出版社 : 河出書房新社
父の愛人を犯して旅立とうとする少年に、南国の海は沈黙し、山は怒りの火を噴き上げるー。自殺未遂を繰り返す母に苦悩し疾走する、17歳の生と性。鮮烈で残酷な“青春”を生きる少年を、神話的物語空間の中に描く渾身の力作。
いつかは女の子に生まれかわりたいー。少しずつ〈男性〉をうしなっていく少年バンビに訪れる、新しい愛と性のための、もうひとつの〈誕生日〉。誰も書かなかった愛のかたちに迫る、『YES・YES・YES』の作者による注目の第2弾。
エゴイストの女、男を替えて生きていく放蕩な女、作家をきどり、芸術にのぼせあがる女、善人面をして宗教や道徳を説く偏執狂の女…。ハイスミス一流の冷めた視線が〈女〉たちの嫌らしさとその残酷な最期を赤裸々に描きだす。女嫌い、女好き、フェミニスト、男性讃美者ー。その全ての人に贈る〈女嫌い〉というショート・ショート。待望の翻訳。
天涯の孤児となったバルーディエルは、マルセイユの骨董店で、南仏の小さな街で、不思議な人物たちに出会う。自らの名の秘密、魔法の指輪の謎、庭園の美少女への恋…。孤独な魂の冒険が、今始まる。
“1980年の夏のことだ。風と雨の夏。グダニスクの夏。泣いていた少年の夏。わたしたちの物語の夏。”デュラスと年若い恋人との間に紡がれる夢。『北の愛人』につづくデュラスの最新作。
サドの代表的著作、ジュリエットの物語『悪徳の栄え』と対をなす妹ジュスティーヌの物語には三つのバージョンが残存している。本書はその最初の版である「原ジュスティーヌ」とでも称すべき中篇である。バスティーユ牢獄中にて書かれ、革命のどさくさに粉れて紛失され、100年ののちに陽の目をみた本書はサドの思索のエッセンスが凝縮された異色作である。
大学1年生の陽は夏休みのアルバイトで、青春映画の撮影に加わる。そこで知り合った同じ年の大介にいつしか恋心を抱くようになる。しかし、それが片思いなのか両想いなのか、陽にはわからない。大介に思いを寄せる年下の少女がいることを知り、陽の気持は乱れる。-少女から大人へ脱皮しようとする思春期の恋の悩み、心の揺れをみずみずしい感性で描く恋愛小説。
母子家庭で育った加藤まさ子は中学1年のとき母が再婚して伊集院まさ子になり、中3の姉の理夏、小6の双子の弟、秋朗と冬星もできた。冬星はその名のとおり、冬の星のように美しく、透明でどこか危なげな少年だった。まさ子は、この妖精のような少年(フェアリーボーイ)に恋をする。口に出したくても出せない恋心を胸に秘めたまま、まさ子は弟を見つづける…。
チャンドラースクールの優等生アメリカ屈指のハードボイルド・ストーリテラー、ジョン・Dの古きよき時代、50年代のサスペンスもの登場。戦争で傷つき、人生に絶望した青年の信じられるものは金だけ。戦友が死にぎわに残した謎のことば「シンディーが分っている」を手がかりに埋蔵金を求めてやって来た小さな田舎町に待ち受けるものは何か。
物語は、17歳の多感な若者が、アメリカ南部の町で体験するさまざまな事件を中心に繰り広げられる。童貞でブルックリンしか知らない主人公が、色々な人間との出会いから徐々に人生とアメリカの現実に目覚めていく。なかでも、身震いするようなエロティックな世界へ誘ってくれた謎の年上の女との出会いは、主人公にとって決定的なものとなっていった…。