出版社 : 河出書房新社
2000年に起こった原子力潜水艦クルスクの事故の乗組員118名は、なぜ見殺しにされたのか?スターリン時代からプーチンの治世へと綿々と続くロシアという暗い闇に翻弄される人々のドラマを描き、不可解な事故の謎をえぐる衝撃のノンフィクション・ノヴェル。
時は明治初年、新しい国のかたちが定まらないころ。四人の若者が、マグマのような熱い情熱と石清水のような清冽な理念を胸に、この国の未来を創ろうともがいていた。わずか数年前、新政府軍と幕府軍に分かれて戦っていた彼らが、なぜアメリカに渡ったのか、なぜ日本で大学を創ろうとしたのか。時代が人を産み、人が新しい国を育てる。本書は壮大なボーイズ・ビー・アンビシャスの物語である。
越後の虎・上杉謙信の薫陶を受け、その後継者景勝の股肱の軍師・参謀となった英傑の生涯を描く長編。青春時代、関ヶ原戦の駆け引き、宿命の女性、そして敗戦後、領地を大きく削られた米沢での苦心の名治世…。一度割愛された冒頭二章を復活してまとめた、初めての完全版。最高最強のナンバー2の本懐。
そしていま、母は家中をゴミで埋め尽くす。「明日は片づけるから」と言いながらも、毎日大量のゴミを家の中に運びつづける。アディーナは母からこう言い聞かされて育った。外の世界は危険よ。そこは怖い「ノック人」の世界。彼らがうちのドアをノックするとき、家族は引き離される-。
流鏑馬の達人で蹴鞠もこなす、和歌の天才、西行。平安末期のドラマチックな時代の中で、武士として僧侶として歴史の現場に立会い奔走した姿と、待賢門院璋子との恋を描く、待望の歴史小説。
老婆がその長い沈黙を破ったとき一族の知られざる秘密が明かされる-南イタリア、灼熱の太陽のもと、呪われた宿命に抗って果敢に生きるスコルタ家5世代にわたる波瀾の物語。ゴンクール賞受賞。ジャン・ジオノ賞審査員賞も同時受賞の話題作。
ヴェネチア沖の小島にピクニックに出かけた男女が遭遇する不気味な出来事を描いた表題作、小説家が謎の読者からの手紙に脅かされる「W・S」、奇怪な機械仕掛けの棺が登場、ブラックユーモアに満ちた「動く棺桶」他。心の闇にひそむ妄執を精妙な筆致で描く異色恐怖小説集。
亜美、ダメになっちゃう!兄と妹との許されぬ恋。その衝撃の結末は?オリジナル・イラスト満載。少女から女へ、亜美のエロスが炸裂する「くりいむレモン」シリーズ・ノベライズ版、待望の第2弾。
病身の妻を抱え心身が不安定なまま、重罪裁判所のグザヴィエ・ローモンは、妻殺しのランベール事件の裁判にのぞむ。被告は一貫して無罪を主張しているが、公判関係者は、ローモンを除いて全員、被告が犯人だと信じている。判事、証人、陪審員、被告、弁護士それぞれの過去と日常と内面がせめぎあう、スリルとサスペンスにあふれた審理の果てに、意外な結末が…。
文明から取り残された小さな町ファラゴ。孤独な野生児ホーマーは、この町に暮らす「心やさしき人々」に導かれ、運命の旅路を歩みはじめる-「高校生が選ぶゴンクール賞」及び「マルグリット・ピュル=ドゥマンジュ賞」受賞作。
19世紀最後の年に東北の片田舎の大造り酒屋に生まれ、東京でアヴァンギャルド美術・詩作運動の潮流にもまれ、尾羽打ち枯らして帰郷。自我を捨て、あまりに作為のない奇妙な詩をめざし、詩集『障子のある家』を遺して太平洋戦争のさなかに衰滅死した、ある放蕩無頼な詩人の評伝小説。
超反射“シナプス・ベータ・サブ16”の調査に地球にやってきた探検隊は、ある下宿に人類のサンプルを集めて観察を始めるが、彼らはみなそれぞれに問題を抱えていて…。スタージョン的テーマが展開される表題作をはじめ、他人が必要としているものが読めてしまう男の痛切な物語「必要」、家出を決意した少年が故郷の町を出て行く道で奇妙な男たちに出逢う「帰り道」他、全6篇を収録。
円盤の事故で不時着した宇宙人とアパートの住人との交流を描く表題作、ある日突然宇宙からやってきて世界中の道路を走りはじめた無数のボールの騒動、落語の語り口によるブリキ屋源さんのライターをめぐる数奇な物語、交通事故を境に理由もなく人に嫌われるようになった男の悲劇等、語りの名手による奇妙な10のSF短篇。
アフリカの若き俊才、最年少オレンジ賞受賞作家のO・ヘンリー賞受賞作を含む初の短編集。アメリカにわたったナイジェリアの少女のふかい悲しみをみずみずしく綴った表題作ほか、いずれも繊細で心にしみる珠玉の短編全10編。