめぬまま、今度はトムの知人が銃撃され…現実が見えない男とドライな女たちの滑稽な駆け引き。
日本を蝕む危険ドラッグの「すぐ先の世界」がここにある!世界中ですでに起こっていること、そ凄まじい現実を描いた、『死都ゴモラ』の著者による待望のノンフィクション・ノヴェル!
氷の大槌が肉機械を生者に変えた。 妄想と暴力で編まれたソ連/ロシアの20世紀が、カルトの半生としていま鮮やかに蘇る。傑作!--東浩紀 おソローキン!! おそロシア!! ソローキンは氷のハンマーで私の心臓を打った。 ーー池澤春菜
1931年夏、日本人監督の近藤兵太郎率いる嘉義農林学校野球部員たちは、あこがれの甲子園の舞台に立っていた。守りの日本人、打撃の台湾人(漢人)、そして俊足揃いの台湾原住民ー三つの民族からなる混成チームは近藤から授かった“不屈の精神”を武器につぎつぎと勝ち上がっていく。そして、超満員の観衆が見守る中、決勝戦のサイレンが鳴ったー。